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【2021/5/27】となりの人が

このスマホ全盛期に、電車で本を読んでいる人は気になる。
あんまりいいことじゃないと思うけれど、ちょっとだけ何を読んでいるか覗き見してしまうときがある。

大抵は、受験生が参考書で勉強していたり、サラリーマンがビジネス書を読んでいたりする。そういう時は微笑ましくなる。頑張ってるなぁ、えらいなぁ、素敵だなぁと思う。

あるときはまた、私では到底理解できないような、得体の知れぬ数式が並んだ本や法律とかお金にまつわる本を読んでいる人もいる。そういう時は、すごいなぁ、世の中にはわたしの知らない世界が無限に広がっているなぁと思う。

そして、今日はまさにわたしがかつて書いた小説に似たシチュエーションが起こった。

それは本屋ではないけれど、それは実際に何か始まりそうな淡い期待もなかったけれど、たしかにとなりに座った男性が読んでいたのは星新一の「ボッコちゃん」だった。ボッコちゃんは最近になって星新一にハマったわたしが初めて購入した単行本である。本屋で迷いに迷って選んだ一冊だったし、読んで間もないので、記憶に新しかった。

本を読む人ならわかると思うけれど、見開きの右上には「本のタイトル」、左上には「章ごとのタイトル」が書かれている。左上をチラ見して、一瞬で『星新一だ!』とときめいた。しかも彼は本を皮のブックカバーに入れて、大切に読んでいた。わたしよりも先に電車を降りたが、降りながらも読んでいた。その姿にキュンとした。

とは言え、彼の顔すらまともに見ていない。タイプだったかどうかすらも判断が出来ない。

でも、彼が読んでいた本がわたしの好きな作家の本だった。それだけでドラマが始まる気がする。始まらなくても、何かを生み出すキッカケになり得る。

だから本はいい。本を読むべきなのだ。

ぜひ「ある本屋でコーヒーと。」もお読みください。

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