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【映画感想】オッペンハイマー

■「オッペンハイマー」観た!
すごく良かったです。
この世は地獄!
人間は永遠に正しいことなど出来ない、
ということをまざまさと見せつけられる。
正義なんてものはその時代のノリに過ぎないというね。
喜びの歓声と悲痛な断末魔は同じモノ。
熱狂は異常。
悪人を打倒したい人は人殺し。

■物理学者のオッペンハイマーは繊細で不器用ながらも
その才能をグングンと伸ばし
メキメキ頭角を表してゆく。
世界の仕組みを知りたい、単純にそれだけの欲求だ。

■学者仲間も増え
未知の研究も軌道に乗ってゆく。
世界中で科学の新しい発見が生み出されてゆく。
未来はドンドンと進んでゆく。

■しかし、同時に戦争が始まる。
ドイツのナチスをきっかけに
世界大戦の様相を表す。

■そうなればもちろん
科学は戦争のために使われる。

原子、分子に中性子をぶつけることにより
分子が破壊され、核分裂し、
それが連鎖的誘爆をすることによって得られる
膨大なエネルギー。
爆弾にするには持ってこいだ。

国策として爆弾製造。
最新の科学を持ってして
技術の粋を極めた大量破壊兵器だ。

■もちろん科学者たちは人殺しの武器なんて作りたくはない。
しかし、科学者同士は世界中で連携しているからこそ
わかっている。
もはやどこの国が原子爆弾を作るかは時間の問題だ。
だったら自国の防衛の為にも
いち早く作り出しておかなくてはならない。

■なんて感じで時代が変な感じで後押ししてしまって
科学の発展がバンバン進んでしまうのよね。
それは良いことのはずなのに。
戦争の為に道具でなければ。

しかし戦争がなければ進まなかったであろうことも。
それは戦争が合って良かったってことじゃなくて。
戦争でもない限り普通の人たちは
科学技術の発展にお金を出そうとしないと言うことだ。
その恩恵は十分に受け入れるくせに。

■かくして実験は成功。
米国は世界に対して優位に立てた。
しかし広島長崎の惨状や、
結果、兵器開発合戦になって
全く抑止力など効かず
世界は非常に不安定な状態になってしまったことを見て。

オッペンハイマーはこれ以上の兵器開発に反対する立場を取る。

■それでは困るのはアメリカ国家で
原子爆弾より強い水素爆弾の開発を迫る。
しかし、もはや英雄として祀り上げられた
オッペンハイマーの名声は確固たるもので
彼の影響力は放置しておけない。

■そこでこの当時、共産主義の思想が恐れられていて。
そんな考えが蔓延ると国家は滅びてしまう。
そう多くの政治家は考えていた。

なのでそんな考えは許さず、
そのような者は捕らえ罪に問う。
通称アカ狩りである。

■彼が兵器開発に反対なのは
彼が共産主義だからだ。

と言うことにして彼を追い出してしまおうとする。
密室で非公開な公聴会において。
圧倒的不利な状態で彼を追い詰めてゆく。
彼のことを快く思っていなかった政治家も
ここぞとばかりに彼の悪い印象を吹聴してゆく。

■もう、これアメリカ人がアメリカのこと嫌いになってしまうんじゃなかろうか。
ってくらいアメリカの嫌なところが滲み出ていて。
笑ってしまうほど酷い。

■そして後ほど、彼の追求に
虚実ないまぜにしながら
圧倒的嫌がらせをした政治家本人の裁判もある。

■それらが順不同に展開されてゆくのである。

■戦争をやめろ!
核兵器を作るな!
なんてことを言うのは簡単だが。

この映画に出てくる全てのことが
それらに全て関係してくるので
それらを全て止めなければ
戦争も核兵器も止められない。

そんなことが分かってしまう。
全ての人の人生を止めれば
戦争も核兵器も止められる。
そう、全ての人を殺してしまえばいい。

■…なんて、そんなことはできないので。
とても難しい。
それらを誰かの性にして、
その人物に罰を与えることで満足するのであるのなら。
なんて能天気なことだろう。

■戦争が終わらない
核兵器が無くならないのは
誰かの性ではなく
全ての人に責任がある。
あなたにも私にもある。

■そんなことは嫌なので
そんなことはないと思い込みたいので、
誰かを攻撃したくなる。
オッペンハイマーを敵視するなんてのも
簡単な方法だ。

■しかし、この映画を観た後では
もはやそれは出来ない。

■…と、まぁ、そんなことまで考えなくても。
ウワー、となる映画なので
観ると良いですよ。
圧倒的とはこの事だ。

すっごく恋愛も友情もあるしね。
あと男の嫉妬!

アインシュタインの苦虫を噛み潰したような顔の意味とか。

■それと今、私SF小説の「三体」を読んでいるのですが。
三体はこのオッペンハイマーが序の口の話で。
オッペンハイマーの苦悩なんてのは超初回に処理されて、
それよりも恐ろしい重責が待っています。
どんどん先の未来へと進んで行きます。
「三体」こちらもオススメです!

極楽京都日記: 【映画感想】オッペンハイマー


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