豆知識「スキーマ療法の種類のメリットとデメリット」

これまで、豆知識のコーナーで3種類のスキーマ療法のやり方について説明してきました。


今日は、それぞれのやり方のメリットとデメリット、どういう人に向いているかを考えていきたいと思います。


①オリジナルアプローチ

【メリット】
・非常に大きな回復が見込める
(とことん突き詰めるので/やり遂げれば)
・日本国内に入門向け資料が豊富にある
(自分である程度、調べることができる)
・オリジナル・アプローチならできるスキーマ療法士がたまにいる
(モード・アプローチまでできる人はごくわずか)

【デメリット】
・時間がかかりすぎる(毎週1回のセッションを2-5年)
・お金がかかりすぎる(1回だいたい8,000‐10,000円)
・人生のトラウマの掘り起こしが辛すぎる(人によってはここで断念する)
・セラピストや医師などの専門家と連携しなければ危険
(トラウマの掘り起こしによって精神症状が悪化する可能性がある)
・ひとり暮らし、頼れる人がいない人は危険
(症状が悪化したときにストッパーになる人がいないため)
・セルフモニタリングでスキーマの同定をするのが結構難しい

【どういう人に向いているか】
・金銭的に裕福な人
・回復を焦っていない人
・社会的に孤立していない人
・なにがなんでもこれを頼るしかもう何も残されていない人

②モード・アプローチ

【メリット】
・短期間である程度の回復を見込める(隔週20回程度)
・今現在の困っていることそのものに対応できる
・過剰なトラウマの掘り起こしがない
・モードの同定がしやすい
(セルフモニタリングにとりくみやすい)
・お金が(比較的)かからない
・日常生活に取り入れやすい
(なんらかの症状がなくても取り組むことができる)

【デメリット】
・日本にモード・アプローチに対応しているスキーマ療法士がほとんどいない
・モード・アプローチは専門書しか知識を得る物がない
・モードレベルの対処に留まってしまうことがある

【どういう人に向いているか】
・深入りしすぎずにスキーマ療法に取り組みたい人
・金銭的にあまり余裕がないが、短期集中ならお金を出せる人
・日常生活にスキーマ療法の「モード」という考え方を応用したい人
・トラウマを掘り起こすのが危険な人
・今まさに困っている問題にすぐに取り掛かりたい人
・頼れる相手がいない人(危険性が少ないので)

③中核的感情欲求・アプローチ

【メリット】
・当事者の求めているものが直接すぐに手に入る
・信頼関係を構築するときに役に立つ
・希死念慮など強い自己否定感のある人を落ち着けらる
(中核的感情欲求が満たされるため)
・日常生活や子育てに取り入れやすい

【デメリット】
・中核的感情欲求を満たすだけでは回復しない
・依存に陥りやすい
(依存にならないようにバランスを取ることが必要)
・相手の中核的感情欲求を満たすためにある程度相手を知っている必要がある

【どういう人に向いているか】
・今すぐ安心したい人(受ける側)
・自他境界がはっきりしている人(与える側)
・子育て中の人
・なんらかのイベントを開催する人
(参加者の中核的感情欲求を満たせるようにプランニング)
・自助会などの運営者
(参加者の中核的感情欲求を満たせるようにプランニング)


以上がそれぞれのやり方のメリットとデメリットになります。

②と③に関しては日常生活に気軽に取り入れることもできるので、ぜひ自分にできることから挑戦してみてください!

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