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読書日記

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2021年4月の記事一覧

読書日記*闇とは光とは何か『教団X』中村文則

この世界に闇はある?光はある?と、物理的なことじゃなく考えてる。人はだれも自分の中に闇があって、光を求めて生きている。光だと思って安心していると突然、闇の中へ放りこまれ、また光を探してさまよい歩く。 光があっても、それが当然になり、暗さが欲しくなり闇が忍び寄ることに、ぞくぞくする感覚を覚えてしまう。 こどもの頃、大人になりたいと願ったのは、闇を持った大人たちを真似したいからだろう。 失敗しない(負けない)ゲームは、おもしろくないから、不幸は少しずつ心に入り込み、やがてそれが

読書日記*言葉の力を知る『本日は、お日柄もよく』原田マハ

言葉は、その場の空気を一変させる。 この本は、伝説のスピーチライターの祝辞に衝撃を受けた主人公が、スピーチライターという道を選んで悩みながらも進んでいく、お仕事小説。 わたしはこの本を読んで、ますます言葉というものの力を知った。 言葉にはチカラがあって、人を感動させ、勇気を与え、生きるチカラになる。 最近のわたしは、こうやって毎日、書いている。 言葉を、組み合わせて、伝えることが難しくて、勇気がいって、でも、誰かのこころに響いてくれているかもしれないと、書く。 たぶん

読書日記*恋の終わりは人を強くするのか『白いしるし』西加奈子

”女32歳、独身。誰かにのめりこんで傷つくことを恐れ、恋を遠ざけていた”主人公の恋物語。 今回もネタバレなしですが、もやもやとした人への気もちに向き合うことを、とっても考えた本です。 職業柄、絵を描く人間や、音楽を扱う人間に会うことが多いが、それは、そういう人間によくある特徴だった。自分のもやもやとした、でも確実にある「思い」を、ぴたりと言い当てる「言葉」を考えつかない。無理に言い表すと、そこに僅かでも齟齬がうまれるから、言葉を使うことを手放し、それを絵画や、音楽で表現する

読書日記*ああ面白かったと感じることが夢『ひとりずもう』さくらももこ

さくらももこさんの本は、笑いながら泣けてしまうことがある。 繊細すぎる感性で、イタく感じてしまったりかわいいと笑ってしまったり。お亡くなりになるまで、まる子ちゃんそのままのような、こどもの感性の人だったみたい。 この本はさくらさんが漫画家になるまでを書いた自伝エッセイ…なんだけどまるでまる子ちゃんが話しているような世界。笑ってしまうけれど、まっすぐでやさしい。 片想いの終わりと共に、自分自身への挑戦がやってきた。もうくだらない夢を見ている場合じゃない。まずは明日、紙とペン