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神戸と50K

ヴィッセルサポで専属カメラマンのねぎさんよりご用命を賜りまして、アドベントカレンダーに参加させて頂きます。

ヴィッセル神戸とマラソンのことを無理くり引っ付けて書きます。


火種

正直、ここ数年、ヴィッセル神戸を感じていなかった。

あの頃は、神戸にいた頃は、番組をやっていた頃は、
神戸のことで頭がいっぱいだった。

人というのはなんと現金なものだろう。
距離が開いたら、仕事から離れたら、そのことに費やす時間が格段に減る。

それは人間関係然り、スポーツ然り、推し然り、ごく当たり前のことかもしれない。

でも心のどこかで、たまにざわいついたり、仄かに火が灯ったりしているのを、見ないフリして、やり過ごす。

そう、やり過ごす。
完全に消去できない。

焚火のように、奥底でまだ火種は残っている。
いつでも燃え上がる瞬間を待っている。

優勝がキッカケでもいいじゃない

言い訳になるけれど、今シーズンは何度かスタジアムに行こうとした。
川崎戦や湘南戦、関東にはJ1クラブがたくさんある。
だから行ける。行きたいとも思っていた。

だが仕事もある。
わたしは生きている、生きていかねばならぬ。
そしてやるべきこともある。
劇団で公演もある。舞台に立つために様々な準備がいる。

そうして優先されるものが変わってくる。

何となく神戸の調子がいいことを頬で感じてはいた。
だがここは川崎やマリノスのホーム、なかなか盛り上がれない。
サッカーに詳しい若い子と話をしても「出てくる選手が渋い(=ベテランや引退した選手)っすね」と言われる始末。。。

そりゃそうだよ。
わたしのサッカー観戦ピークは5年以上前なのだ。

そうしているうちに、とうとう優勝目前となっていた。
ちょうどいいタイミングで、アウェイ浦和戦があるというではないか。

今年(というかここ数年)の選手も知らなければ、順位だって把握できていない。そんな状態で、熱いサポーターの皆さんと同じ感覚で応援できるのか?わたしはサポーターと言えるのか?ものすごく不安だった。

だけどその不安はスタジアムで一蹴された。
その記事は👇

優勝するって時になって、急に盛り上がってもいいじゃない。
心の奥底にくすぶっていた火種がまた燃え出したんだよ。

火種がなかった人も、これをキッカケに神戸サポになっていいじゃない。
だってそれくらい強くて、かっこよくて、素敵なチームなんだから。

すぐに調子に乗るタイプ

そうして優勝が決まった。

わたしの働くスポーツジムにはサッカーファンも多い。
川崎、マリノス、湘南、浦和、鹿島、甲府や群馬サポもいる。

その皆さんに

【わたしに何か言うことありませんかぁ?】

的なニヤリ顔をして、挨拶をする毎日。

そんな顔しなくても言って下さるお客さんがほとんどではあったけど、唯一浦和サポの同僚スタッフが言ってこないので、かなり圧をかけて言わせてしまった。

「あたしに何か言うことないの!?」

彼は何か悪いことをしたのかと焦ったらしい。ごめん圧かけて。

というか
リーグ優勝したことがないから、優勝した時の対応が分からない!

とにかく祝ってほしくて祝ってほしくて!

完全に調子に乗っていた。
でもそれが、サポーターであるということぞ。

その調子に乗れることすら嬉しくて愛おしくて。
優勝が決まった週はとても幸せだった。

さらに調子に乗るタイプ

調子ノリMAXはやはり、アウォーズだろう。
新横浜駅からの道すがら、たくさんの神戸サポが歩いていた。

一つ言えることは、

調子は乗れるときに乗っとけ!

後で痛い目見るからって、遠慮なんてしなくていい。
痛い目見たら、落ち込めばいい。
そしてまた這い上がればいい。

その精神がなきゃサポーターやってられないでしょ。

楽しかったね、また来年も来ようねって、
そう思えたことが一番嬉しかったな。

そして50Kマラソン

去年までは大きく表に顔を出さなかったマラソンの火種が、夏の北海道を走ったことから、ブスブスと燃え始めていた。

年内にもう一度チャレンジしたい。
そう思って選んだのは、50キロマラソンだった。

神戸が優勝する前から参加することは決まっていたけれど、優勝してから大会に臨む気持ちに少し変化があった。

それは

成し遂げたい

ということ。

もちろんハナから諦めているワケじゃないし、完走したいとは思っていたけれど、50キロはあまりに未知で想像がつかなかった。

フルマラソンの距離を越えたら何が起きるのか。
自分の身体はどうなるのか。

「完走」すなわち「成し遂げる」なんだけど、このふたつは私にとって少しニュアンスが違う。

「完走」は少しふんわりしていて、「成し遂げる」は堅さがある。
「成し遂げる」ほうがマスト(MUST)感が強く、逃げられない気持ちになるのだ。

優勝を成し遂げた神戸の選手を、サポーターさんを見てきたからこそ、自分も成し遂げたかった。

やったぞ!!

