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お店を撤退する時のことはお店を作る前から考えていた件

「ワインバーシロッコ」は居抜きでお店を手放しました。もっと言うと絶対居抜きで手放そうと思っていました。居抜きとはもともとあったお店の備品(テーブルや椅子など)をそのまま引き取る、な感じです。ざっくりだけど。

逆はスケルトンでこれは全くもって何もない状態です。

シロッコはもともとスケルトンで借りたので、スケルトンで返さなければならない契約でした。備品は全て片付け、カウンターなどももちろん撤去。シロッコを作っている段階ですでに撤退のことも考えながらお店を作ったので、今回居抜きで苦労することなくお店を手放す事ができました。

こんな事を書くと、お店を始める前に撤退のことを考えている奴があるか! とビンタされそうですが、結果として良かったと思います。

そんなこんなのお話です。

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最終的に手放した状態のお店の写真です。この状態ですと居抜き物件になります。カウンターやらイス、トイレとか棚とかそのままです。


ちなみにお店を借りた当初はこんな感じでした。同じアングルです。

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ひどい。
これはスケルトンと言われる中でもかなりひどい状態ですね。床も壁もない。担当した内装業者の人も言ってました「今まで見た中で1番のひどさです」って。

今考えるとよく借りたなとも思います。この状態から先の写真の状態まで作ったわけです。そりゃお金もかかる。

話を戻しますが、今回はこの状態(居抜き)でお店をやる人いませんかという募集をかけて、手を挙げてくれる人がいた、ということになりました。

メリットとしては、スケルトンに戻すにもお金がかかってしまいますが、居抜きですとそのお金もかからず、条件によっては造作譲渡で逆にお金が入ります。

細かくいろいろと書くと長くなりますので、今回はシロッコを作っている段階ですでに撤退のことも考えながらお店を作った話をします。

他の人が違うお店もやりやすく、イメージしやすい内装にする

今回居抜きサイトに登録したのですが、有償にしたにもかかわらず多くの人に内覧、そして申込までいただきました。何人かの方になぜ気になったのか聞いてみたのですが、やはり僕が考えていた事と同じでした。

・駅に近い
・内装に癖がない
・綺麗

書いてみてあらためて思うのですが当たり前のことです。逆を言うとこの条件の物件がいかにないかと言うことです。

僕もシロッコを始める時に居抜き物件も含めて探していましたが、なんというか、言い方は悪いですが普通のお店というのが全然ない。癖の強いお店が多い。

順にみてみますが、まずは「駅に近い」。これはそのままですね。シロッコみたいに駅から1分だけど周りが怪しくて場所もわかりにくいところもあれば、駅から10分かかるけど人通りがある場所もあります。家賃が同じなら決めるのはあなた次第。

次に「内装に癖がない」ですが、特に個人でやるような小さい店ですと、その思いが強すぎるお店も多いです。店主の趣味全開のお店など。もちろんお店を辞める時のことは考えませんから、ものすごく内装にお金をかけてこだわりあるお店を作る。マニアックなお店として繁盛すればいいですが失敗するとなかなか悲惨です。

あとは、どうしてもそのお店のジャンルの内装になってしまいがちです。スナック系にしか無いようなソファなどありますが、それだともう次もスナックをやろうと思う人しか借りません。ド○ールとかヴェ○ーチェなどのカフェ系も一見普通の感じですが、やっぱりチェーン店の椅子やテーブルの範疇です。

細かい備品などはなんとでもなりますが、後から直せない部分はしっかり考えました。床の素材から色なども。その割には安くできたのでは無いかなと今でも思います。BARもできて、カフェもできて、ラーメン屋とまでは行かなくてもカウンターを使ったちょっとした料理を出すお店などにも使える、そんなイメージのしやすいお店にしてみました。

だからテーブルも椅子もシンプルながら安物には見えないものにして、カウンターの位置やホールスペースもいろいろと対応できるようにしました。


最後に「綺麗」ですが、本当に汚いお店、多いです。老舗だからとかいうこと以前に掃除してないお店も多いですね。だからトイレにもこだわりました。アメニティを充実させたり、可愛らしくするのもいいですが、僕は多少酔っ払っていても「綺麗に使わないと」と思わせるトイレを目指しました。お客様に恵まれていたのもありますが、綺麗に使って頂けました。

そんなことなども考えつつシロッコは出来たんですー。もちろんこだわりたい部分はしっかり出しましたし、お店自体は満足していました。


この結果として、シロッコのあと居抜きとして入りたい方が多くいてくれたのかと思います。僕はこんなことも考えながらお店を作ったのですが、はっきり言って変わっていると自分でも思います。

でも今のお店を今の場所で一生続けていくことの方が確率的に少ないでしょうし、離れるタイミングもわかりません。今回のように3年かもしれませんし、10年後だったかもしれません。今回もしスケルトンで物件を返さなければならなかった場合、別に100万円近くかかっていたと思います。個人ではなかなかの額です。

好き勝手書いてきましたが、これは僕が個人でお店を作った時の話なので、次のお店「日本ワインSirocco」はまた違いますよ。それはそれでお楽しみに。

2020年4月現在は、サポートはお店のために使わせていただきます。