見出し画像

梅雨の箱根、ポーラ美術館

土曜、日曜を使って箱根へ。念願かなって行けたポーラ美術館のお話と、気になっていた箱根周辺の空気の話をします。


モネの企画展示が見たい
6/5に美術展ナビさんの記事を見てから気になっていたのでした。

画像1

画像2

企画展示、「モネ 光のなかに」が見たくて箱根へ。

美術展ナビさんにご返信いただいたとおり、この展示だけではなく、美術館全体がとても見ごたえのある空間でした。ポーラ美術館は日常と離れた時間軸で過ごすことができる美術館の一つです。


ポーラ美術館

箱根湯本から20分ほどでしょうか。ゆるやかな山道を走り、仙石原へ。突如現れるおしゃれエリアが、ポーラの美術館です。バス停から駐車場から、足を踏み入れた瞬間にここはなにかちがう…と感じる洗練された空間づくりには圧倒されます。

画像3

これは地下にある模型。分かりづらい写真〜、地形を生かした半地下の建物です。



ポーラ美術館のいいところは、展示室に入るまで、ときめきポイントが多いところです。

画像4

すてきなロゴ(これ、今回初めて見た気がしますが、前からありましたっけ…?)を横目に、目の前に見えるガラス張りの建物へ向かうときのワクワク感。

迎えてくれる彫刻の数々、うぐいすたちはじめ、野鳥のさえずりが、しあわせモードをオンにしてくれる。

画像5

建物は青みのあるガラスでできています。周囲の森と、調和のとれた美しい色です。





企画展示 フジター色彩への旅

大きな企画展示はレオナール・フジタの作品たちでした。

夫がしっかり読んでいたので真似をしてみたのですが、年表を読むのが面白いですね。藤田嗣治の激動の人生、書かれていない幕間のできごとまで思いを馳せました。


行く前に見たほうが良かったな、と思った映画がこちら。

日仏合同で作られたという映画、«FOUJITA»。



近藤史人さんの『藤田嗣治「異邦人」の生涯』も読みたくてたまらなくなりました。



藤田嗣治の色彩と旅に視点を当てた展覧会でしたが、その人の生涯をもっと知りたくなる、不思議な魅力に満ちた展覧会でした。

メモ。まだ知らないところが多いのですが…。夫と話したなかで、自分が考えたことがぽつぽつ出てきたので妄想のメモです。答え合わせは(できるかわかりませんが)後で。

藤田嗣治の作品、昔の私は苦手でした。その白い肌や目の動き、なまめかしすぎるような気がして苦手だったのです。ですが、今回この展覧会を見て、私はこの画家のことがとても好きになり、人間としてのFOUJITAに興味をもちました。フランス人として生きていくことを選択した彼の絵からとても日本的な要素(というと雑味がありすぎますが)を感じたのです。彼の生涯は波乱に満ちたものでした。最終的に彼は日本を離れ、フランス国籍を取り、フランスで没しますが、さまざまな場所を旅した彼の絵からは、やはり私は日本人としてのまなざしを感じます。生まれ育ったちを離れると、アイデンティティがどこにあるのかを考えることが増えますが、晩年の彼は寄る辺のなさに苦しんだのでは。だからこそ、フレスコ画や子どもたちの作品を描くようになったのではないか、などと素人ながら感じるものがありました。


コレクション展
陶器と絵画、ポーラのコレクションが丁寧に紹介されていて、小さい展示室ながらも見応えがたっぷりです。
楽しみにしていたものがこちら

画像6

モネ 光のなかに
建築家の中山英之さんが設計を担当。モネが作品を自然光のもとで見てほしいと望んだことは有名ですが、保存という観点上からは難しいもの。

この会場ではあくまで室内でありながらも、お外の静かな光の中で作品に対峙するような、いえ、それ以上の特別な体験ができます。


画像7

これは是非体感していただきたい。天と地の境目がふんわり曖昧になるような心地よさを体感できます。



ポーラ美術館が所蔵するモネの作品、いくつかはいま他の美術館に出張中ですが、この小さな展示室に集められた作品たちからも、モネの作品の魅力がめきめき伝わってきます。
もちろんモネのすばらしさは言うまでもないわけですが、空間づくりをされた中山英之さんの力がとても大きい。
前述した光のよさ、なめらかな曲線に導かれてモネの生涯をなぞる感覚、あえてトタンの上に作品を置くことによって起こる、あらたなシンコペーションを見られたような気がしました。

画像8


ホワイトボックスの中でできうる最大限のきらきらトリップ体験が叶います。



レストランと散策

画像9


ポーラ美術館に行ったら雨天時以外に必ず訪れるのが外の小路です。

ここを通るのは2019年のコレクション×現代アート展、「シンコペーション:」以来でしたが、そのときの野外展示がまだ残っていました。

画像10

画像11

(掘り出したら出てきました。この展覧会は最高に楽しかったです)

スーザン・フィリップさんの音のインスタレーションも残している様子なので、この小路はこれからも定期的に歩きたいです。
写真はとりそびれてしまいましたが、珍しい植物、なかなか家の近くの平野部では見られない植生が見られるのもすてきポイント。

画像12


川のせせらぎの音、様々な鳥の鳴き声、聞こえてくる笛の音、そして葉擦れの音、森のひんやり、しっとりとした空気に包まれて、幸せを噛み締めました。
箱根は全体的に、真夏でも比較的ひんやりとしているのですけれど、ポーラ美術館の森の中はいっとうよいです。


レストランは喫茶メインとお食事メインの二箇所。今回はアレイに行きました。

感染症対策がしっかりされているので安心です。

画像13

のんあるビールをいただきました。


画像14

わたしは最近偏食が進んでいるのでヴィーガン仕様のごはんを(このプレートでも食べられないものがあったので、なかなか困っています)。このサラダプレートにくわえてひよこ豆のカレーとハーブティーがついてきます。
もう少し元気だったら間違いなくタイアップメニューを頼んでいました。


単眼鏡をおともに

画像15

今回もおともにケンコー・トキナーのギャラリーアイを。筆のタッチから感じる息遣い、細かな混色に見える色の捉え方、遠くに見えていた人々の表情の豊かさに驚きます。



おわりに、

細かすぎて伝わらないポーラ美術館の好きなところ選手権があったらこのお話をしたいです。

・お化粧室のせっけんがすてき
以前はいい香りがしましたが、今回は泡の決めの細やかさ、洗ったあとの手のしっとりさに驚きました。

・電子チケットを紙のチケットにしてくださる。
毎度インターネットで予約するか、どこかで電子チケットサービスを使って発券してから行くのですが、

画像16

ちょっと嬉しいのです。チケット集めは卒業しましたが、やっぱり嬉しいのですよね。

おうちからもポーラ美術館に行くことができるので、ぜひご覧ください。




箱根の人出については、台風以来ちょこちょこ気にしていました。この情勢も重なり、さらに人は少なくなった様子があり、勝手に心配をしていたのですが。
湯元の賑わいは少しずつ戻ってきた様子。バスの混雑はかなり例年比すくなめではないかと思います。
車で来られている方は多いのかな、芦ノ湖のまわり、湯本周りは安心してしまうくらいには混雑していました。


世の中が落ち着いたら、今度はロマンスカーで行こうかな、などと夫と話しながら帰宅したのでした。


ここまで読んでくださってありがとうございます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?