ピッチャー、大きく振りかぶって…

「ピッチャー、大きく振りかぶって…」
こんな実況が聞けなくなってどれくらいになるのだろう。

子供の頃、野球を覚えた時のピッチャーの投球フォームとはこうだった。
大きく振りかぶって胸を張り、足を高く上げて踏み出すストライドをできるだけ大きく取り、軸足の膝が地面に触れるほど重心を低くして投げ込む。
また、ピッチャーは9人目の野手ともよく言われた。
投球を終えると同時に野手のように構えの姿勢に入る。

エースのユニフォームは、軸足の膝から下が真っ黒になっていた。

しかし、最近は胸のあたりで構えて投げるフォームがほとんどで、中にはランナーなしでもセットポジションから投げるピッチャーもいる。
そして投球後も、構えるどころか投げた方向に身体が流れていく、昔大リーグの映像でよく見ていた投げ方に変わってきている。
多分、理論的にもその方が推奨されているのだろう。

そんな中で、松坂大輔は最後まで振りかぶって投げきった。
松坂世代とは、松坂と同年代の野球選手のことらしい。
しかし、野球選手だけでなく、彼と同年代の多くの人が、誇らしげに「松坂世代です」と名乗るのを耳にしてきた。

松坂世代とは20年ほどの年の差があるが、彼の活躍は横浜高校時代から目に焼き付いている。

残念ながら、栄光の中での引退とはならなかったが、あのワインドアップモーションは多くの感動を野球ファンに与えてくれた。

お疲れ様という声はもう多過ぎて届かないだろうけど、それでもお疲れ様と言わずにいられない。



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