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山選び

今年、富士山に登るために、登山靴を買った。富士山には過去5回登っているが、身のほど知らずでスニーカーで参戦したり(無事登頂)、友人に借りたりして、マイシューズを持たずに登っていた。年に一回登るだけに、靴を買っても勿体ないと思っていた節もあった。

だが今年。
たまたま出かけたデパートでセールをやっていたColumbiaを覗いたら、欲しくなった。もう、たまらなく。

ソールのグリーンが気に入った。結局これはセール品ではなかったが、店内全ての靴を試した結果、これに決めた。そしてセールになっていたウエア(ジャケット)も買った。いや、買ってしまった。

こうなると不思議なもので、山に登りたくなる。
富士山に登る前に、足と靴慣らしを兼ねて、高尾山に行った。これまで一度もそんなことしたことないのに。

詳細はアメブロに。

そして、富士山。
毎年登っていても、山頂に辿り着けるか不安になるのが富士山。


これで今年の山は終わったと思っていた。

だけど、

なんだかふと、温泉に行きたいと思い立って。

温泉行くなら、山にも登りたいって。

なんだろう、この連想ゲーム。
もう頭の中で勝手に、温泉と登山がセットになっていた。

ちょうど、ホンの題材に行きたい場所があって、
そこには温泉もあれば、山もあるって言うから、行ってきた。

それは、八ヶ岳

しかし、下調べが薄すぎて、行き当たりばったり過ぎた。

・八ヶ岳は山の名前ではなく、八ヶ岳連峰
・名の通り、八つの山で構成されているが、実際はもっとある
・山々が繋がっているので、登山道がたくさんある
・12月はオフシーズン、店・山小屋は皆無

こんな風に書いたら、「山を舐めてる!」と怒られそうだが、決してそうではない。無謀な山登りをするつもりは毛頭なく、難しそうだったらハイキングでもいいかなくらいの構えだった。

何が言いたいかと言うと、富士山のような、

はいっ!!これが富士山ですよー。
さぁここから登って下さいね!
登山道はこのように繋がっていますよ~。
山小屋もトイレも適度な間隔でありますよ~!(シーズン中のみ)

みたいな山はあんまりないってことを知った。

登山と言うのは「山選び」から始まっているのだと。
富士山のようにほぼ独立した山だけでなく、八ヶ岳や日本アルプスのような山脈も多々あって、その中にたくさんの山々が共存しているということを。そういった場所は複数の山を一度に登ることができるのである。当たり前のことかもしれないが、富士山しか登ったことがない私はそのことすら知らなかった、と言うか考えたことがなかった。極端に言うと、名の付いている山に行けば登山道があって、登れるものだと思い込んでいた節がある。

八ヶ岳でそのような現実と向き合い、思案した結果、ちょうど駐車場に辿り着いた美し森(1,542m)という素敵な名の山を起点として、牛首山(2280m)というややおっかない名のついた山を目指すことに決めた。木々に囲まれ、ほとんどが熊笹に覆われた小道を歩き、急に原っぱのような斜面が現れ、今度は岩や石がゴツゴツとした細道、ほぼ崖・・・その道は中々のアドベンチャーロードだった。案内札に気付かず、行き過ぎて迷ったりもした。

最終、1900m辺り(ちょうどスキー場の頂上)でタイムアップ。登頂したい気持ちもあったが、途中、富士山を眺めることもできたし、富士山以外の山に挑戦できたことに満足し、下山した。

宿泊するホテルに行き、常駐している山岳ガイドの方に話を聞くと、八ヶ岳は山梨(南)側よりも、長野(北)側から登った方がなだらかで、小屋なども整備されているとのこと。他にも、南アルプスや近隣の山にもオススメはたくさんあり、日帰り・宿泊共に様々なルートがあると言うことを教わった。ガイドの方の話が上手だったのもあるが、聞けば聞くほどどの山も魅力的に思えてくるのが不思議だ。

登山というのは、山を登ることが全てではなく、山選びから楽しさは始まっているのだと知った。これは旅行と一緒で、どの土地やどの国に行こうかと思案し、決めたら旅行のプランを立て、実行する。この流れは登山においても同じなのだ。何度も言うが、当然のことだと言われればそうなのかもしれないけれど、考えたことのない人間からすると、新しい発見だった。

そして、温泉。
山登りのあとの温泉の気持ちよさと言ったら。
そして、ビール。
温泉のあとのビールの美味しさと言ったら。
私はこのために山に登っていると言っても過言ではない。
ということも確認できた。

「登山靴の購入」から始まった、本物の登山との出会い。私はようやく登山口に立てただけなのだろう。ここからどういう山の旅を歩んでいくのか、私の靴が教えてくれるはずだ。

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