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Markover 50 の読んだ本

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Markover 50の読んできた本の読書感想文を収めています。
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2022年11月の記事一覧

『絶望から出発しよう』を読む

本日は、宮台真司『絶望から出発しよう』(ウェイツ 2003)の読書感想文です。 偶然…社会学者で、東京都立大学教授の宮台真司(1959/3/3-)氏は、アカデミズムの範疇には収まりきらない活躍をされており、当代屈指の論客でもあります。 本書は、この日曜日に購入し、本日読了したばかりです。内容の記憶がまだ鮮明なうちに読書ノートを残しておこうと決めて、パソコンに向かったところで、宮台氏が本日夕刻に八王子市の東京都立大学キャンパス内で男に刃物で切りつけられて負傷した、というニュ

SHADOWの思想

本日は、発売されたばかりで現在読み進めている、佐々木実『今を生きる思想 宇沢弘文 新たなる資本主義の道を求めて 』(講談社現代新書2022)の終章のタイトルになっている『SHADOWの思想』ということばを受けて、現時点での私見をまとめておこうと思います。 経済学者・宇沢弘文宇沢弘文(1928/7/21-2014/9/18)氏は、「二部門成長モデル」「宇沢コンディション」「社会的共通資本」等々数々の優れた研究で功績を残し、世界的な経済学者として知られる存在です。成長優先、市場

『ペスト大流行』を読む

昨日は家族と調子よく過ごしていて、またしても記事投稿を飛ばしてしまいました。しっかりと反省し、気を取り直して今日から再出発します。本日は、自宅で積ん読状態になっていた村上陽一郎『ペスト大流行‐ヨーロッパ中世の崩壊-』(岩波新書1983)の読書ノートです。あとがきを含めて189頁とコンパクトにまとまっている書物です。著者の紡ぐ文体との相性が良かったのか、読み始めてから2時間弱で読了できました。 ペストって?著者の村上陽一郎氏(1936/9/9-)は、科学思想史の大家、『安全学