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10月に読んだ本の感想をゆるりと。

遅刻遅刻。

10月の振り返り記事を書いていて、気付けば早くも11月9日とな。

バイト先では、年末調整がどうのとか、年始までのシフト出してねとか、忘年会がいつどこでとか、ザ・年末年始のもよう。焦る。でも焦ってもしょうがないので、来年のスタートをいかに心地よく迎えるかに注力したいと思っている。さぁ、いったん落ち着こう。

まずはこのnoteを仕上げることから。10月に読んだ本、8冊を紹介していきます。

20歳の自分に受けさせたい文章講義(古賀史健)

9月にも読了したこの本。1回目に読んでいるときから「めちゃくちゃいい本やわ!」と、けっこうしっかり目に読み込んだ。読み終えてすぐ、2周目を読む。

1周目の感想はこちらに書いています。

もともと、読書をするときはマーカーや付箋を駆使して、手を動かすタイプではある。それでも特にこの本は、盛大にラインを引きまくってしまった。教科書や辞書のように「使い込む」読書もまた楽しい。

章ごとにまとめページがあるので、復習したいときにもありがたい構成だ。こうして文章を打ちつつ、今もパラパラと見返している。手元に置いておくと安心する1冊。

アガワ家の危ない食卓(阿川佐和子)

食のエッセイが大好きだ。読んでいて食の好みが合いそうだと、一緒に食卓を囲んでいる気分になれる。加えてその人(著者)の素の部分が見えたりするから、すこぶる面白い。

阿川佐和子さんの食エッセイを読んだ。

 二〇一五年に他界した父の口癖は、「死ぬまであと何回飯が食えるかと思うと、一回たりとも不味いものは食いたくない」であった。たまたま自分の気に入らない食事に出くわした日には、「一回、損した。どうしてくれる!」と本気で憤怒したものだ。

「アガワ家の危ない食卓」新潮文庫 阿川佐和子・著 9ページ

冒頭のこの文章だけで、とんでもねぇお父さんだったんだな、と伝わってくる(笑)頑固でワガママで食いしんぼうな父と、振り回されつつも献身的に支える母、そして娘のサワコさん、という構図。

ところがこれが他人事では済まされないのが、わが家の食卓、わが夫なのである。朝ごはんを食べながら夜に何食べたいか考えちゃってるところとか、誠に僭越ながら、似ている。うちはお互い「食べたいものがあったら自分で作りなはれ」という放牧スタイルだからいいものの、時代が違えば夫の食への執念に奔走させられていたかもしれない。

お父さんの逆鱗に触れてヒリヒリするシーンも、著者の視点でユーモラスに描かれているのが、このエッセイの魅力。食いしんぼうって、度を越していたとしてもやっぱ素敵だよ、エネルギッシュだよ、と思った。

旅屋おかえり(原田マハ)

誰かの代わりに旅をするという「旅屋」。どんな仕事なのだろう。どんな風景、どんな出会いがこの1冊に詰まっているのだろう。奥行きありまくりのタイトルに惹かれて読んだ1冊。

大の旅好きという原田マハさんの筆致から、旅する楽しさがひしひしと伝わってくる小説だった。

タイトルの「おかえり」というのは、主人公「丘えりか」の愛称。元アイドルのテレビタレントだ。出演する唯一の旅番組を、自らの失態で打ち切られるという崖っぷちから、「旅屋」という新しい仕事をスタートさせる。依頼人や故郷の家族、事務所の社長の過去、あらゆる人生が錯綜していく……。

ドラマチックなストーリー展開の中に、主人公「おかえり」の、旅に対する熱い想いが随所に散りばめられている。そんな彼女の旅模様と、まっすぐで温かい人柄にほっこり。

読んでいると「うわー、旅ってやっぱりいいよな」と、出掛けたくてうずうずしてしまった。

眠れぬ夜はケーキを焼いて2(午後)

時間があると何かしら焼きまくっている、2023年、秋。完全にこの本の影響だ。自分でお菓子を生み出せるなんて、楽しすぎて沼すぎる。

パウンドケーキに水切りヨーグルト。カロリーゼロ。
朝食にスコーンがある日は、目覚めさわやか。

ひとめ惚れして一気にファンになってしまった、午後さんのコミックエッセイ。第2弾も迷わず読む。

思い立ったらすぐ作れる、気軽でシンプルなレシピたち。それだけじゃなくて、ちょっと憂鬱な日常のグレーな感情を、絵と文章で表現する午後さん。それがときに哲学的で、内面から寄り添ってくれるようなやさしさがあるんですよね。

好きなものを作って、できたてのホカホカを食べる。こうやってプチ回復しながら、生きていければしあわせだ。

グレート・ギャツビー(スコット・フィッツジェラルド、村上春樹訳)

