【2021/5/30】お隣さん
お隣さんが引っ越した。何の前触れもなく。
別にご近所づきあいしていたわけじゃないし、顔を合わせたのも1回くらいだから何の思い入れもないけれど。
今日家を出たら、お隣さんのドアのところに台車が置いてあって、それで玄関ドアを開いているという状態だった。前を通るタイミングでちょっくら覗いてみたら明らかに業者の人が床を掃除している様子だった。そこで初めて
あ、引っ越したんだ。
と思った。
交流はなかったけど、なんだか寂しい。お隣さんはタバコを吸う人だった。うちの家はデザイナーズマンションで少し変わっている。お隣さんがベランダに出ていたら、うちの部屋のキッチンのすりガラスからその姿が見える。うまく説明するのは難しいのだけれど、そういう変な造りだから、ガラス越しにお互いの存在を認識できてしまう。
あ、タバコ吸ってるな。
と気付いたらキッチンからそっと去る。なぜならお互いの存在を感じるから。きっと落ち着いて吸えないだろうと思って、スッと身を引く。あちらはあちらで、キッチンにわたしがいたら少し申し訳なさそうにしている様子であった。
対面したことは1度だけだが、そういうお互いの思いやりというか気遣いみたいなものは感じていた。
だから、ちょっぴり寂しかった。
ガラス越しの交流が億劫だったのかな、気を遣わせ過ぎたのかな、と思ったりもした。まぁ、多分関係ないけれど。
ご近所づきあいが減った今、隣にだれが住んでいて、どんな仕事をしていて、どんな生活サイクルなのか、ほとんど知らない。そんな中で少しの間だけでも隣人の存在を感じられたのは貴重な経験だったのかもしれない。
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