『世界の中心で、愛をさけぶ』を観る
報道が過熱してきた新型コロナウイルス感染症がさすがに気になって、外を出歩くことに気後れする毎日です。積極的に活動しまくる意欲が沸かず、この週末は家籠りしていました。amazon primeで動画コンテンツを漁っていたら、今さらながら、『世界の中心で愛をさけぶ』に辿り着き、映画版とドラマ版の両方を堪能しました。
「セカチュー」ブームが吹き荒れたのは、2004年のことです。私はこの時期に日本にいなかったので、この作品が流行っていた空気感を知りません。観ているうちに、私の過ぎ去った30代や、高校時代の記憶を辿る感覚になりました。ひたすら動画を観続けていたので、妻から雷を落とされたのはいうまでもありません。
私は、片山恭一氏の原作小説を読んでいません。主人公二人以外の登場人物設定やストーリーは、映画とドラマとでは大幅に変えられています。主要エピソードこそ踏襲されていますが、人物の描き方や焦点の当て方が大きく違っていて、それぞれ特有の解釈が盛り込まれていると感じました。映画版もドラマ版も「あり」で、エンタテイメントとして十分堪能できました。
森山未來・長澤まさみが高校時代の松本朔太郎・広瀬亜紀を演じる映画版は、以前に飛行機の中かテレビの再放送かで観た記憶があります。山田孝之・綾瀬はるかのコンビが演じるテレビドラマ版は今回が初めてでした。
この作品で主人公の高校時代を演じた4人は、当時はまだ駆け出しか無名に近い新人だったと思いますが、今ではみなビッグな役者になっています。脇役にも現在活躍中の俳優が目白押しで、意外な人が意外な役に配されているのも魅力です。
【映画版】堀北真希、尾野真千子、マギー、大森南朋、高橋一生、津田寛治、渡辺美里、天海祐希、森田芳光、ダンディ坂野
【ドラマ版】田中浩太朗、柄本佑、夏帆、本仮屋ユイカ、田中圭
この作品に惹かれてしまったのは、舞台である主人公たちの高校時代とほぼ同じ時代を、私が高校生として経験しているからだろうと思います。物語の展開に重要な役割を果たすウォークマンとカセットテープは、今の日常生活ではほぼ絶滅危惧種になっています。
今の10~20代の人にとっては共感のできない小道具かもしれませんが、好きな人に自分の好きな曲を集めたカセットテープを贈るのは、当時の常套手段でした。この作品の【音源版の交換日記】も"あるある"です。
数年前にヒットした『君の膵臓を食べたい』も、このセカチューに似たような設定、コンセプトの作品だと感じました。こちらは、小道具は現代にアップデートされています。良質な学園モノの物語には普遍的なニーズがあるのだと思います。一見経験できそうで、実際には経験できない高校時代の純愛物語には私も憧れを感じます。
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