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組織に投資する その2

前回の続きです。

まずは人に投資する、その結果…

組織に投資する大前提は、
まずは人に投資することと考えます。

人に投資することで、その人材が成長します。

すると、この後に組織の問題、関係性の質に影響します。

関係性の質が悪いと、その人は自分が身に着けたスキルを共有しません。
信頼しない同僚に共有しても自分が損する可能性が高いと考えるからです。
仮にしたとしても、
同僚たちが素直に受け入れるかも不明です。

しかし、関係性の質が高ければどうでしょう。
信頼できる同僚たちに共有することで、チーム全体の成果が上がります。
それは結果として自分の成果にも繋がるので、誰も損をしません。
むしろ共有することで、同僚からのフィードバックを受けることで、
自分の学習がさらにレベルアップする期待も持てます。

「たられば」の話ではなりますが、
この2つの組織の差は相当に大きいと思います。

結果もさることながら、
投資した人材その人にとって居心地のいいチームはどちらかを考えれば自明でしょう。

中には、孤立した環境で一匹狼のように個人の結果に拘る人もいるかもしれませんが、
私は自分が所属する組織に、そのような人はいて欲しくない。
たとえどんなに優秀な結果をもたらすとしても、
私自身が楽しく仕事ができないので、意味がないのです

関係性の質はどこで見極める?

さて、
関係性の質における、質の高さとは何を基準にしたらいいのでしょう。
定量的に計るのは難しいと思います。
となると、定性的に考えるしかないと思います。
・仕事に取り組む社員たちの日頃の言動で他者や相手を慮っているか
・意見が対立した時の相手に対しても一定の敬意を示してるか
・相手の仕事や立場に立って考えているか、
といった様子は業務的なところで感じることができます。

もっとシンプルなところで言えば、
・挨拶が多い、
・お互いに感謝や労いの言葉が交わさられている、
・困っている人がいたら、率先して協力している、
・有給や病欠に対して協力し合っている、
といった日常的なところでもよいと思います。

これが醸成されていくと、
働きやすい、居心地のよい組織に変わっていきます。
人は基本的に、安心できて、自分らしくいられる場に対しては愛着を持ちますので、
結果として、その組織に対するエンゲージメントが高まることになります。
愛着のある組織が維持され、そこで信頼できる仲間が増えて行くことは
単純に自分事として嬉しくなります。
いわゆる心理的安全性が生まれ始めてきたとも言えるかもしれません。

そして、
この組織を維持するために、必要な利益を創出することに
自分事としての意義を見出すことにも繋がります。

もちろん結果の質、すなわち業績が上がれば
報酬が増えるという側面も見逃せません。
報酬が増えることは、仕事へのやりがいになりますし、
自己承認が高まることのひとつの大きな要素となります。

どうやったら関係性の質はあがるのか?

では、こうした変化をどのようにして作っていくのでしょうか?

基本は話し合う時間を増やすことです。
これに尽きます。
月に最低1回、できれば2回くらい、
2~3時間を取って、お互いに話し合う場を作ることから始ります。

初めの段階では、困難な仕事の話は一旦置いておきましょう。
話がこじれるだけです。

・今楽しいこと、
・最近嬉しかったこと、
・近々計画している楽しみなこと、
・学生時代の思い出や家族の話、
こうしたことを、差し障りのない範囲でよいので、共有し合う時間を作るのです。

これは話し合いというより雑談だと思われるかもしれません。
しかし、上手く絡み合うと「対話(ダイアログ)」へと変わっていきます。
これが大事な一歩です。

話し合いの時間を設けるメンバーの順番はとても重要です。
社長と管理職から進めることが大事です。

では早速社員にやらせよう、と考える人が多いですが、
私はそれは時間のムダになると思います。

社員が仮に変わったとしても、
上が変わらないと、結局意味がないからです。
せっかく社員が変化してきたのに、
その意義を理解しない上司やトップが、
話を覆してしまっては元の木阿弥にしかなりません。

中小企業であれば、社長を含む上層部から始めなければなりません。
上の関係性が変わり始め、
幹部同士や社長と幹部の間の空気感が変われば、
その様子を社員たちは必ず肌で感じます。
そうすれば、自ずと部下も変わってきますから。

社長自らが率先して幹部との関係性の質を良くしていくことで、
部下たちの日常業務の進め方は大きく変わります。

社長や幹部がその変化を自ら納得する。
社員同士が話し合いの場を作るのはその後。
上が変わったと実感した場であれば、
現場もその場についての信頼感も高まるので、より効果的に進みます。

対話なんて時間のムダ?

ある意味雑談めいた話に、わざわざ数時間も時間をかけるということに
参加者は最初は戸惑いを感じます。
社長や幹部であればあるほど、時間のムダと感じる度合いは高いです。
「こんなことして意味があるのか?」
「仕事をしていた方がましだ!」
こうした反応が必ず出てきます。

しかし、そこは社長が信じて続けるしかありません。
私の経験値では、4~5か月は反発が続きます。
しかし、ある一定のところに来ると
幹部たちはその時間を待ち遠しくなるタイミングが来ます。

なぜなら、社長と幹部、幹部同士の関係性がよくなり、
仕事が上手く進むようになるからです。
例えば、
今まで面と向かって言えなかったことが、言いやすくなる。
問い質してやっと聞けていた話が、自然に聞こえてくるようになる。
といった現象が起こります。
そしてさらに数か月経つと、このように口を揃えます。
「この時間を部下たちにも持たせよう」と。

ここまで来れば、
成功循環の1サイクルが回ったことになります。
上手く行くようになった人たちの話し合いの場は、
雑談やともすると探り合いの場から、
「対話」の場へと進化します。

次回その3に続きます。


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