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大人になった私が魔女の宅急便で泣いた3つのシーン

3月27日の金曜ロードショーで「魔女の宅急便」が放送された。改めて思い返してみると、大人になってちゃんと観たことがないような気がする。しかし、ストーリーラインは覚えている・・・覚えている?覚えているかしら・・・説明してみよう。

魔女のキキがいて、相棒が黒猫のジジで、トンボっていう眼鏡の男の子といい感じになって、一回空を飛べなくなるけど飛べるようになる話。

間違っていない気がする。だけど全然足りない気もする。その答え合わせの為にも、20時50分くらいからテレビの前にスタンバって、その時を待った。観る前から、なんとなく”泣く”だろうなぁと思っていた。それは大人になって「となりのトトロ」を観た時もそうだったから。ある意味、覚悟して、ある意味、準備して臨んだと言っていい。

結果、私は3回泣いた。

①おソノさんのご主人が宅急便のパンを焼いてくれていたシーン
②ウルスラが強引に自分の家にキキを連れて行ったシーン
③ラスト、大切な人のために飛べたシーン

まずキキの魔女修業の旅立ちから物語は始まる。「魔女は13歳で家を出て、見知らぬ街に住み、何かしらの仕事をしながら暮らしていく」そのプリセットすら覚えていなかった。海の見える町に憧れ、見つけて行ってみるも、都会過ぎて人が冷たい。宿を探すにも子供過ぎて相手にされない。やっと触れた親切(トンボの手助け)にも意地を張ってしまう。思い描いたシナリオが全く具現化されないもどかしさにキキは落ち込む。

しかしパン屋のおソノさんに出会ってから事態は一転する。住処が見つかり、宅急便という仕事もスタートさせることができる。が、初めてゲットした仕事でいきなりキキはピンチを迎える。大切な商品を無くしてしまうのだ。正直「そりゃアカンやろ」と言いたくなるような商品配送の粗さなのだが、そこは13歳、初仕事。多目に見てあげたい。それにそのピンチのお陰で、大切な友達となる絵描きのウルスラに出会えるのだから。ウルスラやジジ、そして犬のジェフの援助もあり、無事に(?)商品を届けることが出来たキキが、夜遅くにパン屋に戻った時、窓に掛けてあったのが、パンで作られた宅急便の看板。少女を誰よりも心配し、応援していたのはおソノさんの旦那だったのだ。

そう思った瞬間に涙が出た。普段声を掛けてくれることはなくても、分かりやすく励ましてくれるわけではなくても、確かに見守ってくれている存在があること。これは何よりも心の支えになると思う。私にもそんな家族や友人や仲間がいて、普段密に連絡を取るわけではないけれど、お互いに思い合っていることが分かる存在がいる。ひとりで立っていられそうもない時にそっと背中に手を当ててくれているような波動を、近くにいなくても感じることができる。おソノさんの旦那、グッジョブ。そしておソノさん、大好き。

話は飛んで、いろんな仕事したり、トンボと仲良くなったりして、環境に慣れていったキキだが、ある日突然魔法が使えなくなり、空を飛べなくってしまう。ふさぎ込んでいたキキの元を訪れたのはウルスラ。キキの状況を聞いていきなり「ウチに泊まりにおいで!」と強引に連れて行く。

ここで不思議と涙が出た。この後の、ウルスラの家でのキキとの対話がものすごくいい話で、私自身もジーンときたのだが、泣いたのは連れて行くシーン。「こういう友達、必要だよなぁ。有難いよなぁ」と自己投影していたに違いない。悩んでいる時に、今いる世界と違う場所に連れて行ってくれる友人というのは本当に尊い。それは物理的に移動して場所を変えることでもあるが、言葉で気持ち的に世界を変えてくれる場合もある。

ちょうど私が地元を離れて移り住んだ土地で出来た友人が、キキ(私)とウルスラ(友人)くらいの歳の差だった(当時の私は25歳だけど)。不思議と仕事のことも恋のことも家族のことも何でも話せた。よくお泊まりもしたし、何度も旅行もしたし、たくさん同じ時を過ごして、笑ったりケンカしたりした。知らない世界を見せてくれたし、私の悩みも大抵は包み込んで解決してくれた。涙が出たのは、きっと懐かしさもあったのだろう。こちらの予定をお構いなしにさっと手を引いて、どこかへ連れて行ってくれる存在。大人になると減ってくるのかもしれない。ウルスラみたいな友人が欲しいし、ウルスラみたいな人になりたい。

そして最後の泣きシーンは、スランプに陥っていたキキが飛び、トンボを救う、映画のクライマックスである。自信喪失していたキキがウルスラに励まされ、ニシンのパイのマダムに認められ、自分を受け入れられたことで、最後は大切な人を救うために飛びあがることが出来たのだと思う。キキは自分が思う以上に、周りから愛され、必要とされていた。だけどそれに気付けなかったから、力を失ってしまっていた。自分を認める、受け入れるというのはとても厄介で難しく、私も悶々とすることがある。正直、今悶々としている期間が訪れている。キキが飛べたことで、私もなんだか気持ちが晴れた。「よかったねぇ」と心から思えた。だから泣いた。

大人になった私は魔女の宅急便で泣いた。おそらく幼い頃に見たときには泣いていない。ホウキで飛ぶ魔女に憧れ、飛べなくなった魔女にハラハラし、楽しんでいただけだと思う。魔女の宅急便はどの世代の女性も自己投影できる作品だったのだ。やはりジブリはすごい。制作の裏話などもネットにたくさん上がっているので読んでみたが、感嘆する内容ばかりである。つまりジブリは深い。何度でも見るべき。

最後に言わせてほしい。ユーミンの曲が最高。

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