と心から思えることを、果たしたかった。
たとえそれが難しくとも、未知でも、無謀でも。

まぁ100Kやそれ以上走っているランナーがいるので、大層なことではございませんが……それでも、今の私にとって人生最大のチャレンジであることに変わらない。

日は刻一刻と過ぎ、ついに大会の日を迎えた。

前に進み続けること

結果。
わたしは成し遂げた。

しかし本当に辛いツラい50キロだった。

膝は交互に痛くなるし、両腿は丸太のように重いし、風は強くて寒いし、曇天で景色はほとんど見えないし、アップダウン異常に多いし、書けばキリがないほどツラい要素満載だった。

詳しい振り返りは別記事で書くとするが思ったこと。

結局、前に進み続けた者しか成し遂げることはできない。

ということ。

歩いても止まっても、弱音はいても泣いてもいい。
ただ、進むことを止めてはいけない。

もちろんマラソンは制限時間があるから、前に進み続けていてもフィニッシュできない場合もある。だけど、前に進み続け、ゴールを目指し続けたものにしか見えない景色はあるはず。
(翌日の観光ツアーで出会った100Kを完走できなかった若者は、来年もチャレンジするとキラキラした目で言っていた)

そして、言うても50キロ完走のわたしだが、

成し遂げた感、ハンパないって!!

それはフルマラソン以上の――まぁ距離が長いから当然と言えば当然だけど――達成感を味わうことができた。

参加してよかった。
走ってよかった。
でももう走らないよ。
(余程のことがない限り)

兵庫県からお越しのあのサポさんへ

この大会、100キロ参加ランナーは、ゼッケンが2枚渡される。
表は番号が書かれてあり、裏は白紙。
意気込みや誰かへのメッセージ、何でも書いていい。
それと裏面の右上に参加ランナーがどこから来たか【都道府県】が記されている。

わたしを追い越していく100キロランナーも多くいるし、わたしが追い越すランナーもいる。その時は、かならずゼッケンのメッセージに目を通す。

家族からのメッセージが書かれている人もいたし、「諦めたらそこで試合終了ですよ」あの名言や、目標タイム、シンプルに「完走!」など読んでいて楽しい。

20キロを過ぎたあたりだっただろうか。

「ガッツ!」

と書いた兵庫県から来たランナーを追い越した。

何を思ったかわたしはすれ違いざま

「阪神ファンですか?」と聞いた。

ユニフォームやキャップを身に着けてはいなかった。
ガッツ=阪神、とでも思ったのか、今でも不思議。「兵庫県」だとしても阪神への連想はまだ遠い。もしかしたら黄色の何かを着ていたかもしれない。こちらもしんどくて記憶が曖昧なのだ。
だが彼は、

「はい!」

と答えた。

すぐに「優勝おめでとうございます!」と返した。

すると彼は「神戸サポです!」と言った。

わたしはテンションが上がった。
まさか沖縄の100キロマラソンの途中で神戸サポに会えるとは。

「やりましたね!」と言いつつ
「なんでユニ着てないんすか!!」

とダメ出しをしてしまった。
自分も着ていないくせにね。

あの彼は成し遂げたかな?
きっと阪神&神戸優勝パワーでフィニッシュしていることでしょう!

最後に

こうやってすぐに調子に乗るわたしですが、これからも細く薄く、たまに濃く太く、神戸を応援し続ける所存でございますので、引き続きお仲間に入れて頂けますと嬉しいです。

あ、あと身体ボロボロの予定でしたが、思いの外、元気です!
膝の痛さが少し残っていますが、筋肉痛もほぼなく普通に歩けています!

この記事を読んでくださった皆さん、本当にありがとうございます。

そしていつの間にか大変身を成し遂げられたねぎさん。
あなたの神戸に対する熱い炎、これからもずっと燃やし続けて下さい🔥

今年もお世話になりました。
2024シーズンもどうぞよろしくお願い致します。

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