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極限状態を通じて人間の本質を描いた『プラットフォーム』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:8/15
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が好きなら楽しめるかも】

サスペンス
ホラー
スプラッター
流血
グッチャグチャ
極限状態
キューブ
ソウ

【あらすじ】

ある日、ゴレン(イバン・マサゲ)は目が覚めると「48」階層にいた。部屋の真ん中に穴が開いた大きな吹き抜けのようで、遥か下まで伸びる塔のような建物。

上の階層から順に食事が"プラットフォーム"と呼ばれる巨大な台座に乗って運ばれてくる。上からの残飯だが、ここでの食事はそれを摂るしかない。

同じ階層にいた、この建物のベテランの老人・トリマガシ(ソリオン・エギレオール)から、ここでのルールを聞かされる。今いる場所はタワー型の建物で、ここにいる者たちは、定期的に自分のいる階層がランダムに変更される。

1ヶ月後、ゴレンが目を覚ますと、そこは「171」階層で、ベッドに縛り付けられて身動きが取れなくなっていた。ゴレンはこの理不尽なシステムを壊そうとするが、これが思わぬ悲劇を生むことになる……。

【感想】

正直胸糞悪いというか汚い映画ではあるんですが、人間の本質を突いた設定はうまいなと思えた作品でした。

閉鎖された空間の中で、サスペンスやホラー寄りの雰囲気だから、どことなく『キューブ』や『ソウ』っぽい印象を受けます。でも、もっと人間というものを俯瞰して見ているところが特徴的だと感じます。

まず、世界観が面白いんですよ。舞台は階層が不明なタワー型の建物。ここで一番ポイントになるのが食事。上の階から食事が盛られた台座が下りてきて、一定時間経つと下の階へ降りていく仕組み。量に限りがあるので、下に行けば行くほど食べれるものがなくなり、最悪1ヶ月間食事なしです。飢えを凌ぐために同じ階層の人を食べるケースもあります。

これが一番エグくてですね。。。自主規制なのか、モザイクかかるほどです。これ観た後はお肉食べれない人いるかもしれません。。。

その特殊な環境を舞台に、「この世には2種類の人間がいる」っていうことを、極限状態を通じて描いているのがうまいなと思うんですよ。要は「自分のことしか考えない人」と「まわりのことも考えられる人」。

作中では、ほとんどの人は自分さえよければそれでいいって考えなので、上から来た食事を好きなだけ食べ尽くします。下の階の人のことなんか考えないし、メシにツバ吐くやつもいるほどですから。

でも、1ヶ月ごとにランダムで自分の階数が変わりますからね、明日は我が身なんですよ。それなのに、みんな今しか考えていないから、目先の空腹を満たすのみなんですね。

そこに一石投じるのが主人公。下の階の人のことも考えて、食事をきちんと分配しようとします。そこがこの映画のクライマックスにもつながるんで、これ以上は書けませんが(笑)

自分さえよければいいのか、他人のことも思いやれるのかっていうのは、普段の生活でも態度や言動でわかりますし、極限状態に陥ったときには如実に表れますよね。それを描いたのがこの作品かなと思っていて、それを、人の立場に明確な差がつくタワー、つまり「上下」に差が生まれるところで展開していくってのは絶対狙ってるって思うんですよ。物理的に上下で差がつくと、マウンティングしたくなる心理が働くのかわかりませんが、上の階の人はとにかく偉そうでした。そういう人間心理もうまく取り入れた作りかなって思います。

ただ、最後がわからなかったんですよね。。。(笑)そこだけ消化不良かな。。。

あと、せっかくなら同じ人間が違う階層に行ったときに、どう態度や言動に差が出るのかっていう変化をもっと観てみたかった気もします。下にいるときは謙虚だったのに、上に行くと傲慢になるとか。

まあ、映像はかなりショッキングなので、グチャミソな表現が大丈夫な人なら観てもよいかと思いますが、そうじゃない人は控えた方がいいかもしれません。。。


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