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「こんな記事は読まないで、すぐに本作を注文して読んでほしい」と言われて読んでみたが、こんな記事は読まないで、すぐに本作を注文して読んでほしい

異常アノマリー」の評判は昨年から目にしていたので、気にはなっていた。
蛸文さんの記事をネタバレの直前まで読んだところで、年末にKindleのセールに出ていたので買っておいた。
危うく積読になりそうだったが、ふと思い出して読んでみた。

読んでみた感想は、「気になる人はすぐに本作を注文して読んでほしい」
恐らく、誰もがそう言いたくなるに違いない。

3部構成となっており、その第1部は静かに始まる。
殺し屋、小説家、映像編集者、癌患者、カエルを飼う少女、弁護士、ポップスター、建築家などが章を変えて登場する。
一見何の関係もない彼らだが、どうやらひとつの点で繋がっているようだ。
2021年3月10日パリ初ニューヨーク行きエールフランス006便の乗客であった。
そして、その後の彼らの元に、FBIをはじめとして各国の諜報機関が訪れる。
読者は何かあると予想する。
しかし、そんな予想など何の役にも立たない。
第1部も間もなく終わろうとするところで、読者は恐ろしい扉の向こうに投げ出される。

もう、ここが限界だ。
これ以上は書けない。

世界、自分、存在、生、愛、そして神、天地創造。
読者は、登場人物と一緒に否応なく考えざるを得ない。
もし、自分がそいつと出会ったならば、この世界でそいつと暮らしていくはめになったら。
それは、楽しくも苦しい思考実験だ。
しかし、自分を見つめるというのは、そういうことかもしれない。

詳しくは、蛸文さんの記事を読んでいただきたい。
ただし、それもできればこの本を読んでから。
もちろん、読後、あなたが扉のこちら側に戻って来られるという保証はない。

起きている事象を説明するのは困難だ。言語のなかに、世界のこの緩慢な振動を、この無限に小さな波動を過不足なく明確に定義する言葉が存在しないからだ。この波動は、地球上のいたるところで同時に作用する。この世に存在するありとあらゆるものに決定的に作用する。ありとあらゆるもの、それはたとえば──

言葉にできない、この無限に小さな波動。
あなたはどのように受け止めるだろうか。

こんなことを書くと小難しい小説のように思われるかもしれないが、決してそんなことはない。
途中で何度も呟くはずだ。
「面白いやん」
そして、自分がまだ読み終わっていないにもかかわらず、人にすすめたくなる。
これは、そんな「すごく面白いすごい小説」

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