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ウヨクとサヨク

子供の頃から、現在に至るまで頻繁に耳にしてきた言葉なのに、未だによくわからないのが「右翼」「左翼」です。これまでも何度か専門の書物にあたったりして調べてみましたが、私の理解力不足なのか、どうもしっくりきません。

政治的信条とか政策論の議論では、"右翼的思想"とか、"左翼的政策"という言葉が出てきますが、議論の前提となる「右翼とは…、左翼とは…」という包括的な知識が自分の頭の中に定着していないので、具体的にイメージが出来ず、混乱することが多いです。右翼≒保守、左翼≒リベラル と混同されがちなので余計です。

成人した大人が、きちんとした政治的信条を持ち合わせていないというのは情けないし、無責任だという思いがあります。『そもそも「右翼」「左翼」とカテゴライズすることこそ無意味』という意見もありますが、そこで興味を切ってしまって、『だから知らなくてもいいや』では思考停止です。自分の持っている価値観が、右翼的か左翼的か、どちら寄りの思想に親近感を抱いていて、どちら寄りの政策を支持する傾向が強いのか、自分なりに確認しておいた方が良いと思っています。

そんなことを考えたのは『優しいサヨクのための嬉遊曲』という著書のある作家の島田雅彦氏が、ウヨクとサヨクについて纏めていた文章に出会ったからです。

ウヨクの価値観では「駄目なものは駄目だ」とか、「伝統だから、守るべきだ」といった感情的頑固さが評価されるが、サヨクの価値観ではその態度こそが頑迷で、唾棄すべきものとなる。どっちもどっちではあるが、サヨクは弁もたつし、話が面白い。だが、権力もカネもない。ウヨクは朴訥で、凡庸で、話がつまらない。だが、有力者とのコネがあり、権力への野望もある。ウヨクはサヨクの理屈っぽさ、理想主義が大嫌いで、サヨクはウヨクの知性の欠如、無批判な同調性をバカにする。独りよがりと切れやすさ、自分たちには仲間がたくさんいると思い込んでいるところだけはよく似ている。
 - 島田雅彦『筋金入りのヘタレになれ』P97-98

『ウヨク』『サヨク』とやわらかいカタカナ表記になっているので、とっつき易いです。島田氏はサヨクを自認している人なので、ウヨクに手厳しい感はありますが、私の抱いている「右翼」「左翼」の特徴を捉えている気がします。

この2016年発行の『筋金入りのヘタレになれ』(ベスト新書)は他の章も面白い話多数なので個人的にはお薦めです。色々なテーマについて自分の意見を整理する機会になるのではないでしょうか。



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