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『命乞いする蜘蛛』#毎週ショートショートnote

忘れられた廃屋で生きるひきこもりの蜘蛛がいた。
危険のない、穏やかな暮らし。ひっそり暮らすことが蜘蛛にとって何よりの幸せだった。大きな獲物はいらないが大きな巣を作っては、その美しさにドヤ顔で、作品と呼べる巣の上をあちこち動き回っていた。

ある時、隣に人間が住み始めた。人は食物を食う。それに群がるように獲物たちが出てきて、蜘蛛の巣にひっかかるようになった。蜘蛛は焦った。このままだとこの穏やかな生活が失われてしまう。繁栄はいらない。子孫もいらない。蜘蛛は初めての拒絶、孤独、そして自己強迫観念を覚えた。

ついに人間が作品である巣を破壊した。蜘蛛は激しい怒りでやってきた人間を刺した。
その瞬間、その人間は赤と青のタイツをまとったスーパーヒーローとなった。大いなる力には、大いなる責任が伴う。それを信念とするスーパーヒーローのヒーロー活動が、ひきこもり蜘蛛に対する命乞い行為だと知るものは誰もいない。





ひきこもりの創造へ役立てたいと思います。わたしもあなたの力になりたいです★