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9月に読んだ本の感想をゆるりと。

今年の5月から、本の感想を記録がてらゆるゆる書き始めてこれで5記事目。

読書量が増えております。(嬉しい悲鳴)

短い感想文であっても、書くことを意識してからの読書は「しっかり読んでやんよ!」という意気込みがちがう。折ったり貼ったり、線を引いたり。ざっくりとした内容を夫に話してみたり。アウトプットの最終目的地が、このnoteです。

で、書くときにもまた読んだ本をパラパラめくって「そうだったそうだった!」とそれぞれの本の空気感を吸うわけです。(内容も忘れていることが多くて、繰り返し読むことの大切さを痛感する、人間ってそんなもん?)

そしてまた、読みたい本がわいてくる。この循環がうまくいっているのかなーと思うから、時間をかけてでもアウトプットは大事ですな。

それでは9月の10冊分、ゆるりと紹介していきます。

デッドエンドの思い出(よしもとばなな)

風が涼しくなってくると、なぜか読みたくなってくる本。表紙のいちょうに季節が感じられるのはもちろん、中身もほんのり切なくて、そこがまた秋にぴったりの短編集です。

表題作の「デッドエンドの思い出」は、著者自身がいままでに書いてきた小説でいちばん好きだという。看板としては「最高傑作」なのだけれど(アマゾンの紹介文にもそう書いてある)、作品自体はもっと控えめで味わい深くて、かなしい中にもじんわり温かみを見出すような。そんな佇まいが感じられて、何度読んでもすごくいい~!

よしもとばななさんの作品は、思い出したらふわっと読み続けてる距離感で、それでも読むたびに間違いなく圧倒されてしまうのです。

夢をかなえるゾウ3(水野敬也)

きましたきました。
8月から読み進めている「夢をかなえるゾウ」シリーズ。

「2まで読んだら3も読まなあかんやろ~!」という心理状態になりますよね、なりませんか。といっても、惰性で読み進めているわけでは決してない。読書として、すごく楽しいのだ。コミカルなんだけど刺さる部分も多くて、パラパラ見返すのにもちょうどいい。

シリーズ第3弾は、「仕事」と「恋愛」に効くスパイシーな教えが軸になっている。

わたしはガネーシャのこの励ましの言葉がお気に入り。

「頑張るのがしんどなったらな、欲しいもん手に入れた状態をリアルに想像してみい。そしたら、どないしんどいことでも乗り越えられる力が湧いてくるからな」

「夢をかなえるゾウ3」(飛鳥新社)水野敬也・著 81ページ

証言(松本清張)

福岡の小倉にある松本清張記念館には、人生で2度行ったことがある。

最初は小倉観光でふらりと立ち寄ったことがきっかけ。「まつもとせいちょー」という名前は聞いたことがあったけれど、作品名もまったく無知の状態。それでも、その記念館に足を踏み入れると、その膨大な作品群に言葉が出なかった。

人はその人生で、こんなにも本が書けるものなのか。

しかもデビューが42歳という遅咲きなのだから、もー、とにかく想像を絶する執筆量なのだ。

わたしはこれまでに長編を含めて7~8冊読んできた。超絶緻密なストーリー展開やヒリヒリする心理描写。読んでいて「目が離せない」という不思議な感覚になるほど、引き込まれてしまう。

今回読んだのは、映画化作品の短編集。こんなにも人間の汚れや浅ましさを感じる読書は、久しぶりだった(笑)短編でも物語の密度は変わらないので(凝縮感ハンパない)、お試しにもおすすめ。巨匠すごすぎるよ。

第2図書係補佐(又吉直樹)

何気なく図書館を散策して見つけた1冊。又吉さんが劇場のフリーペーパーで本の紹介コラムを連載されていたそうで、この本はその連載をまとめたもの。ちょうど、「次に何読もう?」というタイミングだったので、すぐ手に取って読んでみた。

本の感想や書評が主ではなく、又吉さんが本に出会ったきっかけやその作品との接点にまつわるエピソードが軸になっている。

それは又吉さんの「人様の書いた作品を勝手に紹介するなどという厚かましい行為が許されるのだろうか?」という一貫した謙虚な姿勢が反映されたもの。作品や作家さん、そして読書という行為への全方位敬意を感じられるから、本好きとしては共感して思わずニヤリとしてしまう。

読む本に困ったときは、読書好きなだれかのおすすめ本をサクッと手に取ってみると、今までの自分とはちがった趣向が広がったりする。だから読書はキリがないし、おもしろい。そう改めて感じさせてくれる1冊。

ちなみに又吉さんのファーストキスの日は、太宰の命日らしいのです。(ジワる)

20歳の自分に受けさせたい文章講義

この本、すごくよかった。8月下旬ごろに読了し、すぐにまた2回目を読んでいるところだ。noteやブログを書くたびに、この本で復習しながら文章修行していく所存。もちろん今もPC横にあります。

読書好きのブロガーのおともだちに教えてもらって、その繋がりもうれしかった1冊。

著者は「嫌われる勇気」を手掛けた、ライターの古賀史健さん。本書が単著デビュー作なのだそう。

構成はガイダンスに始まり、第1講~第4講までという講義形式。このガイダンスから、グッと心を掴まれるひとも多いはず。「なぜ話せるのに書けないのか?」をここまで鮮やかに言語化されている本には、出会ったことがなかった!

