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あの頃好きだった曲❿… さらば愛しき危険たちよ

120日間目一杯チャレンジする初日のnoteテーマは、『あの頃好きだった曲』にしてみます。第十回は、歌詞が沁み渡るJUN SKY WALKER(S)『さらば愛しき危険たちよ』(1995)の思い出を綴ります。

1995年の前半は特別な時期

1995年の前半は、とんでもない事件が相次いで起こった時期でした。中でも双璧なのは、
1月17日(月)阪神淡路大震災
3月20日(月)地下鉄サリン事件
です。

超弩級のこれら事件が、短い期間に立て続けに起こったことで、しばらくは、鈍感な私の神経もやられているように感じていました。毎日下を向き、不安な気持ちを抱えながら、当時は東京丸の内にあった会社のビルに通っていた気がします。

歌詞が好き

そんな中、4月1日に発売されたのが、JUN SKY WALKER(S)のこの曲でした。EPIC SONY移籍第一弾のシングルでした。彼らの楽曲では、『白いクリスマス』(1989)がお気に入りでした。彼らが残したスローテンポのバラードには名曲が多いと思います。

ジャパニーズロック系のバンドの歌詞に一瞬で衝撃を受けた経験は殆どありませんでしたが、この曲の詞はかなり刺さりました。特に好きなのが、後半のこの部分です。

君が淋しくてつらい日は
僕をすぐに呼び出せばいい
僕が倒れて橋になろう その上を渡ればいい

作詞・作曲:宮田和弥・伊藤聡

20代だった私は、この歌詞のカッコよさに痺れて、何度も何度も聴き直しました。日曜日の深夜にドライブしながら、明日からの戦いを前に、この曲で気持ちを鼓舞した夜が何度もありました。

平気で人の上を渡る奴

特定の誰かをイメージして語る訳ではないのですが、善意で倒れて橋になってくれている人の上を平気で渡っておいて、一向に顧みない人に何人か出会いました。自分がそうするのは当然の権利と言わんばかりのデカい態度で、倒れて支えてくれている人を蔑むような眼を向けるか、あるいは、無視を決め込んで…… 

そういう不義理で人情に乏しい人は、いつかそのさもしい正体がばれて、天誅が下るだろうと見ているものの、不思議とスイスイと人生の河を渡り続けます。今も善人面をして、他人に指図する側の人間として君臨しています。そういう不条理がまかり通るのも社会なのかもしれません。

実際には、私も人を批判する資格なんてなくて、平気で似たような行為を誰かにしてきた可能性は否定できません。自分の欠点や短所は、自覚はあっても極力見ないふりをしてしまうものでもあります。

だからこそ、自分はずる賢いなあ……、手を抜いているなあ……、不義理を働いているなあ…… と感じた時には、自分を戒め、この曲の歌詞を思い出そうと思っています。自分が大切に思う人の為に、倒れて橋になる気概だけは、死ぬまで喪ってはいけないなあ、と言い聞かせながら生きていきたいと思います。たとえ、私の上を半笑いで、唾を吐きながら渡っていく人がいたとしても、信じて倒れたい、と今は思っています。



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