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蕾がふくらみ花が咲き散るまでの時間|2022年4月13日の日記

日記を書きたい気持ちがすこしずつたまってきた。

前回の日記以降のことを写真でふりかえっていく。東京はきょうも夏日で夜でもシャツ一枚でいいくらいだったのに、2か月前までカメラロールをさかのぼったら雪が降っていた。もう冬の寒さを忘れている自分に気づく。

ここ数か月は気分的にはかなり低空飛行だったという認識でいたが、写真をみるとこんなに充実した日々だったのかとおどろいてしまう。たのしいときは瞬く間にすぎ、無力な夜は長い。


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2月10日 木曜日

雪が降った。地面に残るほど降るのはめずらしいのでテンションは上がった。朝から出勤していたが午後早い時間に在宅勤務に切り替えになった。電車が止まったときのための配慮だが徒歩通勤のわたしには関係ないので、ありがたさよりも雪のなか仕事道具一式を持ち帰る大変さのほうが大きかった。もう在宅勤務はしないつもりだったがデスクの環境を整えておいてよかった。



2月13日 日曜日

有賀薫『スープ・レッスン』より、にんじんの塩スープをつくった。午前中に起きて雑事を片づけ、スープができあがったのが10時半ごろ。ひさしぶりにゆったりした気持ちで静かなキッチンに立ち、ラジオも動画もつけずに食事をした。ああ、おいしいね、おいしい、と胸のうちで自分同士が話しだすようなしみじみとした感動があり、とても満たされた時間だった。

よしもとばななの小説にこんな描写がある。山で暮らしていた主人公が街に住むようになり、テレビを手にいれてから変わってしまった生活についてかえりみる場面。

 私は、いつのまにかある種の中毒状態におちいっていたのだと思う。
 朝はまずぱちんとTVをつけ、時計代わりになんとなく眺め、夜仕事が終わってからも、なんとなくつけっぱなしで家事をしている。
 どっと笑い声が起こったりすると、本当は一刻も気を抜いて扱ってはいけないはずの野菜たちを手放して、目線をTVに向けたりした。

よしもとばなな『王国〈その2〉痛み、失われたものの影、そして魔法』新潮文庫、p.75

読んだのはもう7年も前か。ふだん意識することはない(できない)ものの、「本当は一刻も気を抜いて扱ってはいけないはずの野菜たち」という一節がずっと頭の片隅に残っていて、このスープをつくって食べながら、ぼんやりと思い出した。わたしはいつもオモコロのラジオや動画、ライター個人のゲーム実況などをほとんど絶え間なく見聞きしていて、それはそれで幸せなのだけど、たぶん、それだけじゃない時間がどうしても必要なのだろう。

文学的であれ哲学的であれ難しいことはよく理解できないが、このスープをつくって食べているときのように心が「凪」の状態になると、自分がこの世界にうまく位置づけられていると感じる。それは世界と一体になるというよりは自分の輪郭がはっきりするような感覚で、池澤夏樹『スティル・ライフ』にある「並び立つ二つの世界」とはこういうことなのかと思いいたった。


午後はオペラを観に行った。とてもよかった(参照:終演直後のツイート)。愛の妙薬観て泣く腐れ野郎、他に、いますかっていねーか、はは



2月19日 土曜日

朝はやく起きて家を出て、引っ越しのつづき(?)をした。いまの部屋に引っ越すときに手伝ってもらった友だちにまた頼んで車を出してもらい、①一時的にひとり暮らししていた部屋を引き払う友だちから家具家電を引き取り、②譲り受け先に届けつつさらに家具をピックアップし、③うちに届けてもらった。引っ越しってそう頻繁にすることじゃないのに自分ふくめこの3人の引っ越しのタイミングが奇跡的にほぼ一緒になったのでこういうかたちをとったのだけど、いろいろと整えるべきものがある身には幸運すぎる話だった。たとえばわたしは引っ越したことで窓のサイズが変わったが、①の友だちが使っていたカーテンが新居にぴったりで、もともと使っていたものは②の友だちの家にいくことになった。シェアリングエコノミー。

3人それぞれが引っ越し屋さんを手配するとなるとかなり面倒な行き来がうまれていたはずなので、やはり持つべきものはトラックを運転できる友だちである。荷物の運搬がすんだあとは渋谷にカレーを食べに行った。友だちの知りあいが経営しているお店らしい。マトンのカレーとなすのカレー、とてもおいしかった。

夜はオモコロのオンラインイベント「オモコロスーパーディナーショー 〜オンラインの宴〜」を見た。最高すぎたので少額投げ銭をしまくっていたら、終演前にクレジットカードが止まった。不正使用じゃないよ。ちゃんと見ていてくれてありがとうね。配信が終わってから3時間くらい通話していて、ちょっと喉をいためた。愚か……



2月20日 日曜日

おじいちゃんの四十九日。今回も姉の子やいとこの子に会えてよかった。精進落としのあと解散するまえに集合写真を撮った(そういえばお葬式のときは撮らなかった)のだけど、遺影を持っていないことにだれも気づかなくて、「あ!」となったとき思わず笑ってしまった。なんの集まりなのよ。