毎月の恒例が、村上春樹氏の文章を読むこと。決めてるワケではないんだけどね。自然とそうなってきている。

10月は訳書を。もう何度読み返したか分からない、「グレート・ギャツビー」。

20代で読んだときは、なんのことやらちんぷんかんぷんだった。ところがですよ。読めば読むほど、毎回おもしろくなってくる!だから今回読んで、またおもしろさが更新される結果となった。1回読んで手放さず、諦めなかった自分を褒めるべきだ。こんな小説もあるんだなぁ。

この小説を読んだあとは、「儚い・切ない・むなしい」という思いで満たされる。それが不思議と暗いイメージではなくて、物語の中ですんごい人生、えぐい運命に立ち会ってしまったなーと、快感に近い読後感なのだ。

自分がおばあちゃんになって人生の酸いも甘いも経験した暁には、この物語をよりおもしろく深くまで読めるのだろうか。楽しみだけどちょっとこわい。

マーケット感覚を身につけよう(ちきりん)

ブログやSNSを始めたてのころ、ちきりんさんの発信や本をよく読んでいたんですよね。そこから2~3年経ったので、また改めて読んでみようかと手に取ったのがこの本。こちらは初読み。

すごい本だった……。

少しわたしの日常を書こうと思う。

現在わたしの仕事を端的に表現すると、「バリスタ修行中のアルバイト」だ。

バリスタ修行に関しては、スキルを学ぶ日々にかつてないほどの充実を感じている。好きが高じてコーヒー屋さんに飛び込み、そのお店が思った以上に「コーヒーまみれ」な場所だったのだが。(社内試験があるなんて聞いてねぇ)この環境がありがたいと思えるくらいに、自分にフィットしているのだ。

不安に感じないこともないのが、アルバイトという点。消耗は、する。加齢とともに体力面も心配だ。エスプレッソという濃い抽出液を、何歳まで飲み続けられるんだろう。スキルを得たとしても、長い目で見るとどうだろうか。

ぼんやりと先行きを案じていた、この仕事と働き方。でもこの本を読んで「マーケット感覚」という視点で眺めてみると、日々の労働の景色が変わる。

 どんな分野であれ10年も働いたら、「自分には売れるモノなど何もない」なんてことはありえません。もしそう感じるのだとしたら、その人に足りないのは「価値ある能力」ではなく、「価値ある能力に、気がつく能力」です。

「マーケット感覚を身につけよう」ダイヤモンド社 ちきりん・著 はじめにより

お客さんから投げかけられる、コーヒーに関する素朴な疑問や、同僚のポロッとこぼす愚痴や本音。アンテナを張っていれば、これらが貴重な材料になるんだ!とハッとさせられた。

まずはしっかり、バリスタとして技術を身につける。そこから色んなかけ算ができるんじゃないかな?と、この本を読んでからわくわくしている。

バナナの魅力を100文字で伝えてください(柿内尚文)

わたしにとって接客は、好きで楽しくて飽きないことのひとつ。せっかく大好きなコーヒー屋さんにいるのだから、お客さんに豆の魅力を分かりやすく伝えたり、好みの豆を探すお手伝いがしたい。そう思って読んでみた本。

ちなみにこの本は「伝える技術」ではなく「伝わる技術」という視点で書かれている。相手に届いてなんぼ、相手主体なんですよね。

わたしのように「接客」という観点から読んでもおもしろいし、日常会話や仕事の連絡など、身の回りのあらゆるコミュニケーションに応用できる。苦手意識がある人はもちろん、伝え方をブラッシュアップしたい人にもおすすめだ。少しの工夫で相手にちゃんと伝われば、効率的だしストレスフリーだよね。

サクサク読める簡潔な文章で、するりと脳に入ってきます。文字の大きさ・太さの変化や親しみやすいイラストたっぷり、視覚的にも非常に分かりやすい1冊。

今日のおやつは何にしよう(益田ミリ)

またまた食いしんぼう系のエッセイを。

ページをめくると、いちご大福、フルーツサンド、ショートケーキ、ホットケーキにジャイアントカプリコ、などなど。益田ミリさんのやさしいイラストとともに、コラージュされたちょっとレトロな甘味の写真が躍っている。たまらん。

本編は、日常を綴ったエッセイ。おやつやごはん、喫茶店がたくさん登場して、こちらも楽しくなってくる。

特にいいなぁと思ったのは、天気がいいからと友人を誘って、気軽に家でごはんを食べたりすること。おもてなしをしたりされたり、おいしい手土産を一緒に食べたり。近所にそんな友人できんかな~。(笑)

10月に読んだ本まとめ

おつかれさまでした〜!

ちらっと触れましたが、10月から社内の実技試験のトレーニングがはじまり、日々練習に励んでおります。何度でもチャレンジできる試験なのだが、どうも落ち着かぬ。1回目はスコーンと見事に落ちた。2回目は半分受かって半分落ちた。3回目が11月末に控えている。不屈の精神だ。がんばっていこうと思う!

慌ただしい季節も、読書の時間はご自愛タイム。今月もすてきな本と出会えますように〜!

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