ChatGPTに聞いた！　淘汰されるライターとAI時代に求めらる人間のスキルについて

AIがあれば体験していない記事もどんどん書ける

　ChatGPTを使えばどんな記事だって書けます。例えば、「宇宙飛行士の体験談を400文字程度にまとめて書いてください。文中に『宇宙に持って行くとおすすめなもの』を１つ入れてください。」とお願いするこも可能です。
　実際、この指示でChatGPTに書いてもらった文章がこちらです。

　体験における感想は人それぞれ違います。だからこのような感想も一つあると考えられます。
　ですが、今はまだ限られた人しか宇宙に行っていません。だからこの文章を読んでも、「本当の体験談ではない」とわかるでしょう。しかし、これが飛行機の体験談なら、嘘とはわからないかもしれません。

身近な事例でも色々書ける

　宇宙飛行士の記事を書いてもらうことができるわけですから、身近な情報ならいくらでも記事の執筆のお願いができます。例えば、その一つに病気が挙げられるでしょう。たとえば生理痛を体験するのは女性であり、前立腺がんを体験するのは男性です。（ここで示す性別は、体内に保有する生殖器を基準に示しています。）
　子宮を持たない男性には生理はありません。だから男性が「生理痛の日はお腹が痛くて……」と語っても「それは嘘だ」と思うものです。生理痛は生理がないと起きないからです。すぐに嘘と見抜かれてしまうでしょう。しかしChatGPTがあれば、男性も生理痛の記事を書くことが可能です。自分が生理を経験することがなくても、ChatGPTに任せれば文章が書けるのです。
　しかし、女性の皆さんは男性が書いた生理痛の記事を読みたいと思いますか？　もしかしてChatGPTが非常に優れた情報を出してくれて、その情報が参考になることもあるかもしれません。ですが本当にそれでいいのでしょうか。
　男性の場合、前立腺がんの体験談を前立腺のない女性が書いているというイメージがわかりやすいでしょう。がんになり、症状が進み余命を聞かされ残りの人生について悩んでいる時に、AIが生成し女性ライターが少し文章を調整して掲載した記事を読んで、本当に救われるのでしょうか。

記事との付き合い方が変わってくる

　このような状況が起きると人と情報との付き合い方が変わってくるでしょう。100%読まないわけではないですが、「こういう記事は読みたいけど、こういう記事は読みたくない」など考えるかもしれません。
　そこでChatGPTに以下の質問をしてみました。

　ここでの注目点は特に下線を引いた部分といえるでしょう。

1. 専門家や第三者が提供する情報の信憑性を評価する能力が一層重要になる

2. いい加減な情報を提供するブロガーやライターは淘汰のリスクが高まる一方、独自の経験や視点、スタイルでの情報提供は引き続き価値がある

１については、読み手の能力が問われることになります。そして２については、AI時代になってもやはりその人の考え方を表した情報は引き続き価値があるということです。つまり「AI時代だからAIに文章を書いてもらえばいいじゃない」というライターはいずれ淘汰されるというわけです。

体験していない人が書いた記事を見抜く方法

　ここで気になるのは、AIが書いた記事を見抜く力です。例えば、男性がChatGPTを用いて書いた生理痛の体験談は、どのようにして見抜けばいいのでしょうか。

　ChatGPTは、興味深い解答をくれました。自分が苦手なことを書いています。

1. ChatGPTは客観的な情報は提供できるが、個人的な感情や深い経験を表現するのは難しい

2. 記事が一般的で抽象的

　ChatGPTも生理痛は経験できません。だからより深い経験についての表現は難しいということですね。ここからわかることは、客観的、抽象的なものならAIが書いたと考えるべきだということです。

AI時代はより読解力が求められる

　ここで思うこと、それは「私たちはAIが登場する前より、AI登場後の方が読解力が求められるのではないか」という点です。そこでChatGPTに以下の質問をしてみました。

　国語が苦手だった人には、絶望的な内容ではないでしょうか。

1. AI時代は情報の質や真実性を判断する読解力や情報リテラシーが一層重要になる

2. 真偽を見分ける力や情報の背景を探る能力、そして情報源となる場所や人物の信憑性を評価する能力が求められる

　今、教育の場では、ChatGPTを使って作文やレポートを書くことに関する議論がなされています。しかし本当に大事なのは、読み解く力を発達させることの方ではないでしょうか。私たちは日常、「書く」と「読む」を比較すると、仕事などで特別な事情で書いている人以外は、圧倒的に「読む」の方が多いものです。つまり「読み解く力」をAI登場以前より私たちは身につけなければならないというわけです。大変な時代になりましたね。