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ラグビー雪の早明戦 1987

大学ラグビー人気絶頂時代の伝統の一戦

NHK-BSの「あの試合をもう一度!スポーツ名勝負」で、1987年12月6日に行われた大学ラグビー対抗戦、早稲田大学対明治大学戦、いわゆる「雪の早明戦」と語り継がれている名勝負を楽しみました。結果は知っているのに、後半10分位からの攻防には興奮しました。

この試合が行われた時、私は19歳の大学1年生でした。大学ラグビーの人気が沸騰していた頃の名勝負です。大学ラグビー界を牽引してきた伝統の両雄、早稲田と明治が激突する関東大学ラグビー対抗戦の最終戦は、12月第一週の日曜日に固定されています。ラグビーシーズン屈指の好カードとして今も人気を集めていますが、当時は徹夜で並んでも観戦チケットが取れない程の人気がありました。

雪の残る超満員の旧国立競技場

前日に降り積もった雪が残る旧国立競技場は6万人を超える観客で超満員。スタンドは明治の紫と白、早稲田の臙脂と黒の小旗が打ち振られ、選手達が出てくると割れんばかりの大歓声が湧き起こります。こんな雰囲気で試合ができる選手達は本当に幸せだろうなあ、と羨ましく思います。

ラグビーファンならばお馴染みですが、「フォワードの明治、バックスの早稲田。縦の明治、横の早稲田。」と言われます。強力な重量級フォワードがスクラムやモールで圧力をかけ、相手ゴール前へのハイパント攻撃で「縦へ」突進してくる明治。フォワード第3列の機動力を活かして泥臭くボールを奪い、バックスの華麗な「横へ」のオープン攻撃でトライを奪う早稲田。この試合の実況を務めたNHKの斎藤洋一郎アナウンサーが形容したように、両チームのチームカラーも、得意とするプレースタイルも対照的です。

この試合、早稲田には、No.8清宮克幸(日本ハム・清宮幸太郎選手のお父さん)、SH堀越正巳、WTB今泉清、明治にはNo.8大西一平(主将)、WTB吉田義人など、日本ラグビー史に名を残す錚々たるプレーヤーが出場していました。レフェリーは、真下(ましも)昇さん。時代を感じます。

最大の見物は残り10分の攻防

この試合最大の見所は、後半ロスタイムに入ってからの早稲田ゴール前での攻防です。7-10とリードされた明治は、相手陣内の反則で得たペナルティでも、キックによる同点を狙わず、なりふり構わずトライを奪っての逆転勝利を目指します。

明治の波状攻撃を、必死の連続タックルで防戦する早稲田のディフェンスは素晴らしいの一言です。スクラムを組んだ時、泥だらけの両チームの選手から発せられる白い湯気が立ち上るシーンは感動的ですらあります。

明治の猛攻を凌ぎ切って勝利した早稲田の永田主将のインタビューも印象的で、私は当時テレビを観ながら涙したような記憶があります。ラグビーに詳しくない人にも是非見て欲しい一戦です。(YouTubeでも視聴可能)

ラグビー人気よ、再び

この時1年生だった早稲田の堀越選手と明治の吉田選手は、4年間大学ラグビーの象徴として、国民的人気を博しました。この熱闘の3年後、共に主将としてチームを牽引し、全勝同士で激突した1990年の早明戦では、12点差をつけられていた早稲田が、試合終了直前、2つのトライとゴールで奇跡的に追い付き、引き分け両校優勝という名勝負を演じています。

1990年代前半を頂点に人気が停滞もしくは低迷傾向だった日本ラグビーは、日本代表チームのRWC2015での南ア戦での勝利、RWC2019での予選突破の大活躍で、再び盛り上がってきています。ラグビー人気の復活は嬉しいことです。オールドファンのひとりとして、私も密かに日本ラグビーを応援していきたいと思っています。

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