文章、うまくなりたいんですよ。(本音)
書く作業も楽しいし好きなんだけど、読んでもらえたらうれしいし、伝わったらさらに喜びが大きいじゃない。だから、とにかく書いて練習するのだ。

書くことに苦手意識があるひとはもちろん、書く意欲をメラメラ燃やしたいひともぜひ。

福岡市を経営する(高島宗一郎)

わたしが現在住んでいる福岡市、街のエネルギーがめちゃくちゃすごいんですよ。それは地元関西から移ってきたときから肌感覚で感じていて、関西もガヤガヤ賑やかな場所ではあったけれど、なんか福岡もパワフルやなぁ!と。

それもそのはず、福岡市の伸び率(開業率、税収、人口などなど)は実績で数字に出ていて、地方都市のロールモデルとして最先端のチャレンジを続けているらしい。

現職市長、高島さんの本を読んだ。夫が「おもしろいからゼッタイ読んで~!」とめずらしく推してきたので、素直に手に取り、なるほどと。

まず史上最年少の36歳で福岡市長に当選した、著者の仕事場の荒波がえぐすぎる。本の中でそのさまは「デスゾーン」と表現されている。わたしたち夫婦も30半ばなので、当選された頃の市長とほぼ変わらない年齢。仕事への向き合い方は、夫にとって刺激になったんじゃないかな。(わたしは読んでるだけで心臓が縮みそうだった笑)

そんな市長の仕事の裏側から、どのようにしてここまでパワフルな街に育ててきたのか。それが分かると、住み甲斐があるというか。これからのチャレンジの動向にも視野が広がる気がして、夫よ、オススメありがとうな1冊だった。

眠れぬ夜はケーキを焼いて(午後)

完全にひとめ惚れだった。

たまに、本も置いてる無印良品あるじゃないですか。そもそも本屋×無印というのは、わたしにとって最高に魅力的なタッグなわけです。選書から陳列まで、すてきやなーとよくブラブラしている。

その徘徊中に見つけて、一気に好きになってしまった1冊がこの本。

ジャンルはコミックエッセイなのかな。夜のキッチンを舞台に、生活のエピソードやお菓子を作る過程、材料をまとめたレシピまで描かれている。ほわっとやさしい色とタッチに、すごくすごく癒された。

眠れない夜、低気圧のダルさ、何かうまくいかないダメな日。読んでいると、「だれにだってそんな日はある」と、静かに励まされている気持ちになる。ちょっとしたマイナスがあるからこそ、焼きたてのお菓子にホッとするのかも!

夜に漫画のページをめくりながら、午後さんと一緒に作っている気分に。そんな親しみやすいレシピが大好きになりました。

家にあるものをポンポン入れて焼く。
パウンドを焼きまくる、秋。

檀流スローライフ・クッキング(檀晴子)

こちらも福岡県にまつわる本です。

65歳で東京を離れ、博多湾の離島に移住した檀晴子さん。島暮らしの食のストーリーが季節ごとに書かれていて、あー、ほんとうにおいしそう。島の澄んだ空気まで運んできてくれるエッセイ集だ。檀さんの飾らない文体も魅力的。

著者の義父にあたる檀一雄さん、夫の檀太郎さん、それぞれの食エッセイが好きで少しずつ読んでいる。大胆で食いしんぼう精神全開の、家庭料理が大好きだ。異国のスパイスや調味料も手に入りやすくなった今だから、とことん楽しまないとね。読むたびに刺激をもらっている。

「スローライフ」といえど、畑に台所仕事に、1年中くるくると忙しそうな檀さん!失敗をしても、次へ次へと進んでゆかれる。こんなおばあちゃん、「アラ・エイティ」、憧れだ。

蛍・納屋を焼く・その他の短編(村上春樹)

長編、短編、エッセイ、訳書。毎月何かしらの村上作品に触れている気がする。落ち着くんですよねぇ。何かが起こりそうだけど起きない、小さな抑揚にふわふわ身をゆだねるかんじで、雰囲気を楽しみます。

収録されている「蛍」は、「ノルウェイの森」の下敷きになった作品だ。また、長編も読みたくなってしまった。こうして読書の無限ループが続いていく。

わたしが生まれる前の作品だから、びっくり。まったく古くなってない。10年20年後と読み続けて、どんなふうに感じるのか、それもすごく気になる短編集。

夢と金(西野亮廣)

やりたいことがあるんだけど、ぶち当たるのが結局お金問題だ。自営業の夫を見ていて、大変そうだとつくづく思う。(笑)この状況、まさに「夢と金」やん、と思って、夫に先に読んでもらった。

ちなみにちょくちょく登場する夫さん。ふだんは主に動画でインプットする派で、活字派のわたしとはまったく違う。読書も決してキライじゃないんだけど、その時に必要な本以外は、頭に入らない構造のようだ。

その夫が大絶賛、というか、「いまのオレにめちゃくちゃ刺さった!」というこの本。夫が2周目を読むのを待って、わたしも手に取る。待ちくたびれてハードルも上がったんだけど、おもしろかった~!

「クラウドファンディング」、「NFT」→よく知らない、ナニソレ怖い、やめとけやめとけ。……堅物なおとなになりたくないよな(ガクブル)。興味を持つ、調べてみる、触れてみる。これから新しい仕組みが生まれたときにも、このマインドや行動が大事だと考えさせられた。

家族でお金のはなしをして、価値観を更新するのもいいね。すごくいいきっかけをくれる本だと思う。

9月に読んだ本まとめ

おつかれさまでした~!

10月に入ってようやく風が軽やか、過ごしやすい。いよいよ読書の秋ですな……季節問わず読んでいるけど、秋はずっしり分厚い長編を読みたくなる。

そうそう、コーヒーの勉強のために本を1冊買ったのだった。これは仕事でもおうちでも使えそうなやつ。高まる。

食欲の秋ってことも忘れずに、食べて読んで寝る。
今月も楽しんでいきますか。

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