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SDGsに向き合ってみる

SDGsという言葉を目にしない日はありません。もはや世界的な潮流であり、大企業はもちろんですが、中小企業としても何かした方がいいのか?という空気感を感じることがしばしばあります。

最初に言いますが、
SDGsの目指すところについて、
私個人として特に異論のある内容はありません。
未来の社会を考えたら当然考えたり、行動することは
望ましいというのが私の個人的な認識です。

では経営者の立場として考えてみた場合です。
私の経営する会社は従業員数40人程の零細企業です。
社会の課題を解決する前に、
まずは会社の存続が第一という一面もあります。

式にするとこんな感じ。

会社の存続>社会的課題の解決

利己的に見えるかもしれませんが、
経営者としては、
社員の雇用と顧客へのサービスの提供を継続するためには
会社を存続させることが仕事ですから、
それこそが最大の責任だと思うわけです。

そんな私が、
経営者としてSDGsに対して、
果たして何かできることはあるのか、
向き合ってみました。

SDGsという言葉をメディアを見ていると、
環境問題、人権、ジェンダー
といった領域で語られることが多いような気がします。

ここで改めて紹介すると、
私の会社は雑貨品や食品を通信販売で一般消費者に販売する会社です。
通販というと最近ではECですか?と聞かれることが多いのですが、
わが社ではECの比率は5%に満たず、
新聞や折込チラシ、TVショッピング、DMが販売チャネルのほとんどです。
そして顧客層は高齢者が中心です。

こうした経営環境において、
自社がおかれたリアリティから向き合った場合、
環境、人権、ジェンダーの社会問題について先進的な取組みが
業績に影響するということは正直なところ現時点では非常に少ないと感じています。

SDGsにきちんと向き合わない会社は
これからは世界でビジネスを展開することは出来ない!
という意見も見聞きします。
その論調に反論するつもりはありませんが、
それ以前に自社が来年も生き残れるかどうがが、
私にとっての経営の優先順位であることと言わざるを得ないのがリアリティです。

自社のビジネスを考えてみた場合、
例えば自社の販売活動においてはレジ袋は使いませんから、
その削減に貢献はできません。
段ボールは大量に使いますが、
段ボールはリサイクルの優等生と言われているので、
その点では貢献できているかもしれません。
因みにプラスチック系の緩衝材は使いません。
段ボールの折りで商品を固定するからです。
これは環境というよりも、
コスト面と、顧客のゴミ分別の手間の軽減が主目的ですが。

二酸化炭素の排出を直接削減できるような取組みも
自社で出来ることは正直特に思いつきません。

ではジェンダー関連で見てみます。
うちの会社では男女の雇用格差は基本はありません。
賃金も男女差はなくありません。
違いは成果と年功を多少考慮するくらいです。
だいたい賃金で男女格差を作るということは
賃金制度を複雑化させて社長、人事、経理の観点が増えてしまい
結果作業量が増えるだけと思っていますので、
私はやりたくありません。
シンプルが一番です。

待遇や出世にも格差は設けません。
恣意的な格差を作ると、合理性や公正性が損なわれます。
不満が出ても、合理的な正当性を主張できないのです。
結果としてトップの説明責任が増えるだけでなく、
正論に対して仁義なき戦いを余儀なくされますので、
無意味な手間が増えるだけになります。
面倒くさいことはしたくないという思いが背景です。

シンプルに実績や能力、本人の意欲といったもので判断する方が合理的で、
経営判断もラクなわけです。
わざわざ男女格差や恣意的な要素も考慮するとなったら、
面倒が増えるだけというのが私の考えです。

そんなことを考えながら、
SDGsの解説を読み進めます。
世界には色々な課題が山積しているなと思うものの
そのすべてにリアリティを感じられるわけでもありません。
しかし、
これだけ社会全体の課題として語られています。
「全く何も考えていない!」
「そんな無視してりゃいいんだ!」
というほどの確信も信念もありません。

というわけで、
少しは私なりに、我が社なりに考えてみます。

「我が社もSDGsと真摯に向き合っています。」
と、言っておかなきゃな!

良し悪しはさておき、
やはりこんなことも考えるわけです。

そんな軽薄な考えでSDGsを語るな!
とのお叱りもあるとは重々承知しています。

しかし、
零細企業にできることは限られています。
身の丈に合わせて出来る範囲のことしか出来ないのです。

よしんば私が言葉だけ声高に叫んでも、
社員も含めて自分事に思えることで、かつ現実的に持続可能な取組みでないと
会社全体として推進できません。
一時的にできたとしても、
継続できなければ、本質的な意味はないと思うからです。

話を戻して、
私なりに資料を読み進めてみると
こんな項目がありました。

8.働きがいも経済成長も

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こういう項目もあったんだ!
というのが率直な感想です。
なぜなら、
これは私が自分の思うところとして
最優先にずっと取り組んできたことと思えたからです。
これもSDGsなの?って感じです。

初めて読まれた方は過去の記事をご参照いただけると嬉しいのですが、
「働きがいのある人間らしい仕事を推進する」ことは
今までも追求してきましたし、
これからも追求していくことになります。
そしてこの先事業継承をしていったとしても、
おそらく続いてくことになるでしょう。
これは私も社員も共通した思いだと断言できます。

なぜか?
そもそもの動機は
自分が必要以上の苦労を背負わずにラクしたいという
いわば利己的な思いからです。
しかし、
「ラクして稼ぐ」
は、全ての人とは言いませんが、
出来るのならばそれに越したことはないという人の方が多いと私は思ってます。
だからこそ社員の働きがいや働きやすさを追求することで
会社の業績を上げていくことを目指して経営してきました。

自分が面倒なことに振り回されたくないから、
社員に納得感をもって、
出来れば楽しく仕事に取り組んで欲しい。
社員が働きがいをもって協力し合って
前向きに自律的に仕事に取り組んでくれれば、
会社もきっと上手く行くはず。
その結果社長の悩みは大いに減るはずで、
私は面倒なことに巻き込まれずに経営に取り組むことができるというストーリーです。

SDGsにきちんと真剣に向き合おうとするならば、
他の項目でも何かできることはあるかもしれません。
また会社としてだけでなく、
社員ひとりひとりがそれぞれの考えに基づいて
これからやりたいと思うことや、
すでに行動していることもあるでしょうから、
それはそれで応援したいと思いますし、
それもまた会社として取り組むことに繋がるとも私は思うのです。

では社員が個人で取り組む場合に
会社ができる具体的な応援方法はなにか?

それは
社員が残業なしに帰れて、
有休もきちんと取れる体制を維持すること位かな、
と思うのです。
それでも十分な応援になると私は思っています。

そうした応援を持続していくために必要なことは何かというと、
会社がきちんと顧客を増やして、売上を伸ばすか少なくとも維持して、
利益もきちんと出し続けることが必要なことは言うまでもありません。

とすると、
SDGsに向き合うということは
まずは結局は会社の業績を安定させて、成長させて、利益をきちんと出す、
という至極当たり前なことを愚直にやり続けることが大事なんだなあ、
という結論に至りました。

会社の身の丈か、
ちょっとの背伸びで出来ることをして、
社員それぞれが、それぞれに考えることを行動できるように
経済的に、時間的にできる会社を維持する。

まずはこれを愚直に進めていこうと思います。

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