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まるまーるの人ってどんな人? Yuka - ひとりで走り出しちゃった代表?

まるまーるは、「誰もが自分らしさを発揮し、互いを受け入れ、輝きあうことができる共生社会づくり」を目指して、日本で暮らす外国人の方の子育てサポートを中心に活動しているNPO法人です。
未来に直結する子育てからダイバーシティ・インクルージョンを実現することで、世の中に変化をもたらしたいと考え、
 1.  家族で楽しめる交流イベントの開催
 2. やさしい日本語・英語を使った「当事者目線の子育て情報」の発信  
 3. 各種相談対応、市役所等での手続き同行
等の活動をしています。

そんなまるまーるの動力であり宝でもある、運営メンバーたち。
様々な経験を持ち、魅力あふれるメンバー達をご紹介していきたいと思います。

第1弾は、まるまーるを立ち上げ、代表を務めるゆか。
実は、「ひとりで走り出しちゃった」人でもあります。ぜひご覧ください。



Yuka
まるまーる    代表理事。親の仕事の関係で度々の引越しを経験。アメリカ、ブラジルでも生活。
MICE業界を経てユネスコ関係団体で国際教育プロジェクトの運営に携わった後、現在はデザインコンサルティングファームで海外パートナーとのコミュニケーションを中心に担当。並行してまるまーるの活動を行っています。
[ 趣味 ] 学ぶこと、飲むこと、体を動かすこと、旅行、インテリアやアート鑑賞
[ 言語 ] 英語 ポルトガル語 +フランス語本当に少々 


まるまーるのはじまりの、はじまり

Q: まるまーるを始めたのは、ご自身の子育ての「戸惑い」からだとか?
はい。自分が妊娠・出産し、赤ちゃんが目の前に現れて。ここまでは何となく想像できていたのですが、そこから始まる子育ては、出産前に想像していたものとはかなり違う、生々しい大変さと感動に満ちていました。

自分の1日がこんなにも「思い通りにならない」経験は初めて。
練習も何もなしに、いきなり現場の最前線。
24時間、休み無し。境目もなく、1日が終わった気がしないのにまた新しい1日が訪れるんです。

思わずモノクロ加工した、授乳疲れと寝不足でヤツれた顔。
起きている間は子どもの様子を見たり、検診を受けたり。
もし外国で子育てをしたら。そこには、素晴らしさと共に、想像以上の過酷さもあると思います。

それでも、子育てはどこでやっても大変で 幸せで素晴らしい。そう感じながら、必要なときには助産師さん・保健師さんにアドバイスや助けを求め、支えられ、共に子育てをするママ友・パパ友にも励まされながら、過ごしていました。

そんな中、ある日ふと、思いました。

「日本で生まれ育った私が、こんなにテンヤワンヤな子育て。知らなかったこと、戸惑うことが次から次に出てくる。もし外国で子育てして、言葉がわからなかったら。馴染みのない習慣を教えられたら、どうなるんだろう。」

そこで、親しい助産師さん達に聞いてみたり、調べました。どうやら、私の住むまちでは体系立った外国人サポートが無く、個人の努力で支えられている状況らしい。

それはあまりにも心細い、と感じました。

前職で、乳幼児の精神保健をテーマにした国際会議や、途上国での母親対象の識字プログラムに触れた経験もありました。
「母親が不安定だと、家庭全体が不安定になる。暗くなる」。自分自身の反省と実感もありました。

また、自分が外国で暮らした時には、身近な人たちの小さな助けが、私にとっては大きな助けになりました。

15才での「大挫折」

Q: 海外での暮らしは長かったのですか?
いえ(笑)。15才の頃にアメリカで1年、19才の頃にブラジルで1年生活したのみです。特にアメリカでの暮らしは、自分にとっては大挫折であり大転機でした。言葉がわからないみじめさ・悔しさ。文化やシステムの違いからくる失敗や戸惑い。多様なバックグランドを持つ人たちとのやりとりや、助けてもらったこと。全てが、思春期だった自分に刻まれました。

初めて経験した差別

Q: 特に印象的だった経験はありますか?
アメリカのショッピングモールの駐車場で、黒人の小さな男の子に突然 "Go to China! Go to China!"と言われました。
びっくりしている私に対し、彼はしばらくそれを言い続けました。

そもそも中国人ではないし!というツッコミたい気持ちもありつつ、それよりも、東アジア人の外見だけでいきなり否定される事の悔しさと、差別への怒り。
彼の肌の色は、差別を受けてきた人たちのものです。そして、彼も差別をしている。これは当時の自分の勝手な先入観によるものに過ぎませんが、ショックで。

