見出し画像

「東京を見るな!世界を見よ!」入山章栄、伊佐山元、渋澤健らが語ったTECH BEAT Shizuoka 2023

今年も7月の大型イベント TECH BEAT Shizuoka 2023が無事終了した。今年は初めての3日間開催。2023年7月19日水〜21日金まで100社越えのスタートアップ、6,000人強の参加申込み者が東静岡にある会場グランシップを目指した。
私はプロデューサーとして立ち上げの2019年から関わっているのが、コロナ禍のオンライン開催や分科会(農業、水産業、医療業 etc)を含めて9回目開催の今年になり、ようやく実施したいことが一体化して動いてきた感覚がある。参加者全員が静岡の未来、日本の未来を考えながら行動することが増えてきたことに手応えを感じる。スタートアップ×静岡企業のビジネスマッチングが目的のTECH BEATではあるのだが、今年は静岡が東アジア文化都市のホスト都市となっており、ビジネス×アート/文化も体感できる挑戦も行ったこともTECH BEATのユニークネスを体感してもらうキッカケともなった。


👀「東京を見るな!世界を見よ」 入山章栄 / 伊佐山元 / 芳川裕誠氏らが応援する静岡から世界へ挑戦する者たち

早稲田大学 入山教授とTECH BEAT Shizuokaを支える静岡銀行 八木頭取とのセッション

当noteタイトルの「東京を見るな!世界を見よ」は早稲田大学大学院 入山章栄教授がセッション内で語った言葉だが、実はこのキーワードは至る所でも語られておりTECH BEATの目指すものともなってきている。

Carbide Venturesの芳川裕誠氏、Wil共同創業者 伊佐山元氏のセッションでも「東京を見るな!世界を見よ」のメッセージが発せられた。そして、海外スタートアップと組み世界を目指す静岡企業の可能性、世界に挑戦できる国内スタートアップと組み静岡企業が世界進出する可能性についても語られた。

ロサンゼルスから駆けつけてくれた海藻テックスタートアップのCashiCake三木アリッサ氏は静岡のマリンオープンイノベーション機構MaOIと共同研究を発表し グローバル×地方創生 を静岡から行っていくことを発表した。これは静岡の資産をスタートアップが世界に持っていく良い事例となるだろう。

米国で海藻テックを展開するCashi Cake inc.、静岡県および一般財団法人 マリンオープンイノベーション(MaOI)機構と世界初海藻機能性飲料「OoMee」を使用した研究開発に着手 ~海藻由来の乳酸菌の可能性を広げ、グローバル×地方創生の新しいビジネスモデルを発表~

静岡企業の大きな挑戦の成果も発表された。昨年のTECH BEAT Shizuoka 2022において、静岡建設会社3社(加和太建設、木内建設、須山建設)で発足した建設DXコミュニティーON-SITE Xが、今年47都道府県の建設会社を仲間にした。昨年発足宣言したビジネスコミュニティーが静岡県から文字通り全国に広まっているのだ。TECH BEATが企業の垣根を超えて新たな共創を応援するプラットフォームにもなり得ることを感じることができる嬉しいニュースである。

ON-SITE Xをリードする三島の建設会社 加和太建設の河田亮一社長

🦅人口減少の日本が目指すは、量よりも質。渋澤健氏の伝える人的資本

TECH BEATの特徴は東京でもなかなか一堂に介さない多忙な業界トップランナーが集まることにもある。宇宙ビジネスを目指すスタートアップとともにセッションを行ってくださった慶應大学の白坂成功教授、そしてAI第一人者、東京大学の松尾豊教授も2019年開催開始から常連として登壇くださっている。松尾教授の今年のセッションでは "ChatGPTという社会現象"というキーワードと共に、医療・製造・金融という業界特化型のLLM(大規模言語モデル)を作ることが日本の産業にとって良いのではないか?というアドバイスをくれた。

そして、TECH BEAT初登壇となるが私が心待ちにしていたセッションが渋澤健氏のセッションだ。世界を舞台に活躍する渋澤氏が静岡のオーディエンスに語りかけたのは、俯瞰力を身につける必要性、枠から一歩外に出る、その視点を養うことの大切さである。

