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選択肢が多いと目移りして買えません😵

 先日私は「今日はTシャツを2〜3枚買うぞ!」と思いお店に行きました。ところが1枚も買わずに帰ってきました。お店の中にはたんさんのTシャツがあります。「これもいいかな? あっちもいいかな?」と思って見ていたのですが、最後には「やっぱり今日は買わない」と決断しました。そして何も買わず帰ってきました。

 「それは優柔不断だからでしょ!」と思われるかもしれませんね。ですが、多分そうではないと思います。なぜなら少し前に買ったTシャツは、即決で注文したからです。とりあえずサイズだけ確認し、注文ボタンを押しました。そのTシャツとは、SpaceX社がCrew Dragonの打ち上げの成功を記念し販売したもの。SpaceX社のサイトでTシャツを購入するのは世界中にいるSpaceXファンです。商品を買いたい人が何人いるのか私にはまったくわかりません。一刻も早く注文を入れないとライバルに負けます。つまり完売になります。宇宙船に乗っていたぬいぐるみの「Demo 2 Dinosaur Plush Toy」とTシャツの2点を数分で注文しました。

 「買わなかった私」、「即決した私」、どちらも同一人物の「私」です。後者は「世界中が注目したCrew Dragonの打ち上げ成功の記念の品」ですから、Tシャツも1種類しか販売されていません。私がするのは「買う・買わない」の決断だけです。それに対し前者は、お店の中全てのTシャツが対象です。「どのTシャツが似合うかな? 涼しいかな?……」からはじまります。つまり、選択肢が多いと人は選べないのです。

 日本語に「目移り」という言葉があります。いくつもの選択肢があると、他のものに気を取られてしまい、その結果迷います。決断できません。選択肢の数が多ければ多いほど迷うのではないでしょうか。「50種類の中から3つ選んで」より、「100種類の中から3つ選ぶ」の方が大変です。

 ビジネスの世界でも「選択のパラドックス」という言葉があります。人は与えられた選択肢から選ぶわけですが、自分にとって一番いい結果を得たいものですね。つまり後で「あっち(自分が選んだ方ではないもの)にしておけばよかった」と思いたくないわけです。

 「選べます」というのは、相手に自由を与えているようですが、実はストレスを与えているのです。その結果、冒頭の私のように「買う気で行ったのに、何も買わずに帰ってきた」ということが起こってしまいます。私個人としては「無駄遣いしなくてよかった!」となりますから、それはそれでいいのかもしれません。しかし、企業としてはそれではいけません。買う気で来てくれたお客様に1枚も売ることができなかったというのは大問題です。

 「我が社の商品は良いのになぜ売れないのだろう?」という問題にぶつかることがあると思います。原因は色々あるかもしれませんが、もしかして製品が多すぎて選べないという問題もあるかもしれません。そういう時は、顧客目線になり、自社の商品を改めて見てみるといいでしょう。

 しかし、1点気をつけなければならない点があります。「商品が少なすぎると成立しない」というものもあります。例えば、印鑑の場合はどうでしょうか。田中さんが印鑑を買いに行く時「鈴木がいいかな? それとも佐藤にするかな?」という買い方はしませんね。田中さんは「田中」以外買いません。いくらたくさんの名字が並んでいても目移りすることは一切ありません。このような業種の場合、「名字ランキングトップ3だけの印鑑しか作りません」と絞ってしまっては、逆にお客様を逃すことになります。

 自社のサービスの特徴をしっかりと捉えた上で、商品の種類が多すぎるなら調整するのもいいでしょう。また、商品は100種類あるけど、「40代男性はこの中からA、B、Cが該当し、20代女性ならO、P、Qが該当する」などターゲットにより提案する商品を変えるというのも一つの手法かもしれませんね。

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