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第3章マーケティングリサーチ:マーケター1年生のための包括的マーケティングブック。

第3章:マーケティングリサーチ

この章では、定量的および定性的な調査方法、データ分析、解釈など、マーケティングリサーチの基本を網羅しています。また、日本におけるマーケティングリサーチの具体的な例も取り上げています。


3.1 マーケティングリサーチとは
3.2 定量的調査方法
 3.2.1 アンケート調査
 3.2.2 実験法 3.2.3 観察法
3.3 定性的調査方法
 3.3.1 インタビュー調査
 3.3.2 フォーカスグループ
 3.3.3 ケーススタディ
3.4 データ分析と解釈
 3.4.1 記述統計分析
 3.4.2 推測統計分析
 3.4.3 データの解釈と活用
3.5 日本におけるマーケティングリサーチの具体的な例
 3.5.1 食品業界
 3.5.2 家電業界
 3.5.3 旅行業界
 3.5.4 医療業界
 3.5.5 インターネットサービス業界
 3.5.6 小売業界
 3.5.7 金融業界
 3.5.8 スポーツ業界
 3.5.9 エンターテイメント業界
 3.5.10 環境・エネルギー業界
3.6 まとめ

第3章:マーケティングリサーチ

3.1 マーケティングリサーチとは

マーケティングリサーチは、市場や消費者に関する情報を収集・分析し、その知見をもとにマーケティング戦略を立案・実行するためのプロセスです。マーケティングリサーチは、企業が競争力を維持し、成長を実現するために重要な役割を果たします。マーケティングリサーチには、定量的調査方法と定性的調査方法の2つのアプローチがあり、それぞれ異なる目的で活用されます。

3.2 定量的調査方法

定量的調査方法は、数値データを収集し、統計的に解析することで、客観的な情報を得るための調査手法です。以下に、定量的調査方法の主な種類を示します。

3.2.1 アンケート調査

アンケート調査は、消費者から意見や評価を直接聞くことができる定量的調査方法です。アンケート調査は、郵送、オンライン、電話、対面などさまざまな形式で実施されます。各形式にはそれぞれ特徴と利点があります。例えば、オンラインアンケートは迅速で低コストで実施できる利点がありますが、対面アンケートはより深い回答を得られる可能性があります。アンケート調査は、製品やサービスの利用状況、消費者のニーズや満足度、ブランドイメージなど様々な観点から情報を収集することができます。

3.2.2 実験法

実験法は、研究者が環境をコントロールし、特定の要因が対象に与える影響を測定する定量的調査方法です。実験法は、因果関係を明らかにすることが可能であり、新製品の効果や広告戦略の有効性を検証する際に利用されます。

3.2.3 観察法

観察法は、消費者の行動を直接観察し、そのデータを収集・分析する定量的調査方法です。観察法は、消費者の購買行動や店舗内の動線などを調査する際に利用されます。

3.3 定性的調査方法

定性的調査方法は、数値データでは表現できない情報を収集し、より深い理解を目指すための調査手法です。以下に、定性的調査方法の主な種類を示します。

3.3.1 インタビュー調査

インタビュー調査は、対象者と直接会話を行い、その意見や感想を収集する定性的調査方法です。インタビュー調査は、消費者の意識や動機、購買意思決定プロセスなどを深く掘り下げる際に利用されます。

3.3.2 フォーカスグループ

フォーカスグループは、複数の対象者を集めてグループディスカッションを行い、意見や感想を収集する定性的調査方法です。フォーカスグループは、新製品やサービスの開発、広告戦略の検討など、アイデアを共有し、意見を交換することが求められる場面で活用されます。

3.3.3 ケーススタディ

ケーススタディは、特定の事例や現象を詳細に調査・分析する定性的調査方法です。ケーススタディは、成功事例や失敗事例から学ぶことができ、ビジネス戦略やマーケティング手法の改善に役立てられます。

3.4 データ分析と解釈

3.4.1 記述統計分析

記述統計分析は、データの要約や概要を示すことが目的の分析方法で、平均、中央値、最頻値、標準偏差などの基本的な統計量を用いて、データの特徴を把握します。記述統計分析は、データの全体像を理解するための第一歩として活用されます。

