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スナックの本質~withコロナ時代にスナックどうするべきか~

コロナによる外出自粛でスナックを経営の皆さんや、お勤めの皆さんは相当大変な事態になっていると思います。

飛沫感染症と対峙した時にスナックはどう生き残るべきか。スナックの本質とは何なのか。これを考察し、新しい発展に少しでも繋がれば幸いと思います。

スナックとは何か。

定義としてのスナックはこの際割愛し、私の主観でスナックを語らせてもらう。これでもスナックに通って20年以上。夜の商売もやっていたので大体わかっている。

スナックとは座席料(つまみ付き)が数千円で、ボトルが大体3000円〜あり、店の人に飲ませるドリンクは1000円/杯、カラオケ一曲100円〜200円、飲み放題は3000円〜/2hくらいの料金設定で、カウンターが5〜10席 ボックス席が1〜3席。全部で10人から30人で満席になるような規模でやってる飲み屋である。

客単価は5000円くらいを想定していて、太いお客さんは月に5万くらい落としてくれると嬉しい感じだ。固定客が100人くらい居てくれれば安泰で、従業員1人あたりの売上は30万〜50万で2人でやっていたら100万売上げたら御の字だろう。

無論色んなケースがあると思うし、これは半分以上想像なので、何となくスナックの経営をイメージしてもらうデータとして認識してもらいたい。

売上100万規模の店にとって家賃は20万(諸々の光熱費リース料もはいる)くらいで、人件費が50万(ママの分も入る)と仮定しよう。仕入れは20万(酒、つまみ)くらいとして、10万が利益とする。多分こんなとこだと思う。

お客さんは大体1万~2万の金をスナックに落とし、何を得ているのか。アルコールなのか、歌を歌うことなのか、お年を召した方と会話をする時間なのか、そこを見ることでwithコロナ時代のスナックの在り方を再定義することが出来る。

スナックとは居場所欲求を満たす場所

さて、本題。お客さんはなぜスナックに行くのか。
もちろん様々な理由があるだろう。ママが女性として好きで通っている。そこで作るお通しが美味しいので食べたい。カラオケの音響がいいので気持ちよく歌いたい。など。
しかし一回5000円も払うのだったらそれらの代替はもっと良いものがある。

お客さんはおそらくこういう心理でスナックに行く。
家に帰っても誰も話してくれる人がいないな。家族に言っても伝わらないことだけど誰かに言いたいな。別にそんな大した話でもないし、でも聞いてもらいたいし、大胆に話したいからお酒の力も借りたいな。ついでに大きな声を出してストレスも発散したいな。ちょっとした知り合いがいるかもしれないし、何かいい話でも聞けるかもしれない。話が合うやつが一緒にいるといいな。そんな都合のいい場所は

あ、あのスナックに行こう。これである。職場でもない、家庭でもない、友人づきあいでもない。第3第4の自分の居場所。これがスナックの本質ではないか。

居場所欲求とはマズローの欲求5段階説で考えると3番目の社会的欲求の部分だと思う。

自分が社会に必要とされている、果たせる社会的役割があるという感覚。情緒的な人間関係についてや、他者に受け入れられている、どこかに所属しているという感覚。愛を求め、今や孤独・追放・拒否・無縁状態であることの痛恨をひどく感じるようになる。
不適応や重度の病理、孤独感や社会的不安、鬱状態になる原因の最たるものである。
wikipedia

刹那的でもいいので、孤独感や社会的不安を埋めてくれる存在。それがスナックの機能ではないかと思う。

その観点で行くと、同じお酒を提供する店でも、居酒屋、バー、キャバクラ、とスナックでは役割が全く変わるのである。居酒屋はコミュニケーションを円滑にする場所であるし、バーは瞑想空間で、キャバクラは承認欲求を満たす場である。

つまりスナックの競合は上記に非ず、オンラインゲームのギルドや草野球などのサークル活動のようなものである。同じ地域で酒好きで歌好きの同好会費を払っている感覚がスナックユーザーのニーズに近いと思う。

