虹色パンダ 第3話
僕が引き込もって1ヶ月たった頃、枕元に突然、虹色の大きなパンダが現れた。
「ジェンシー、起きて!」
ヤンヤン…?どうして。僕は飛び起きた。
「ヤンヤン…、どうしてこんな色に…。」
「パンダが魔法を使えるようになると、こういう色になるの。」
「会いたかった。ヤンヤン、人間とパンダの戦争が始まろうとしてるんだ。気をつけて。」
「私は大丈夫。魔法が使えるから。
あなたとずっと一緒にいたくて良い方法を思い付いたの。でも…。」
「何?話して。僕もずっと一緒にいたいよ。」
「餃子の中に一緒に住むの。そうすれば、誰にも見つからない。」
良い考えだと思った。餃子は食べ物だし、その中に僕らが隠れてるなんて、誰も思わないだろう。ヤンヤンが僕の全てだった。だから、
「うん、餃子の中に一緒にすもう!」
そう返事をした。
それから、ヤンヤンの魔法で2人で餃子の中に500年暮らした。魔法が使えるパンダの寿命は500年くらいらしい。ヤンヤンの魔法で僕の寿命も延びた。
2年ほど前、ヤンヤンは老衰でこの世を去った。僕は魔法を使えない。だから、ヤンヤンの寿命を延ばすことは出来なかった。
ヤンヤンが亡くなってから、僕は餃子の中から出て、ラーメン屋を始めたってわけ。
まあ、それが虹色パンダ伝説の元の話さ。
もう、僕もそんな長くはない。
「なあ、若僧、餃子はうまかったか?」
「はい、もちろん。今まで食べた中で一番です。」
「何の肉だと思うか?」
「え…、、、」
「パンダだよ。ヤンヤンの肉さ。そんな驚いた顔するなよ。今日は大雪が降るらしい。早く街へ帰るんだな。」
「ありがとうございます。」
「たっしゃでな。餃子の肉、パンダの肉じゃないからなあー!さっきのは冗談だぞ。」
後ろから大きな声で見送ってくれて、嬉しかった。なんだか、不思議なラーメン屋さんだったな。
おしまい。
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