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『名探偵ボディビルディング』 # 毎週ショートショートnote

事件は迷宮入りかと思われた。
現場には手がかりはほとんどない。
足跡もなく、指紋もない。
せめて髪の毛の一本でもあればと警察は這いつくばって探したが、見つからない。

マスコミは警察の無能を書き立てた。
初動操作の誤りか。
もしかすると犯人は政府関係者ではないか。
などと根拠のない見出しが踊る。

「仕方がない。彼に頼もう」
「誰ですか、部長」
「ついてきたまえ」
彼らの前に現れたのは、筋骨隆々の大男だった。
「また、頼むよ」
頭を下げる部長に、
「では、行きましょう」
彼らが入ったのはとあるジムだった。
大男がベンチプレスを始めると、部長が話し始めた。
「犯行時刻は…」

「不思議です。どうして、筋トレをしながら事件の説明を聞いただけで、彼は解決できたのですか」
「筋肉バカって、聞いたことあるだろう」
「ええ、よく脳みそまで筋肉だって、彼らのことを馬鹿にしますよね」
「だが、彼の場合には、それが逆のようなんだよ」
「というと」
「全身の筋肉が、脳みそなんだ」

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