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迷惑動画についてのなんやかんや

最近、迷惑動画が話題になっている。
スシローをはじめとする回転寿司、吉野家などのファーストフード店が被害に遭っている。
この調子だと、まだ被害に遭っていないところも早めに対策をした方がよさそうだ。
サラダバーやドリンクバーなども危ないだろう。

さて、この迷惑動画について語られるときに、気になるのが
「SNSなどのネットで流すと、デジタルタトゥーとして一生消えないから、やめたほうがいいです」
という論調だ。
この場合、発覚したのは、加害者なり、加害者の知人がその行為を動画で撮影して、それをSNS上に流したからではあるけれども、あくまでも、問題なのは、その行為そのもののはずだ。
撮影しようがしまいが、SNSに流そうが流すまいが、そんなことが問題ではなくて、その店や他の客に危害や迷惑が及ぶその行為そのものが問題なのだ。
「そんな行為を撮影してSNSに流すと、削除できないからダメですよ」というのは、若い母親が電車の座席に靴のまま上がった子供に「みんなが見てるからやめなさい」と叱るのと同じだ。
みんなが見てるから悪いのではなく、その行為がなぜいけないのかをわからせて教育しなければならないのに。
ネットリテラシーを早い段階から教えなくてはと言う評論家もいるが、それはそれで勝手にやればいい。
それよりも必要なのは、人の行為には許容範囲があるんだよということをわからせることだ。
悪ふざけはいいけど、これをやっちゃあおしまいよとなる分岐点のようなものがあるんだよ。
それをあえて超える時には、それなりの覚悟と主張が必要なんだよ。
それを、早い段階から教えなくてはならない。
迷惑動画が問題ではなくて、そこに映った行為が問題なのだから。

これを、あたかもSNSの問題であるかのように取り上げている人もいる。
SNSが彼らの行為を誘発したのだと。
しかし、彼らがSNSの怖さを知らずに、つまりここまでの拡散を目的としていなかったとすれば、彼らはSNSがなくても、同じ行為をしていただろう。
仲間内だけで盛り上がって、「ウォー、すげー」と言って欲しかっただけなら、手段は何でもよかったはずだ。
たまたま彼らは、SNSが手っ取り早いと判断し、その判断が間違っていただけにすぎない。
それに、自分の顔を晒した動画が全世界を駆け巡ることを知っていながら、自分の行為が炎上するとは思わなかったと言うなら、それは、ガッツ石松が試合後に「まさか相手が殴ってくるとは思いませんでしたよ」と答える以上に、おバカさんだ。
(ちなみにガッツ石松さんがこのような発言をした事実はごさいません。これはあくまでも、欽どんでやっていたネタです)
別に、SNSが彼らの行為を生み出したわけではない。

また、彼らの動画を見ていて、何となく既視感を覚えた。
1人がその行為をして、周りがそれを笑い囃し立てている、あの雰囲気。
思えば昔から、子供たちは迷惑な行為や、違法な行為を繰り返してきた。

例えば、ピンポンダッシュ。
あれを1人でやつ奴はいなかった。
必ず数人で、その中の1人が実行犯となり、そいつがインターホンを押すと同時にみんなで逃げる。
逃げる時にはみんな笑っている。
あの動画と同じだ。
それを咎める者はいない。
「そんなことはよくないからやめようよ」
そんなことは誰も言わない。

もう少し大きくなると、原付の無免許運転なども珍しいことではなかった。
高校生くらいになれば、万引きを自慢する奴もいた。
だからといって、
「君、今から警察に自主するべきだ」
などと注意するやつはいない。
逆に笑って手を叩いている。

ただ、そこから先には行かなかった。
それは、これ以上の行為をすると、そこには大人が待っている、そんな意識がどこかにあったのではと思う。
昔は、大人というのは反発の対象でもあり、恐れの対象でもあったのだ。

そんな大人が今はいるのだろうか。
この少し前に問題になった迷惑系ユーチューバーなどは十分に大人だった。
それは極端だとしても、今や服装や髪型、言葉遣いなどでは、なかなか大人か子供か判別が難しくなっている。
いつまでも年齢不詳な人がたくさんいる。

それに、少々行きすぎたとしても、注意されることはない。
今では他人の子供を注意する大人など皆無に近い。
教師だってどうなのだろう。
下手に注意すれば、親が乗り込んできそうだ。
さらに、そんな親が子供に何かを教えるとは思えない。
もはや、彼らにとって歯止めとなる大人など存在しないのではないだろうか。
大人が、彼らの仲間になってしまった。
いや、彼らにとって、大人、大人になるなどという概念は無くなってしまっているのかもしれない。
彼らの世の中は、仲間で満ち溢れている。

であれば、今後も同じようなことは繰り返し起こっていくだろう。
これを人が食い止めることはもはや不可能に思われる。
回転寿司をやめて、注文の品をドローンで席まで届ける。
各席に向けて防犯カメラを設置する。
その映像は常に生配信されている。
入店の際に身分証明書を提示する。
紹介状がなければ入店できない。
店の壁際には、ライフルを構えた警備員が並んでいる。
妄想が膨らみすぎて、どこまで可能なのかはわからないが(いや、全部不可能やろ)、いずれにせよ何らかのシステムで防ぐしかない。

外食が気軽に行けるものではなくなる。
いろんな意味で、覚悟の上で出かけなくてはならない。
それを悲しいことだと思うのは、もはや一部の世代だけなのだろうか。

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