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箱根駅伝2021を展望

本日のnoteは、昨年に引き続き『箱根駅伝2021展望』をやります。タネ本は昨年同様『箱根駅伝2021完全ガイド』(ベースボールマガジン社)です。

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駅伝シーズン前哨戦の振り返り

今季は、新型コロナウイルス感染症流行の影響で、年前半は予定されていた競技会が軒並み中止となりました。学生寮が閉鎖され、チーム活動の中止に追い込まれた学校もあったようです。学生アスリート達は日々のトレーニングもままならない状況の中、コンディションやモチベーションの維持が難しい日々を過ごしたことと思います。

駅伝シーズン開幕戦の出雲大学駅伝も中止となり、今年は11月の全日本大学駅伝が大学駅伝の緒戦でした。各校実力伯仲で前半から目まぐるしく首位が交代し、順位変動の激しいレースとなりました。最終八区まで混戦となり、学生長距離界屈指の実力者、田澤廉選手が各校のエース対決を制した駒澤大学が6年ぶりの優勝を飾りました。

2位の東海大学、3位の明治大学、4位の青山学院大学、5位の早稲田大学も主力選手が仕事をし、それぞれ見せ場を作りました。今年は1年生のレベルが高く、スーパールーキーと呼ばれる存在が、各チームに点在しています。各区間の距離が20㎞を超え、上級生の経験とスタミナが有利に作用する箱根駅伝で彼らがどんな鮮烈デビューを飾るのか楽しみです。

12月4日に行われた日本選手権10000mでは、学生ランナー4名が27分台をマークするなど、学生長距離界の競技力向上は目覚ましいものがあります。

二連覇へ駅伝力充実の青山学院大学

前回大会の優勝校で二連覇を狙う青山学院大学は、今年も分厚い選手層を誇る優勝候補の一角です。

全日本大学駅伝では、アンカーに起用された吉田圭太選手が本調子ではなく、エース対決に敗れて4位に沈んだものの、三区で好走の二年生、中村唯翔選手、五区で区間新記録をマークしたスーパールーキー、佐藤一世選手、七区で区間賞獲得の主将、神林勇太選手がしっかりと結果を出しました。

過去2回五区山上りを経験している竹石尚人選手がチームに残り、前回優勝メンバーの岩見秀哉選手、飯田孝之選手、湯原慶吾選手ら計算できる選手たちも健在です。前回二区を走ったエース格の岸本大紀選手が16名のエントリーから外れたのはマイナス材料なるも、各学年に軸となる素材がしっかり育ってきています。

ライバル校との実力差は殆どないので、原監督の区間起用に注目です。

四年生三本柱で虎視眈々と狙う東海大学

前回2位の東海大学は、チームを支えてきた黄金世代がごっそり卒業したものの、主将の塩澤稀夕選手、名取燎太選手、西田壮志選手の四年生三本柱がチームの核となり、チーム力を維持しています。三人はいずれも高校時代からトップを争うエリートランナーで、互いに切磋琢磨して実力を磨き上げてきました。彼らにとって、最後の箱根駅伝はその経験と努力を証明する集大成の場になります。

全日本大学駅伝の四区で区間新を叩き出したスーパールーキー、石原翔太郎選手が往路主要区間に使える目途が立ち、六区で区間新の長田駿佑選手、五区で好走の本間敬大選手の両三年生、一区七位のルーキー、佐伯陽生選手も計算できる戦力。往路には優勝争いできる強力メンバーが揃います。

前回七区で好走した二年生の松崎咲人選手を欠くものの、両角監督は今年も虎視眈々と優勝を狙うチームに仕上げています。

大エースの使い所がポイントの駒澤大学

優勝からしばらく遠ざかっている駒澤大学も、13年ぶりのタイトル奪還のチャンスです。前回も有力選手が揃ったものの、1、2区のもたつきでレースの主導権を握れないまま往路を終了。復路も爆発とはいかず、総合8位という不本意な結果に終わりましたので、リベンジに燃えているでしょう。

優勝した全日本大学駅伝では、アンカー田澤廉選手の快走を呼び込んだ7人の着実な走りが光りました。箱根の出走経験がある準エース格の四年生、加藤淳選手、伊東颯汰選手、小林歩選手、新戦力と期待される二年生の酒井亮太選手、山野力選手、スーパールーキーの鈴木芽吹選手、花尾恭輔選手も学生駅伝の経験を積みました。

箱根駅伝では、大砲、田澤選手の破壊力をどの区間で活かすのか、名将・大八木監督の手腕が注目されます。

三年生主体の早稲田大学

早稲田大学は、力のある選手が揃う三年生が主力のチーム。選手層の薄さが指摘されますが、主力10人のコンディションがきっちり揃えば、十分に優勝争いできるチャンスがあります。全日本大学駅伝では三区起用の中谷雄飛選手が区間賞を獲得して首位を奪うと、続く四区の太田直希選手も快走。六区途中まで首位を守りました。

中谷、太田の両選手は、日本選手権10000mで27分台をマークし、好調を維持しています。全日本大学駅伝出走を回避した三年生では、エース格の千明龍之介選手、前回六区山下りを経験している半澤黎斗選手も貴重な戦力。二年生では前回箱根経験者の井川龍人選手、鈴木創士選手が昨年より力をつけています。ルーキーの辻文哉選手は全日本一区6位と好走しました。

相楽監督は、高校時代のトップ選手、早稲田系列校出身の選手、一般入試組の叩き上げの選手をミックスさせたバランス良いチームを作っています。

その他の見所

その他の有力校では、全日本大学駅伝4位の明治大学の充実が目立ちます。大エースこそいないものの、個人のトラック、ロードでの走力強化が進み、駅伝力も大幅にアップしています。就任二年目の山本佑樹監督の育成力、チーム掌握術が評価されています。

前回3位に躍進した國學院大学も、学生トップクラスの実力を持つ藤木選手、中西(大)選手を擁し、台風の目になりそうです。前回5位の帝京大学も前回経験者が多数残り、ロードの長い距離には定評のあるランナー達が揃います。國學院・前田監督、帝京・中野監督の采配も注目です。

冒頭に書いたスーパールーキーの競演も見ものです。実力者揃いと言われる一年生の中でも今季ひときわ目覚ましい活躍を見せ、既に日本トップクラスの走力を示しているのが、中央大学・吉居大和選手と順天堂大学・三浦龍司選手です。ふたりがどの区間を走るのか要注目です。

前回三区で59分台の驚異的な区間記録を出した東京国際大学のヴィンセント選手、10000m27分台ランナーの仲間入りをした日本体育大学の池田耀平選手、駅伝では浮き沈みが激しいものの実績十分な東洋大学・西山和弥選手の爆走にも期待大です。


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