3.4.2 推測統計分析

推測統計分析は、サンプルデータから母集団の特性を推測するための分析方法です。信頼区間や仮説検定などの手法を用いて、一部のデータから全体の傾向や差を評価します。推測統計分析は、マーケティングリサーチの結果を一般化し、効果的な戦略を立案する際に利用されます。

3.4.3 データの解釈と活用

データ分析の結果を適切に解釈し、マーケティング戦略や意思決定に活用することが重要です。分析結果をもとに、消費者のニーズや市場の動向を把握し、新製品開発、広告戦略、価格設定などの具体的なアクションプランを策定します。

3.5 日本におけるマーケティングリサーチの具体的な例

以下に、日本におけるマーケティングリサーチの具体的な例をいくつか紹介します。

3.5.1 食品業界

食品業界では、消費者の味の好みや健康志向、地域性などを考慮した新製品開発や、既存製品の改善が行われています。マーケティングリサーチを活用し、消費者のニーズに応える商品展開が実現されています。

3.5.2 家電業界

家電業界では、製品の機能やデザイン、価格設定などが消費者の購買意欲に大きく影響します。マーケティングリサーチを通じて、競合他社との差別化や市場ニーズを把握し、効果的な商品戦略を立案しています。

3.5.3 旅行業界

旅行業界では、消費者の旅行先選びの傾向や、宿泊施設や観光地の評価などが重要な情報となります。マーケティングリサーチを活用して、ターゲットとなる消費者層のニーズや期待を把握し、アトラクションやサービスの改善が行われています。

3.5.4 医療業界

医療業界では、患者の治療経験や満足度、医療機器の使用感などを調査することで、より良い医療サービスの提供や、新しい医療技術の開発に役立てられます。また、医療従事者向けの調査も行われ、治療方法や医療機器の改善が進められています。

3.5.5 インターネットサービス業界

インターネットサービス業界では、ユーザーの利用状況や満足度、競合サービスとの比較などを調査し、サービスの改善や新機能の開発が行われています。また、オンライン広告の効果測定やターゲティング戦略の最適化も、マーケティングリサーチを通じて実現されています。

3.5.6 小売業界

小売業界では、店舗内のレイアウトや商品陳列、価格設定などが消費者の購買行動に影響を与えます。マーケティングリサーチを用いて、効果的な店舗運営やプロモーション活動を企画し、売上向上を目指しています。

3.5.7 金融業界

金融業界では、顧客の資産運用やローンニーズ、金融商品の評価などを調査することで、ターゲット顧客のニーズに合ったサービスや商品開発が行われています。また、顧客満足度の向上やブランドイメージの構築も、マーケティングリサーチを通じて実現されています。

3.5.8 スポーツ業界

スポーツ業界では、ファンの満足度やスポンサー企業の評価、観戦環境の改善などを調査し、スポーツイベントの成功や選手のマーケティング戦略が策定されています。

3.5.9 エンターテイメント業界

エンターテイメント業界では、映画や音楽、舞台などの評価や消費者の嗜好、関心事を調査することで、効果的なプロモーション活動や新作コンテンツの企画が行われています。また、タレントやアーティストのマネジメント戦略も、マーケティングリサーチを基に策定されています。

3.5.10 環境・エネルギー業界

環境・エネルギー業界では、消費者の環境意識や省エネルギー製品の評価、再生可能エネルギーの導入状況などを調査し、市場ニーズに応じた製品開発やサービス改善が行われています。また、政策や規制に関する調査も行われ、産業全体の持続可能な発展に寄与しています。

3.6 まとめ

マーケティングリサーチは、市場や消費者に関する情報を収集・分析し、その知見をもとにマーケティング戦略を立案・実行するための重要なプロセスです。定量的調査方法と定性的調査方法を組み合わせて活用することで、企業は競争力を維持し、成長を実現することができます。日本の様々な業界で、マーケティングリサーチが効果的に活用されており、市場ニーズに応じた製品開発やサービス改善が行われています。

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