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国のカスハラ対策に思うこと

厚生労働省はカスハラから従業員を守ることを義務付ける法案を検討しているとのこと。
やがては、カスハラで被害を受けた従業員が、会社が守ってくれなかったと訴えたりする世の中になるのだろうか。

もちろん、会社が従業員を守ることは当たり前だ。
会社と言っても、結局はその従業員よりも上の立場の誰かが対応することになる。

カスハラで困るのは、犯罪との境界線があいまいなことだ。
例えば、暴力を受ける、金品を要求される、土下座を強要されるなどの、明らかに犯罪とわかる言動が相手にあれば、会社も従業員を背中に隠して、堂々と立ち向かえる。
警察に被害届を出せばいい。

問題は、犯罪以前の行為を何度も繰り返す場合。
例えば「落とし前をつけろ」「どないしてくれんねん」「あやまるだけか」「時間をかえせ」「もっと上を出せ」など。
また、もう来るなと言っても何度もやって来る。
来れば、追い返すにしてもそこそこの労力がかかる。
電話するなと言ってもかけてくる。
出なくても、その番号が表示されて呼び出し音がなってるだけでプレッシャーだ。
帰れと言っても帰らない。
僕の経験では、こんなケースで警察を呼んでも、連れて行ってはくれない。

こんな時には、いよいよ本人に代わって会社が対応することになるのだけれども、会社も本人と同じように困ってしまう。
会社と言っても、会社という名の誰かがいるわけではない。
課長か、部長か、常務か、専務か、社長であり、同じようにひとりの人間だ。
助けた従業員と同じように、時にはそれ以上の、ストレスを感じるのは間違いない。

やはりここは、会社には従業員を守ることを義務付けるとともに、カスハラ加害者に対する法整備も必要だ。
できれば、逮捕とまではいかなくとも、ストーカーと同じように、接近禁止命令などを出してほしい。
それくらいのことをしていかないと、いちばん悪いのはカスハラの加害者であるはずが、守ってくれない会社が加害者だとすり替わってしまうことになりかねない。
いじめた本人は野放しで学校ばかりが責められるいじめ問題と同じように。

とにかく、いちばん悪いところから目を逸らさないようにしてほしい。
カスハラによって従業員と会社が争うのが目的ではない。
作るべきは、みんなが気持ちよく働ける世の中だ。

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