沼は深そうだ〜「間宮宙のスランプ:魔女の采配」
思わぬ収穫というものがある。
特に興味もなかったが、招待券をもらったので仕方なく見てみた映画が、意外に面白かった。
100円で買った色褪せた古本に思わず読み耽ってしまった。
そんなことが時々ある。
しばらく固い本を読んでいたので、少し柔らかい本を読んでみようと思った。
僕は、どうも読んでいる本が表情に出るようだ。
固い本、哲学書などを読んでいる時には、そんな表情になるらしい。
「あんた、また面倒臭い本、読んでるやろ」
妻に言わせると、哲学書などは面倒臭い本なのだ。
そこで、何か、何も考えずに読める本、ないかなあとKindleのリストを見ていた時に思い出した。
Kindle Unlimitedに入ってるし、ご本人も試し読みだけでもと言われているしと、とりあえずダウンロードして読み始めた。
最初は、これくらいの長さだったら、半日集中すれば読めるかなと思っていた。
ところが、なんと3日もかかってしまった。
僕は、面白い本はあえてゆっくり読む癖がある。
読み終わるのが惜しいのだ。
イケメンの天才画家、と言っても、今はスランプで何も描いていない間宮宙。
そして、その甥にあたる高校2年生の橘慈雨。
この2人が、いわばホームズとワトスンのようにコンビを組んで、事件に立ち向かう。
あるアトリエで作品が破損、盗難の被害にあう。
事件は、怨恨、恨み、そして呪いの儀式、魔女の登場へとエスカレートしていく。
自分のことはわかっていないが、人の心理は冷酷なほどに見抜く力を持った間宮宙が、錯綜した人間関係を解きほぐしながら、解決していく。
油断してはいけない。
時々、こんな名言も飛び出してくる。
間宮宙の自宅は、白衣を着た店員がフラスコでコーヒーを入れるカフェ。
高い拭きふけの途中に、宙に浮くような形で、アトリエとその上に住居がある。
実在するのなら、ぜひとも一度訪れてみたい。
タイトルから、魔女嫌い、呪いが苦手という方は敬遠しがちかもしれない。
でも、ここに登場する魔女は、ちょっと魅力的だ。
それに、事件はきちんと、理論的に解決されるのでご安心を。
一読をおすすめするが、注意してほしい。
たちまち、間宮宙のスランプ沼にはまっていく。
この沼は、足の親指をちょんとつけただけで、もう逃れられない。
その先の責任は持てない。
現在、第4作まで発表されている。
沼は深そうだが、続けて読んでみたい。
これって、ドラマ化、映画化されないかなあ。
その時のキャストは…
また沼であがき始めている。
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