Q: 初めて「差別を受ける」経験をしたのですね。
はい。また、彼は私に向き合って言おうとはしていませんでした。彼の幼さを考えると、本人の考えというよりも、大人の真似だったんだと思います。どこかで見たことのある光景・聞いたことのある言葉を真似していたのだと。
そして、私を「アジア人の女」としてしか見ていない。中身は全く関係なく外見だけで拒絶され、失礼な対応をされる。それに対して何も言えない自分にも悔しい思いでいっぱいでした。

一人一人は違う。どんな存在もかけがえがないんです。特に人の肌・瞳・髪の毛の色や様子、文化はその人の大切な家族や歴史につながっています。誰も、それを否定されてはいけない。差別を受けた時の気持ちの上に、様々な外見・バックグランドを持つ人たちと親しくなる経験が重なり、そう考えるようになりました。

Q: まるまーるでは、言葉や文化をとても大切に活動していますね。ご自身の経験が関係していますか?
アメリカに住んでいる頃は、英語ができない劣等感にも潰されそう、というかほぼ潰れていました(笑)。言葉がわからないから学校でも不安と失敗だらけで、そこから、自分自身をものすごく否定して。でも、何ヶ月かしてどうにか持ち直し、「できないことも含めて自分は自分だ」といつしか開き直りの境地になりました(笑)。

その後、ブラジルでは日系人の方々を通じて「日本の文化は、自分にとって何を意味するのか」について考えるきっかけ、貴重なヒントをたくさん頂きました。

言葉や文化は人のアイデンティティ、自信、プライドとつながっています。
それを誰にも否定されることなく、唯一無二の自分を堂々と生きられること、それが当然であるべきだ、と考えるようになりました。

外国での自責感

Q: その思いは、まるまーるの活動にもつながっているのですか?
はい。まるまーるのビジョンは、その思いを反映したものです。

外国での暮らしには文化・社会の違いからくる失敗もあり、その上子育てをしていると、子育ての難しさからも 自分を否定することにつながりやすいと思います。特に子どもが小さい頃は、子育てはうまくいかないことの連続で、母親は自分を責めがちです。私もそうでした。

なので、今、日本で同じ時期に子育てしている私ができることがあるなら、外国人の方にできる範囲のことで支えよう。特に母親を支えることが、子どもを、家族を、支えることになる。未来の土台は家庭。自分の子どもも生きる未来を、少しでも明るくしたい。そんな思いで動き始めました。それが、まるまーるのスタートです。

Yukaが愛してやまない海。
まるまーるの語源も海なんです。その由来はこちらで。

まるまーるのはじまり

Q: 熱い思いですね!お子さんも小さかったのに、すぐ動き始めたんですか?
はい。決めてからは早かったです。せっかちなので(笑)。とは言え、あくまでもできる範囲で動いた、という感じです。
当時、第1子が3才、第2子が1才だったと思います。

Q: 最初はひとりで始めたとか?
はい。子育てはうまくいかない事が99%だということをやっと受け止められるようになり、「うまく進むようになるまで時機を伺ったり体制を整えたりしていたら何も始められない」と思い、まずはアクションすることを大切にしました。今思えば前のめり体質が出ていますが….共感してくれるメンバーが少しずつ集まってくれて、本当に幸運と出会いに恵まれています。

自治体保健師とのつながり

活動開始当初、まずはFacebookで鎌倉市内の子育てイベント情報等を日本語・英語で流し始めました。まずは情報がないと、そこに行けませんから。その後、鎌倉市の保健師さんとの出会い・つながりがあり、協力して動けるようになりました。
(その過程を、↓P14-でご紹介頂いています)


Q: これまでの活動で一番印象的だったことは何ですか?
イベントに参加した外国人のママが、「まるまーるのイベントに参加するようになって、日本で子育てする不安が消えた。何かがあっても、聞ける、相談できる。そうしながらやっていけば大丈夫だって思えた。」と言ってくれた時のことです。
そんな立場になれたんだ、と、心の中でむせび泣きました。

叶えたい夢

Q: まるまーるで叶えたい夢を教えてください。
外国人の家族や日本人の家族の交流を通じて、大人も子どもも「多様性」の幅を自然に広げること。そこから、自分自身にも他者にも良い意味でゆるく、受けいれることが増えていけば。日本の子育て観や環境も、もう少しゆるやかになって良いのではないかな、とも思っています。そこから、リラックスしながら自分の力を発揮できる、今よりもやさしい世の中になると良いなと思っています。


ここまでお読み頂きありがとうございました!
「まるまーるの人ってどんな人?」では、引き続き多彩な面白メンバーをご紹介。
ぜひ、ご覧ください!