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ヒトの移動の自由が制限される時代がくるかも

1都1府5県に緊急事態宣言が出されて一週間が経ちました。新型コロナウイルスの潜伏期間から発症までに3~14日程度あると言われているので、現時点で全国に感染者数が増え続けているのは想定範囲内でしょう。来週どうなっているかですかね。

【参考】
PCR検査陽性者(≒感染者) 7,645、有症状者 4,794、死亡者 109
ー 厚生労働省 2020/4/14 12:00時点集計

日常生活に必要な行動までは禁止されていないので、私及び家族の生活が著しく影響を受けているということはありません。制圧すべき敵は目には見えないウイルスなので、ヒトとヒトとの接触を抑制する=感染機会を減らすことが感染拡大に効果的であるという理屈は理解できます。

これまでにパンデミック認定された感染症で完全制圧されたのは天然痘だけという話も聞きます。ある程度感染拡大が制御され、効果的な治療方法が確立するまでは、脅威は続いていく覚悟も殆どの人は出来ているでしょう。

普段は当たり前と思っているヒトの自由な移動が制約を受けると、経済活動への打撃は甚大です。ヒトの移動が減ると、高度に張り巡らされた各種インフラに、こんなにも簡単に打撃を与えるのかと再認識しました。裏を返すと、人が最低限生活を維持していく為の日々のエッセンシャルワークってそんなに多くはないのだ、ということかもしれません。

或る地点から或る地点へ物理的に移動する為の手段と時間と快適性を競うサービスは拡大と高度化の一途を辿っていました。移動の利便性は格段に向上したし、コストも大幅に下がりました。これまで一貫してずっとヒト・モノの移動を加速させる流れできました。

今の警戒態勢が解除されたら、ヒトの移動ニーズも多少回復するでしょう。ただ、今後はヒトの無制限な移動の自由には制限がかかる流れになるのではないか、という予感がしています。

私は前職で貿易政策に従事していました。2000年代以降、貿易自由化、市場開放が国の発展に寄与するという理論が全盛で、世界中で二国間/多国間EPAが締結され、結貿易障壁の撤廃が一気に進んだ時代でした。ヒトの移動の自由、資本移動の自由も一気に進みました。

しかし最近は、競争力の強い国やコングロマリットや富裕層が、自由競争ルールを悪用してやりたい放題やる弊害が目に付くようになり、ルールの見直しや規制の動きが広がっていました。

輸出相手国の産業を破壊するくらい輸出攻勢を仕掛けたり、制度の不備をついて支払うべき税金逃れをしたり、義務を果たさずに権利だけを享受したり、といった行為に対しては歯止めが必要だと思います。

今回のコロナ騒動を口実として、各国当局も自由なヒトの移動を制限する動きがあるのでは、と感じています。

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