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🌸#2 現代人は四角いお豆腐メンタル!?昔の丸いおもちメンタルに戻ろう

↑の続きです。


「昔の人も意外とどうしようもないのかも?」3選

「あれ? 意外と昔の人もどうしようもないかも?」と、親しみをもっていただけるものをピックアップしました。

#1 【狂言】上司を尊敬していないお調子者部下「太郎冠者」

日本の伝統文化(芸能)の「愛すべきおバカさん」といえば、落語らくごの「熊さん」と「八っつぁん」が有名ですが、こちらの解説は落語ファンの方にお任せするとして、私は狂言きょうげんの「太郎冠者たろうかじゃ」と「次郎冠者じろうかじゃ」を推したい!!

【狂言】

  • 室町時代に完成した日本の伝統芸能。

  • 仮面劇である能楽の合間に上演されることが多い(現代では狂言だけの上演もあり)

  • 演目のほとんどはクスッと笑えるもの

  • 「太郎冠者」と「次郎冠者」という二人の部下が上司を騙したり馬鹿にしたりする(現代のコントに近い)

  • 俳優としても活躍されている野村萬斎さんが特に有名。


狂言は偉い人の家来の「太郎冠者」と「次郎冠者」というお調子者二人が、仕えている主人と繰り広げるコントと思っていただければ、だいたい合ってるかと。

現代でたとえると、お調子者の平社員が堅物上司の命令に従わず、上司が見ていないところで、悪口を言ったりサボったり盗んだりとトラブルを巻き起こす。
ラストは平社員が「お許しくだされ」と逃げて、カンカンに怒った上司が「やるまいぞ、やるまいぞ(許さんぞ、許さんぞ)」と拳をかかげて追いかけて退場。

ほら、コントみたいですよね?

もっと例えるなら、昭和の伝説的コント番組「8時だヨ!全員集合」の志村けんさんが太郎冠者、加藤茶さんが次郎冠者、いかりや長介さんが主人(上司)ですね。

「太郎冠者はしょうがないわねー」と笑い飛ばすことで、見た人の心が和んで心にゆとりが生まれる。

狂言と一緒に上演されることが多い能楽は、抽象的でちょっと分かりづらく上級者向けなのですが、狂言は具体的で分かりやすく初心者にもオススメ!


#2【宇治拾遺物語】仏様に対してずうずうしい天涯孤独女性

2つめは、狂言が成立した室町時代の1つ前の時代である鎌倉時代から。

鎌倉時代前期のお話を集めた『宇治拾遺物語うじしゅういものがたり』にある「昔の日本人(一般人)は品行方正だった」とは言い難いお話。

 今は昔、身寄りのない女性が、京都の清水寺にひたすらお参りをしていました。
 何年もお参りを続けても、まったくご利益がなくて、そうこうしているうちに頼れるものが完全になくなってしまい、長年勤めていた職場も辞めることになりました。
 どこにも行き場がないので清水寺におこもりして、泣く泣く観音様をお恨み(!)しました。
 「前世での行いのせいとはいえ、ほんの少しでもいいので頼れるものを与えてください」と、強くお願いしました。

 当時、現世での苦しいこと(家が貧乏だったり、身分が低かったり、ブサイクだったり)は前世で悪いことをしたせいだと信じられていました。
 お金持ちや高貴な身分の人、美しい人は前世で良い行いをしたと信じられてました。(ひどすぎますね)

 女性が観音様の前でうつ伏せになって寝ると夢をみました。

謎の声「観音様はおまえが強く祈るので可哀想だと思っていらっしゃるが、おまえには本当に一つも頼れるものがないので、どうしようもなくて観音様も嘆いているのだ。これを受け取りなさい」

 謎の声の主は、御帳みちょうかたびら(垂れ幕のカーテンのようなもの)を綺麗にたたんで女性の前に置きました。
 女性が目を覚ますと、夢で見たのと同じ御帳の帷がありました。
 女性は「これ以外くださるものがないのね」と思うと悲しくなり、「これはいただけません」と返しました。
 すると、また夢の中で謎の声が聞こえました。

謎の声「おまえはどうして生意気なことをするのだ。くださるというものをもらわないで返すとはけしからん」

 またも同じ帷が置かれていたので、女性は泣きながら返しました。
 このやりとりを何度か繰り返して(!)、とうとう最後には、

謎の声「今回も返すのは無礼であるぞ」

 と、きつく怒られてしまい、女性はついに諦めて、帷を懐に入れて清水寺を退出しました。

女性「そういえば、着るべき着物もなかったわ」

 と気づいて、帷を着物に仕立てて着ると、不思議なことが起きました。
 会う人会う人、男からも女からも心底かわいがられて、知らない人からも色んな物をもらったのです。
 さらに、大切な人の訴訟のときも、この着物を着ていくと、見ず知らずの高貴な人のところにも参上できて、訴えれば必ず勝てました。

 こうして、女性は人から物をもらい続け、頼もしい男性も愛されて裕福に暮らしました。
 普段は着物をしまっておいて、ここ一番というときだけ取り出して着ると願いが必ず叶いました。

宇治拾遺物語うじしゅういものがたり
131話「清水寺の御帳みちょうをいただいた女の話」

一般的に人間は孤独の状態を不幸だと感じ、良い人間関係を築けていると幸福を感じるそうです。
なので、この結末は最高のハッピーエンドなんじゃないかな。

もし、この女の人が現代日本人のお豆腐メンタルだったら、観音様に「これはひどいです」とお返し出来なかったですね。
「うわ……これだけなんだ……」と思いながらもお礼を言って、とりあえず受け取っちゃいますよね。

日本人本来のおもちメンタルだったらからこそ、何度もお返しする(チャレンジする)ことが出来たのだと思います。


続きます。


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