TECH BEAT Shizuoka 2023で公演する渋澤健氏
「常識とはいかなるものか」渋沢栄一
知 情 意 の三者が権衡を保ち 平等に発達したものが完全の常識だと考える。
知 情 意 を俯瞰して見られること、中庸でいられる状態というのを目指すべきと渋澤健氏は語る

私が渋澤健氏の講演を聞き感じたのは、渋澤栄一氏は「自分が作りたい未来のビジョンを持ち、行動する。枠にはまらないこと。」を大切にしていた方だということ。組織の枠、自分の常識の枠に俯瞰的視点を持ち行動することの大切さが、活気ある次世代を導くと信じている。渋澤氏の講演では人的資本が過去の日本を行動成長、存在感ある国に導いたと語る。少子高齢化の流れは変えられないのであれば、少人数であったとしてもキラリと光る視座を持ち、リーダーシップを取れる人材を増やしていくことが日本の活路ではないかと考えられる、良い視点をいただけるセッションだった。

🖼️アート×ビジネスの挑戦:天野喜孝×メラタケルギャラリー企画 @ TECH BEAT Shizuoka

冒頭で述べた通り2023年、静岡は東アジア文化都市のホスト都市である。よって、TECH BEATでも通常のビジネス商談だけではなく、文化的体験ができるようなものも提供すべく、オフィシャルプログラムとして以下の挑戦を行った。アート×ビジネスをつなげることも豊かな歴史と文化を持つ静岡ならではのユニークネスを出すためには必要な仕掛けではないか、と振り返ってみて感じる。

  1. SPAC芸術総監督である宮城聰氏と慶應義塾大学 宮田裕章教授による対談。「 新時代の地域価値創造:デジタルとアートの交差点」というタイトルで、これからの社会に必要なアートの力、演出力について語り合う

  2. 静岡企業、スタートアップと共に楽しむSPAC静岡県舞台芸術センター(Shizuoka Performing Arts Center)観劇、富士山静岡交響楽団演奏鑑賞

  3. "ファイナルファンタジー" キービジュアルを手がけた天野喜孝氏と静岡県藤枝市出身のクリプトアーティストメラタケル氏の企画展

  4. アーティスト メラタケル氏に制作いただくTECH BEATオリジナルNFTアートを来場者全員にプレゼント

「 新時代の地域価値創造:デジタルとアートの交差点」
SPAC芸術総監督である宮城聰氏と慶應義塾大学 宮田裕章教授による対談。
メラタケル氏のクリプトアートを鑑賞する静岡県 川勝平太知事
来場者アンケート回答者全員にプレゼントされたメラタケル氏のNFTアート

今回参加してくれたアーティスト達はすでに静岡から世界に挑戦している。SPACの宮城聰芸術総監督はフランス芸術文化勲章シュヴァリエ受章する歴とした国際的芸術監督である。世界中にファンがいる天野喜孝氏率いるZIELCHAINプロジェクトがTECH BEATに参加することを知るとTwitter上では中国やロシアのコミュニティが応援してくれた。

来場者特典NFTを作り、企画展示もしてくれたメラタケル氏もクリプトアーティストとしてニューヨークやパリでの講演・展示も成功させている。世界的に活躍しているアーティストの声を直接聞けることも来場者にとっても励みになったに違いない。

🚀来年に向けて

静岡県内企業がスタートアップとつながること、トップランナーから学ぶことにより多くの商談やイノベーションのヒントを見つけてもらうのがTECH BEATの目的である。ただ、イノベーションのためにはビジネスだけを学ぶのではなく、文化を嗜み、新たな視点を学ぶことも大事であることを今回感じた。早稲田大学入山教授が言うところの「知の探索」である。知の探索をするためにもふさわしいTECH BEAT Shizuokaとなることが、日本各地および世界からも多くの来場者を惹きつけるものとなるのではないか。来年に向けてのプロデューサー、事務局としての知の探索もすでに始まっている。

ぜひ来年の7月も多くの知が交わるイベントとなるので、一人でも多くの方にご来場をいただきたい。

ーーー
余談ともなるが、AIアルゴリズムを駆使して指一本でオーケストラと演奏ができてしまうような技術と体験を作っているヤマハのクラヴィノーバは私にとってのアート×テクノロジーの最高峰の体験であったこともここに記しておく。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?