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【読書】雲を紡ぐ/伊吹有喜

自分の気持ちを上手く人に伝えられない美緒の物語。
確執ある三世代の親子の話。

言葉少ない祖父の発する言葉のひとつひとつが響く。

「明確な目的もないのに、つらい状況を我慢させ続けるのは
酷だと言っているんだ。お前たちだって逃げてもいいんだぞ」

「大事なもののための我慢は自分を磨く。
ただ、つらいだけの我慢は命が削られていくだけだ」

「言はで思ふぞ、言ふにまされる。」
(いえないでいる相手を思う気持ちは、口に出して言うより強。)

祖父は遠くからただ見守り、真実を見抜いているように私には見えた。
ただ見守ることがどれだけ難しいか…
親になってこの難しさを日々体感している気がする。
こどもが成人したというのに「ただ見守る」が私はできていないと反省しきり。

家族の確執が絡まった糸をほぐすかのようにゆっくりほぐしていき、新しい家族の関係を紡いでいくそんな物語だった。
懸命に生きている人たちの物語。
ささくれた心が少し軽くなったような気がした。

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