![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/98221524/rectangle_large_type_2_2f6497f1542eefe22df19a6293a7ceb2.png?width=800)
Photo by
golchiki
『名探偵ボディビルディング』 # 毎週ショートショートnote
事件は迷宮入りかと思われた。
現場には手がかりはほとんどない。
足跡もなく、指紋もない。
せめて髪の毛の一本でもあればと警察は這いつくばって探したが、見つからない。
マスコミは警察の無能を書き立てた。
初動操作の誤りか。
もしかすると犯人は政府関係者ではないか。
などと根拠のない見出しが踊る。
「仕方がない。彼に頼もう」
「誰ですか、部長」
「ついてきたまえ」
彼らの前に現れたのは、筋骨隆々の大男だった。
「また、頼むよ」
頭を下げる部長に、
「では、行きましょう」
彼らが入ったのはとあるジムだった。
大男がベンチプレスを始めると、部長が話し始めた。
「犯行時刻は…」
「不思議です。どうして、筋トレをしながら事件の説明を聞いただけで、彼は解決できたのですか」
「筋肉バカって、聞いたことあるだろう」
「ええ、よく脳みそまで筋肉だって、彼らのことを馬鹿にしますよね」
「だが、彼の場合には、それが逆のようなんだよ」
「というと」
「全身の筋肉が、脳みそなんだ」
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?