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「ごめんね」ではなく「幸せだから安心してね」

昨日、母方の祖父が亡くなりました。

祖父は親族の中で唯一、私に起こった全ての出来事を話した人。
私と母と父という小さな家族の中で、私に何が起こったかを知る人。

10年ほど前に話しました。

施設に向かう道中ずっと考えていたのは「ちゃんと謝ろう」ということ。

80をすぎて、孫からあんなにしんどいことを聞かされるなんて必要あったんだろうか?
もう人生あと10年のカウントダウンという人に背負わせることじゃなかったんじゃないだろうか?

だからじいじにちゃんとごめんねって言おう。

そう思って施設に向かいました。

連日施設に通って憔悴している母と父を家に帰し、従弟を帰し、伯父伯母と近況報告したり、座りっぱなしの身体をほぐすストレッチを教えたりしながら過ごす深夜。



祖父の呼吸を見ていたら、

あーごめんなさいじゃない。
言うべきことはごめんなさいじゃない。
じいじはごめんなさいって言ってほしいなんて思ってない。



とふいに気がつきました。




じいじ、10年ぐらい前にしんどいこと話したよね。
じいじにとってもしんどい思いさせたと思う。
心配させたと思う。

しかもそっから10年なにも触れずにきた話をね、こんな今から天国行こうかどうかってこんな時にお前蒸し返すのかって話だと思うんだけどさ、

あなたの娘も娘婿もね、悪いけど本当にしょうもない人だと思うよ。
大バカ者だよ。

だけどね、まりもはあのバカどもを許すことにしたんだよ。
許せるようになるのに結構色々勉強しなきゃだったし、時間もかかったんだけど、
本当にしょうもない人たちだけど、しょうがないから愛してあげるよって思うことにしたんだよ。

本当に勝手な人たちだけど、あの人たちなりにまりものこと愛してるのはちゃんと知ってはいるんだ。

まりもは誰のことも恨んでないし、あなたの娘と娘婿のことも愛してあげることにしたし、
大好きな旦那と子どもたちって、まりもが自分で作った大事な家族がいるから幸せだよ。

だから心配しなくていいからね。
まりもはちゃんと幸せになってるからね。
本当はあんな話してごめんねって言おうと思ってきたんだけどね、やっぱりごめんねじゃなくて、ちゃんと幸せだからねって言いたいなと思ったんだ。
安心してね。



そばで見ていた伯父伯母には何の話かさっぱり分からなかっただろうけど、言いたいことを祖父に伝えました。

そのあと明け方に伯父伯母が仮眠のため帰り、私と祖父だけに。

いやーじいじさっきの話今すりゃよかったよね。

なんて話しかけながら、口で呼吸していてカラカラになってしまった口に時々麦茶や保湿ジェルを塗ってあげたり、ヨガで習った枕に変えてあげたり、歌ってみたり。

「もうしんどいから頑張らなくていいよー」と何度も声をかけたけれど、それでも祖父ががんばっていたのは、私に最後にゆっくりお別れする時間を、祖父に何かしてあげられたと思える時間を作ってくれるためだったのかな。

朝になって戻ってきた母と朝食を食べ、同じ施設に入っている父方の祖母とちょっとお茶をして、仮眠のために家に帰り、私が布団に入った時間に祖父が息を引き取ったそうです。

私が大切な家族と暮らす、1番安心できる家で、ちゃんと寝むまで見届けてくれたのかな。


じいじありがとう。
天国でいっぱいバッテラとかコハダとか飯寿司とか数の子食べてね。

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