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「若者の〇〇離れが問題だ」という問題

「若者の〇〇離れ」がよく話題になる。
そして、それは多くの場合、喜ばしくない問題であるかのように語られる。
いわゆる「今どきの若いやつは」の別バージョンのような感じだ。

例えば、最近、若者のアルコール離れが話題になっている。
本当にそうなのだろうか。

僕の娘も娘婿も酒を飲む。
最近は夜の繁華街に出かけることもないが、ニュースで見る限りは若者の姿は結構映り込んでいる。
自粛が言われていた頃、路上飲みのニュースで取り上げられるのは若者ばかりだった。

厚生労働省の発表によると、飲酒の習慣のある20〜30代の男性が20年前と比べて約半分、女性では3分の1にまで落ち込んでいる。
また、一回あたりの飲酒量も減少傾向にある。

しかし、データを見ると、減少傾向にあるのは若者だけでない。
ほぼ全ての世代で見られる現象だ。
それなのに、さも若者だけがアルコールから離れているかのような風潮が出回っている。

何故か国税庁が( 何故かと言ってもそれは酒税徴収のために決まっているが ) 若者のアルコール需要喚起を目的としたアイデアコンテストを実施している。
若者のアルコール離れが、さも解決するべき問題であるかのように。
何だか、ブラックな会社のブラックな上司から俺の酒が飲めないのかと脅されているようだ。

そもそもアルコール離れの何が問題なのか。
むしろ、歓迎すべきことではないのかと思うのだけれども。
酒は百薬の長などと言うが、飲まないに越したことはないだろう。

僕たちのようなおじさんは、言いにくいことは酒を飲んで話そうとした。
とにかく親しくなるには、まず飲んでから。
中には、飲めないやつは信用できないなどと言う馬鹿者もいた。
それと比べると、飲まずに、誰とでもコミュニケーションがはかれる若者は素晴らしい。
言いにくいことを飲まずに話せる若者は勇気がある。

メーカーや飲食店が大変だと言われるかもしれないが、大変な業種は他にもたくさんあるだろう。
「若者の〇〇離れ」なら、パチンコ業界も大変らしい。
しかし、頑張ってパチンコに行こうなんて話は聞いたことがない。

そもそも何故、こんなにアルコールが擁護されるのか、疑問だ。
煙草は、あんなにコテンパンにやっつけたのに。
CMも、未だにゴールデンタイムに垂れ流している。
欧米のほとんどの国では、アルコールのCMに対して何らかの規制があるらしい。
CMそのものを禁止するものから、時間帯の規制、アルコール度数による規制、中にはCMの内容を規制の対象にしているところもある。
何でも欧米大好きの国で、ここだけは誰も真似しようとはしない。
まあ、多分、裏があるのだろうけれども。
もしかして、あの教団? 

ソバーキュリアスという言葉もあるらしい。
飲むことも、飲まないことも、本来自由だ。
今日は飲んでも、明日は飲まない。
それもあり。
その逆もまたあり。
そこに、解決すべき問題など何もないはずだ。 

結婚したくない若者、出世したくない若者が増えていることも最近報道された。
さも、少子化や国力の低下、経済の低迷が若者の責任だと言わんばかりだ。
それならば、そんな夢のない日本にしたのはいったい誰なんだ。

「若者のクルマ離れ」も最近よく聞く。
僕のまわりでも、クルマどころか運転免許すら持っていない、取る予定もない若い人が増えている。
しかし、本来なら歓迎すべきことではないだろうか。
マイカーが減れば、物流はスムーズになるし、バスやタクシーも時間通りに走れる。
CO2削減にも大いにつながる。
いいことずくめだ。
電気自動車だからと言って、渋滞や駐車場の問題はそのまま残っている。
トヨタをはじめとする自動車メーカーには我慢してもらうしかない。
「いつかはクラウン」と言いながら、新しい夢を用意できなかった自分たちの責任だと思って。
レクサスはあっても、そこに至るまでの階段が今はない。

「若者の〇〇離れ」などと、何でも若者に押し付けて、時代を逆行させるような考えはそろそろ捨ててしまおう。

ちなみに僕は煙草ははるか昔にやめてしまったし、アルコールも普段は控えている。
個人的に飲むのは、正月と、夏の甲子園でと決めている。
もちろん、人との集まりの機会では少しくらいは飲むこともある。
ただ、僕は高齢者なので、離れようがくっつこうが、誰も問題にはしない。

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