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金曜日の随筆:罪悪感より強力な羞恥心

また運命を動かしていく金曜日が巡って来ました。2022年のWK49、師走の弐です。本日は臨時休業でした。先週、先々週は内省的に過ごし、運動不足になっている自覚があったので、今日は10㎞ Walkingして汗を流しました。

Walking中は例によって『荒木博行のbook cafe』を聴いていました。12月7日放送回の、近内悠太氏との対談(4周年記念雑談)の中で出てきた「罪(guilt)よりも、恥(Shame)に強く動機付けられる」という話が大変興味深かったので、このことばを起点にして、私の考えを膨らませてみることにします。

今週の格言・名言《12/5-11》

Your lifework can be found near whatever brings you happiness.
ライフワークは「幸せ」の近くにある

As long as you have a good goal and never stop trying, success is certain in the end.
常によい目的を見失わずに努力を続ける限り、最後に必ず救われる。

Johann Wolfgang von Goethe poet/Germany     ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ 詩人/ドイツ

「恥」の感情がインストールされている

博識な二人の対談は、テーマが次々と展開していきます。よくそのような発想ができるよなあ、と関心しながら聴いていたら、近内氏が、

外から与えられたルールではなく、内側から自分で獲得するルールがある

ことを、ダーウィンの進化論を引用しながら、説明してくれました。ルールが内面化されることで、法律や罰則を用いなくても、勝手に共同体のルールに沿って行動するようになる、ということが起こります。この原理を悪用して、人々に自分たちに都合よく動かすための道徳を刷り込もうとする為政者や支配層がいます。

ダーウィンの研究では、恥を感じた時に顔が赤面する現象は、全ての人類で起こり、罪を感じた時には見られない現象であることから、「羞恥心」という感情は、人類にプレインストールされているのではないか、という話になっていきました。

辱められることに傷つく

近内氏が言われた

恥をかきたくない、人に馬鹿にされたくない、人に笑われたくない、という動機は、自然な感情として持っている

には、「まさにそうだなあ」と思いました。私も、自分の言動や行動を指摘されて「恥」の感情が駆動すると、本当にいたたまれない気分になり、一気に心が沈みます。この法則を悪用すれば、人を痛烈に批難し、辱めたい時には、相手の「恥」の感情を喚起するような攻め方をするのが効果的だという話にもなります。アメリカ駐在していた頃、アメリカ人にとって、『Shame on you!(恥を知れ!)』は、最大限の侮辱ことばであり、相手を烈火の如く怒らせることになる、以後の関係修復は不可能になる、と教えられたことを思い出しました。

恥の感情に支配される

目的達成の為に、人間にプレインストールされている恥の感情を利用して、最大限の効果をあげている成功事例は、おそらくは宗教であり、教育でしょう。繰り返すことで、洗脳行為になります。

何が恥ずかしい行為なのかを、自分自身が自発的に規定してしまうと、一種の強迫観念になり、行動が規定されます。相手を支配して操りたい側からみると、非常に都合のいい状態になります。日本は「恥の文化」が強く、同調圧力の強い社会です。「KY(=空気が読めない)」「イタイ奴」などの侮蔑ことばが氾濫しています。

「恥」をかくことを怖れはじめると、自発的に考えたり、行動したりすることが億劫になり、思考停止、責任放棄の態度に繋がっていきそうです。それを防ぐには、知の探究を怠らず、跳ね返すだけの耐力の養成が欠かせません。知への好奇心だけは、生涯喪ってはいけないのでしょう。

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