見出し画像

米下院議員、AOCを調べてみた

本日は、今アメリカで最も人気と勢いがある政治家のひとりと言われている、民主党のアレクサンドリア・オカシオ=コルテス(Alexandria Ocasio-Cortez ”AOC” 1989/10/13-)下院議員について、調べてことを記録します。 社会民主主義(democratic socialism)の政治姿勢を標榜する31歳の彼女は、どういう人物なのでしょうか。

画像1

アメリカと社会主義

私がAOCの名前を知ったのは、「米国で社会主義(Socialism)が台頭してきている」という関連記事を読み漁っていた2018~2019年頃です。

2016年の大統領選挙では、与党であった民主党予備選挙で、左派のバーニー・サンダーズ(Bernard "Bernie" Sanders 1941/9/8-)が大躍進する現象が起きました。”自由主義の本丸”というイメージのあった米国で、社会主義が人気を集めているというニュースを不思議に思い、当時の仕事上のニーズもあって、米国の政治動向をフォローしていました。AOCは、サンダースの選挙活動を支援した経歴があり、その動きを先導する旗手のひとりとして紹介されていました。

アメリカで社会主義の台頭が顕著になってきたのは、トランプ政権が樹立された後のようです。「格差」や「分断」が社会問題として頻繁に取り上げられ、AOCもメンバーになっている左派系の政治団体「アメリカ民主社会主義者 Democratic Socialists of America (DSA)」は、全米中に急速に会員数を伸ばしています。

もっとも、米国でいわれている社会主義とは、マルクス=レーニン主義的社会主義・共産主義とは異なり、福祉制度の充実や高所得層への課税強化、環境保護など、プログレッブ(Progressivism、進歩主義または革新主義)的な政策を支持する立場であるとされます。

AOCの略歴

ニューヨーク・ブロンクス地区生まれで、プエルトリコ人の両親を持つAOCは、労働者階級出身を自負し、そのことが自らの政治姿勢にも大きく影響していると認めています。

高校在学中に、微生物学分野の研究プロジェクトでインテル国際学生科学技術フェアの2位に入選。ボストン大学の教養学部を”優等”の成績で卒業している才媛です。順調にエリート街道を歩んでもおかしくないキャリアを持つ一方で、大学在学中の2008年には父親を亡くしており、母親の生活を助ける為、大学卒業後には、マンハッタンのタコス料理店でバーテンダー兼ウエイトレスとして働いた経歴も持っています。

2018年、政治の世界に身を投じた最初のニューヨーク州第14選挙区予備選挙で、現職候補を破る大番狂わせで民主党下院議員候補に選出されます。続く秋の中間選挙では、共和党の候補も破って、史上最年少の女性下院議員となっています。

優れたスピーチ能力

政治家になくてはならない資質は、スピーチ能力でしょう。私が思い出すスピーチの名手は、バラク・オバマ(Barack Hussein Obama II 1961/8/4-)元大統領ですが、AOCも卓越したスピーチ能力を持っています。

AOCが能力の一端を示したのが、2020年7月に下院議会で行ったスピーチかもしれません。

2020年7月に下院議事堂内でフロリダ州選出の共和党のテッド・ヨホ議員(Theodore Scott Yoho 1955/4/13-)から浴びせられた侮辱的発言が問題となりました。ヨホ議員は、「自分には妻と二人に娘がおり、女性蔑視主義者ではない。発言はAOCに向けたものではない」と弁明しました。

AOCは、ヨホ議員の品位を欠いた明らかに女性蔑視的態度と苦しい弁明を単なる個人攻撃に終わらせず、全世界にはびこる文化的問題、社会的問題へと広げて、批判する内容にまとめました。浸透しつつあるマンスプレイニングの問題にも影響を及ぼす重要なメッセージになっていると感じます。

賛否両論の声も

現在のAOCは、米国政治界で動向が注目されている存在です。彼女の持つ人物的魅力(容姿・聡明さ・出自・経歴など)、政治的バックグラウンド、フレッシュさが評価され、過去に積み上げてきた政治的な実績や手腕以上に、人気や知名度が先行している印象はあります。周囲からはその嫉みもあるのか、「期待先行で、注目され過ぎ」という批判もあるようです。

ツイッター、インスタグラムなど彼女のSNSのフォロワー数は急上昇中で、知名度もうなぎ上りで、「民主党の未来を担うライジングスター」としての地位を着実に固めつつあります。

現職のバイデン(Joseph Robinette Biden Jr. 1942/11/20– )米国大統領は、高齢による健康不安もささやかれ、二選目への出馬は微妙だという話もあります。足元の民主党政権下で、社会主義的政策への追い風が更に進めば、現在31歳と若く、幅広い人気のあるAOCが次期大統領候補に推される可能性もあるのではないか、という話もあります。



サポートして頂けると大変励みになります。自分の綴る文章が少しでも読んでいただける方の日々の潤いになれば嬉しいです。