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卒業の思い出 # シロクマ文芸部

卒業の思い出がほとんどない。
小学校では、式当日までに散々練習をさせられたことは覚えているのに、肝心の式当日のこととなると、何も思い出せない。
卒業証書を受け取るために一人ずつ壇上にあがったはずだが、自分はその時どうしたのか、どんな気持ちだったのか、何も覚えていない。
小学校での最後の一日をどのようにして過ごしたのか。
最後は、クラスメイトとどのような別れをしたのか。
何も記憶には残っていない。
覚えているのは、卒業アルバムの裏表紙に詩を書いたこと。

さて、以降、中学、高校となると、それ以上にまったく記憶にございません。
秘書が出席しました、というわけではないのに。
卒業までのそれぞれ3年間は、充実していたし、楽しい思い出も、嫌な思い出もいっぱいあるのに。
卒業のその日のことは、まったく覚えていないのだ。
もしかすると、僕の意識の底深くに隠されていて、フロイト流の精神分析でもすれば蘇ってくるのかもしれないが。

これが大学となると、忘れられない出来事と共にしっかり覚えている。

上の記事を読み直すと、卒業に関して同じようなことをもう書いてしまっている。
同じことしか思い浮かばないほどに、卒業に関しては何もない。

第二ボタンはあったのだろうか。
無かったとしたら、多分、僕は見栄を張ってこっそり自分で引きちぎったのだ。

尾崎豊は、夜の校舎のガラス窓を壊して卒業したが(歌の歌詞で、実際にはそんなことはしていないと思います)、校内暴力が問題になるのは、僕が卒業して少ししてからだ。

この記事を書いている時に、漫画家の鳥山明さんと、声優のTARAKOさんの訃報が相次いで流れてきた。
ご冥福をお祈りします。

そうだ、人生にも卒業する時が来る。
こればかりは避けられない。
僕に残された卒業と言えばこれくらいだけれども、この卒業こそ、覚えているわけにはいかない。
あの世で同窓会なんてこともないだろう。
結局、僕には卒業の思い出はない。

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