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経営が悪化した時のマーケティング

 企業の経営が悪化すると、様々な場面においてコストカットが行われます。企業が生き延びるためには仕方のないことです。不要なものはどんどん削ぎ落とさなければなりません。それでも生き残れないとなれば、企業全体の見直しを行い、本来必要とされていた部分もカットしていくことになるでしょう。例えば人員のリストラ、事業の売却などが考えられます。

 企業経営の悪化はじわじわやってくることもあれば、今回の新型コロナウイルス の問題のように突然やってくることもあります。「去年は絶好調だったのに、今年は営業できない」という企業もありますよね。

 経営者にとっての最悪の自体は倒産です。ですから経営者は生き残りをかけるために社員が驚くようなことをやってくるでしょう。経営者と社員では視点が違います。社員には信じられない方針が次々と打ち出されるかもしれません。中には、会社の身売りや清算(会社を終わらせる)などを考える経営者もいるでしょう。あなたの雇用に影響を及ぼすようなものなら、あなた自身はその会社のマーケティングよりご自身の将来を考えるべきです。

 ここでは「企業は継続する」ことを前提にお話したいと思います。

 「マーケティング部門を廃止する」と言い出す経営者もいるかもしれません。さすがにこの会社の将来は明るくないでしょう。マーケティングに理解のない経営者なのか、または別の理由がありマーケティングが不要になった(例えば、近々身売りや清算しようとしているがまだ社内には言えないなど)のかもしれません。後者については先にも触れたので省略するとして、前者の場合、企業戦略そのものがよくわかっていない経営者の可能性があります。例えば、「社内の無駄なコスト(人件費、マーケティング部門、開発部門等)を全部カットし、今ある商品を製造し、現在の取引先にだけ納品すればギリギリ会社がやっていける」という考え方などです。つまり、「今ある商品を製造する人とそれを納品しに行く人だけいればよくて、あとは全てムダ」という考え方です。確かに、取引先があなたの会社の採算が取れるだけ注文してくれるうちはいいですが、いずれそれはなくなるでしょう。つまり、今はなんとかやっていけるかもしれませんが、将来は厳しいものです。その時、この経営者は、次に何をカットして企業を存続させるのでしょうか? あなたかもしれません。

 今回の新型コロナウイルスの問題では、多くの企業がダメージを受けています。しかしその中で、「そんなことをまったく感じさせない」という企業もあります。例えば今年に入り、自動車業界の時価総額でトヨタ自動車と米国のテスラ社入れ替わるというビッグニュースがありました。トヨタ自動車とテスラ社は何が違うのか、そしてテスラ社の車がなぜこれほど人気なのかを知る必要がるでしょう。米国をはじめ、海外のロックダウンは日本よりも厳しいものでした。それでもテスラ社の車は売れました。もちろん商品もテスラ社とトヨタ自動車では大きく違います。もしあなたが自動車会社の社長で、「ガソリン車で走る喜びこそが自動車だ! 自動運転に走る楽しみはない!」などというこだわりを持ち続けていたら、時代に取り残されてしまうでしょう。企業としてはマーケティングを強化し、製品作りから変わらなければなりません。しかしそれをおろおかにして、新しい車の開発はせずに、既存の車のみ販売していては将来はありません。

 新型コロナウイルスの問題により、私たちは働き方、暮らし方が大きく変わりました。それに伴い、新たなチャンスが生まれているのも事実です。つまり、今までにはない市場の創造です。そこに挑戦するには、マーケティングは必要不可欠だということです。これはどの業界にも共通して言えるのではないでしょうか。

 「マーケティングのリストラ」は会社の未来がないことを意味します。つまり、会社が危機の時こそ、マーケティングを疎かにしてはいけないということなのです。

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