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『世界は経営でできている』を読む

本日は、岩尾俊兵『世界は経営でできている』(講談社現代では新書2024)の読書感想文です。

売れている一冊

本書は、売れているらしい、面白いらしい、という口コミを耳にして、ミーハー気分で購入しました。確かに、ネット上で抜粋記事を目にしていたし、書店に行くと何冊も平積みされていて、人気があるらしいことが伺えました。売れる本には、必ず理由がある筈なので、興味を持って手にしました。ただ、購入したのが確定申告作業をやらなければならなかったり、読書全般への気力が減退していた時期だったので、しばらく積ん読状態でした。

著者の岩尾俊兵氏は、帯によれば、慶應義塾大学商学部准教授で『13歳からの経営の教科書』などの著作があるとのことです。私は「初めまして」の著者でした。経営の研究家と想像しました。

経営でできている15+1項目

本書は、15の項目、〜貧乏・家庭・恋愛・勉強・虚栄・心労・就活・仕事・憤怒・健康・孤独・老後・芸術・科学・歴史〜 と人生は、「経営でできている」という、章立てになっており、全体的に読み易くなるように工夫されています。「経営」というキーワードは、一般的にイメージされるビジネス用語よりは、広範な意味で使われていて、一種のメタファー的に扱っている章もあります。

集大成は、「おわりに」に配置されている、「人生は経営でできている」だと思いました。著者の本書執筆の目的が、本来のあるべき「経営」、すなわち

価値創造を通じて対立を解消しながら人間の共同体を作り上げる知恵と実践

P195

という役割を毀損してしまっていることに警鐘を鳴らすことにあるように思いました。他の章では自虐やユーモアを交えながら、極力ソフト路線になるように記述を進めているのに比して、この章はどストレートに主張を叩き込んでいる印象を受けました。普段は柔和で謙虚を装いつつも、本質は結構辛辣でシニカルなタイプの人なのかな...... と想像したりしました。

経営する難しさ

私自身は読了後も「経営」ということばの意図する本質を、完全には掴みかねています。私は、普段使われるビジネス用語の「経営」を、「なんとかすること」という概念で捉えていて、公共性とか歴史的意義のような観点から眺めたことがありませんでした。

各事例には、生きる上で参考になる気づきも多くあったので、日常生活に活かしていければいいなと思います。現時点では、きっと私の読み込みが浅いのでしょう。あまり、的確な感想文を書けている気がしません。(本がテーマの記事は、毎回そうですが)

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