これからのスナックはどうマネタイズするべきか

しかしながらこの感染症リスクによって、小さな空間でひしめき合うコミュニケーションはどんどん嫌煙されていくだろう。スナック愛好家のような多くの人たちは”居場所”を失いこれからそれをもとめ彷徨うことになると思う。

スナックの経営者にはとても頭が痛いことで、お客さんのコミュニケーション欲求は満たしてあげたい。だけど酒をツールにした商売じゃないとその居場所を提供し続けることは費用対効果が合わない。酒をツールにしたスタイルでは感染症リスクにさらされてしまう。

そこでこれからの時代でスナック的居場所を提供するビジネスモデルを少し考えてみた。

1.オンラインサロン式スナック

オンラインサロンとはクローズドな環境のWEBコミニティーである。月額料金を支払いWEB上のさまざまな手法で主催者と双方向のコミュニケーションが取れる。まあ有名なので説明は割愛する。

これをスナックに当てはめると、ママは主催者となり従業員の子は運営スタッフのような形である。オンライン相談のような形で1on1の通話イベントを開催したり、複数人のフリートークイベントをやったり、料理レシピの公開、お店からのライブ中継などが見れるようにすると面白いかもしれない。

お店の大ファンなら課金してくれるだろう。

2.地域に根差したサークルの主催

例えば草野球チームやフットサルチームでもいい。カラオケ同好会でもおやじバンドなどでもいい。何かやりたい人はいっぱいいるが、主催となると面倒だしやりたくない人が多い。その主催部分を買って出ることで運営だけを行うのだ。

これは実際に私が通っていたスナックのママがこんなことを良くしていた。自分では競技は何もやらないのだが、人数の調整や裏方仕事をやって常連のさまざまな活動をバックアップしていた。スナックのママをやる人には世話好きが多いので、あまり苦にならずやれるだろう。こういうことをやっているスナックは多いと思うが、きちんとビジネスとしてやるのである。あまりお金にならないのでは?と思うかもしれないが多くはないが安定的なマネタイズは出来ると思う。

草野球であれば運営費や事務局費の名目で自分が動いた分を徴収し、試合後の打ち上げでお店を貸し切りにするなどして固定の飲み会を開催できる。それほど密にならなければ自粛解禁後、仲間内ならという理由で飲みに行きやすくなるだろう。これらを複数運営することで安定的な売り上げを作ることが出来そうだ。

3.地域情報ポータル的ビジネス

スナックは地域の情報源であったりする。ものすごい狭い世界での情報になるが、それだけに発信する人も少ない。そしてそれはそこに住む人にとっては貴重である。隣の客とママが話していたことが地域のお役立ち情報で助かったことは結構ある。

そういった地域ならではの情報をメルマガのような形にしてパッケージ化して販売するというのはどうだろう。例えば引っ越してきたばかりの人に向けてこの町で生きていく上で役に立ちそうな情報をコンテンツとして売る。スナックのママがおすすめするお店は美味しい店が多かったし、例えばママの選ぶランチマップなどは何も知らない土地では有用だと思う。

その町の規模にもよると思うが、それこそ、このnoteのような形で販売し、twitterなどで常連客にコメントを入れてもらえばそこそこ需要はあるような気がする。

そして会員制に

居酒屋の記事でも書いたが、withコロナ時代、やはりこれから来店型のビジネスは満席でぎゅーぎゅーをビジネスモデルにするのは厳しいと思う。客入りをコントロールし一見さんお断りのような形にシフトするのがベターと思われる。普段からそれほどお客さんが入らなくてもやっていける店はそれでいいかもしれないが、結構混むことで成り立っていた店は会員制のような形で入店客数をコントロールする方向にシフトするべきだろう。そして常連を囲い込む戦略に行かざるを得ないと思う。

そこで上記のように来店しなくてもある程度マネタイズできる方法を確立し、減った売り上げをいろんな方法で補う形がWINWINの関係になると考えている。

どんな形であれ居場所を守っていただけるとスナックファンにとってはありがたい限りです。

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