【2021/9/13】遠慮のなさが必要。
欠けた歯があるのと、少しぐらつく歯があって心配だったので、歯医者に行った。
最初に若い先生が診てくれた。話し方は丁寧だし、気になる症状をひとつひとつ聞いてくれたし、説明も分かりやすかった。レントゲンを撮って見てみましょう、ということだった。
レントゲンを撮る前にベテランであろう先生がやって来て、もう一度診てくれた。「ちょっと触りますね~」と言って顎のラインや鼻の下などぶすぶすと圧しつつ「痛みはないですか~?」と聞かれた。痛みはなかったのでそう伝えた。それからぐらつく歯をまぁまぁな強さでぐりぐり触り、「折れてないと思うけどね~」と言いながら去っていった。
若い先生がそよ風だとしたら、ベテラン先生は嵐のような対応だった。その遠慮のない診察に驚きはしたが、的確な判断なんだろうなとも感じていた。遠慮のなさは、迷いのなさから来るものなのかもしれない。
そうは言われつつ、もちろんレントゲンは撮った。それからまたベテラン先生に最終ジャッジを仰いだ。折れてないから大丈夫。ぐらつきは時が解決してくれるとピシャリと言われた。正直、もっと優しく言ってくれてもいいのになぁとも思ったけれど、その診断に不思議と安心感があった。
それからまた別の先生に欠けていた歯を治療してもらった。こちらも若い先生で、正直ちょっと不安だったが、意外と(?)遠慮がなく、ガシガシ削って、チャキチャキ詰め物を付けていった。最後にざらつきが残らないように整えてくれるのだが、指で歯をしっかりと触って確かめつつ、綺麗にフィニッシュしてくれた。
治療中は顔に水が飛ぶのでタオルで目隠しをしてくれている。そのためか、ふと思い出したのは、エステに通っていた時のことだ。
エステティシャンの指名は出来ないお店だったし、長年通ったわけでもないので、店長以外のスタッフは誰が上手だとか新人だとかの知識を持っていなかった。やはり店長は店長だけあって施術が上手で安心感があったので、出来る限り店長に当たるを狙っていたが、そうもいかない日もあった。
ある日、明らかに新人だろうなというスタッフに出くわした。
新人です、と自己紹介されたわけじゃないし、とびきり若かったわけでもない。でも顔を触られた瞬間、「あ、まだ慣れてない人だ」と思った。
それはさっきも言った「遠慮」が手の先から伝わってきたからだ。誤魔化した言い方をしたら「ソフトタッチ」されていたわけだが、指先からその人の意思が感じられないのである。研修で習った手順に従って動作をしている感じ。それは「もっと強くしてください」と言えば解決する類の手さばきではないのである。
だが、わたしは彼女を非難していたわけではない。
誰しも新人時代があり、たくさんの人に接していくうちに慣れたり、パターンを覚えたり、自分らしさを掴んだりするからである。わたしへの施術や治療を踏み台にして、さらなる高みへ上ってほしいと思っていたので、心の中でがんばれと応援していた(やや上から目線)。
わたしだって新しい現場や仕事先に行ったときは右も左も分からないし、相手に新人だなとバレてしまう時がある。年を重ねるとそれがバレないように上手くやるコツも分かってくるのだけれど、それでも伝わってしまうものはある。
誰かに触れる、もしくは、接するとき、大事なのはある程度の遠慮のなさなのかもしれないな~と感じた日だった。
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