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読書日記

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#読書感想

読書日記*死にたがりの君に贈る物語

『#読書の秋2021』の課題図書に『死にたがりの君に贈る物語』という本があって読んでみた。 知らないうちに涙が落ち、一気に読み終えた。 最初は何も情報を入れないで、ちょっと斜に構えた感想を書いてみようかと思っていたら、この作者の想いを読んでしまった。 もうただの感想は書けない。 純恋のようにファンレターを書いてみようと思う。 ただ著者が読んでくれればそれでいい。 ※下記、ファンレターですがネタバレを含みます。 綾崎隼さまへ 『死にたがりの君に贈る物語』電子書籍で読ませて

読書日記*短編集(アンソロジー)おすすめの2冊

読んでいる本で、わたしのまわりの空気が変わる気がする。 たぶんその本の世界の空気が流れていたまま、時間を過ごしてしまうからじゃないかと思う。 続けて読んだ2冊は作家さんも作品も変わり、いろんな空気が流れてた。 チーズと塩と豆と4人の直木賞作家がヨーロッパの国々を訪れて描く、味と味覚のアンソロジー。 ごはんを食べることは生きていくこと。だけどそれは楽しいことだったり、悲しんだり義務だったり、希望だったりする。 4人の作家さんの個性が出て、コース料理だけど、それぞれのお皿が旨

読書日記*時空を超える物語『楽園のカンヴァス』原田マハ

わたしは物語の中にしかない時間を、これほどまでに美しく描いている作品にあったことがない。 キュレーターふたりの目線と伝説のコレクターバイラーの目線、絵の中のヤドヴィカとそして巨匠ルソーとピカソの想い。 この物語は巨匠ルソーの名作『夢』に酷似した絵の真贋判定をめぐって時間が流れる。「正しく真贋判定をした者に絵を譲る」と伝説のコレクターが選んだキュレーターに告げ、物語が展開していく。 交差する時間の中に、すっと入っていける。 作中の真贋を図る『夢をみた』という作品が、ほんと

読書日記*言葉の力を知る『本日は、お日柄もよく』原田マハ

言葉は、その場の空気を一変させる。 この本は、伝説のスピーチライターの祝辞に衝撃を受けた主人公が、スピーチライターという道を選んで悩みながらも進んでいく、お仕事小説。 わたしはこの本を読んで、ますます言葉というものの力を知った。 言葉にはチカラがあって、人を感動させ、勇気を与え、生きるチカラになる。 最近のわたしは、こうやって毎日、書いている。 言葉を、組み合わせて、伝えることが難しくて、勇気がいって、でも、誰かのこころに響いてくれているかもしれないと、書く。 たぶん

読書日記*HSPおすすめ本。オタクにささげる『ハケンアニメ!』辻村深月

この本を読んでわたしは泣いた。いろんな想いが変わった。 心の奥で認められた喜びと、もっと前を向こうと思う気持ち。そしてアニメの見かたが180度ぐらい変わった。 アニメは『画面の中に流れる、音と絵の連動。主人公の表情、コスチューム、セリフ、圧倒的な視覚で”魅せる”ということ。』と辻村深月さんはいう。 ぼーっと眺めていたアニメがそこまで丁寧につくられていたなんて考えていなかった。そしてそれをつくる人のこころも考えてなかった。 ここからいつもより引用多めですが、ネタバレなしです。