年明けに書いたnoteにはたくさんの反応をいただいてありがとうございました。わたしの文章にはどうしてもうそが雑じるのだけど、これはかなり努力してほんとうのことしか書かないようにした。書いてよかったと思う。



2月27日 日曜日






(写真なし)

誘っていただいて出ることになったクイズ大会の日。120人超が参加し、4人での早押しを予選4セットおこない、勝つと準々決勝、準決勝、決勝と進んでいくという大規模なもの。わたしはもちろん予選までだったが、計12問正解(3○1×, 2○2×, 4○0×, 3○0×)と健闘できたので満足した。正答できたのもうれしかったけど、2×になったときのひりつきを肌で感じられたのもかなりよかったかも。

準々決勝以降の試合は壇上でおこなわれたのだけど、そこでのボタンチェック(早押し機の動作確認)でまわりが拍手をしたとき、クイズのカルチャーをいちばん強く感じた。朝10時に始まって17時前までずっとクイズをしていて、頭が煮えそうだったけどたのしい体験だった。



3月5日 土曜日

貴重な棒を持つネコ作品展に行って、おすしさんにサインをいただいた。リクエストにこたえてカラス(ティアラつき)を描いてくださってとてもうれしかった。展示されている絵を買いたかったけど勇気が足りず……。グッズはたくさん買った。

あわせてコラボカフェも。かわいいだけじゃなく、ちゃんとおいしかった。コラボカフェというものにはじめて足をはこんだのでいい思い出になった。

カラスのコーヒーゼリーフロート
姉さんの肩カレー(右奥:カエルの倫理観スカッシュ)
タヌキの貴重な壺プリン、貴重な棒がささりすぎパフェ



3月6日 日曜日

バータードッグスを見に行った。詳細は別途書きたい気持ちはある。とてもたのしかった。せいぞさんのやることなすこと全部がおもしろい。



3月15日 火曜日

みくのしんさんに感化されてひさしぶりにスターバックスに行った。お昼ごはん。職場近くの店舗ではさくらフラペチーノが終売していたのでラテにした。かわいくてうれしかった。



3月18日 金曜日

半休をとり、「説明できないことを言うう vol.3」を見に行った。詳細は別途書きたい気持ちはある。笑いすぎて涙が出た。髭面大魔神ラッパーの無限増殖……

前回(vol.2)のとき、寺田さんのご本が手に入るのがうれしすぎてサインをもらいそこねたので、あらためて持参して書いてもらった。ナマケモノかわいい。名前をおぼえていてくださったのがうれしく、あつかましくも「○○(ある4コマ)の短編を描いてください!!!」とお願いしてしまった。忘れていただきたい……でもいつまででも待ちます。


そらまめさんの絵をネットプリントした。「ネップリ」というものの存在は知っていたけど使ったことがなかったのでどきどきした。どれも最高にかわいくて選べなかったので登録されているものをすべて印刷した。見ていて幸せになる。



3月19日 土曜日

オペラを見に行った。とてもよかった(参照:終演直後のツイート)。第1幕のきらびやかな世界があるからこそ、その後のコントラストが際だつ。デュマ・フィスの原作小説は卒論で取りあげた作品のひとつなのでよくよく読んだけどもう大部分を忘れてしまったな。オペラのほうが人物造形が浅い感じはする。まあ音楽に力があるからいいのですが……


夜は家で友だちとごはんを食べた。ヤンソンの誘惑をつくった(バジルかけてから写真撮ればよかったな)。具材と生クリームのバランスが悪かったのか完成といっていい状態になるまで何度か加熱しなおしたが、全体としては簡単にできて、しかもとてもおいしかったのでまたつくりたい。



3月21日 月曜日(春分の日)

入江亜季の短編集が発売されたので買ってきた。うれしすぎ……。ちょうど先日買ったばかりの「グラマラスフェローズ」「スレンダーフェローズ」収録の短編もふくまれていたけど、まあそれはそれでよし。これからもすべての短編を単行本化する方向でいってほしい。神がいるなら祈ります。



3月25日 金曜日

半休をとり、「せいぞpresents ~デスゲーム~」を見に行った。詳細は別途書きたい気持ちはある。観客参加型の企画もあり、しかも全体的にちゃんとデスゲームだったのでとてもおもしろかった。

同じ日にほかおにリモ飲み読書回(田の会)があり、帰宅してから見た。今回もたのしかった。紹介・言及された作品をまとめてみると、読書と関係のない話をあれだけしているのに、とおどろくくらいの量がいつも挙がる。有機的につながっていく話はおもしろい。



3月29日 火曜日

マクドナルドの桜もちパイ、異様においしい。春のレギュラーになってほしい。みんな食べたほうがいいよ。



4月2日 土曜日

Bar 凸凸 8 の日。先に待ち合わせして太樹苑で焼肉を食べてから参加した。太樹苑は去年12月以来2回めだったけどあいかわらずとてもおいしかった。満足度が簡単にカンストする。しかも安い。また行きたい。凸凸はすこしずつ顔見知りが増えてきていることもあって、はじめてだった前回よりも気楽に行けたし、今回もとてつもなくたのしかった。くわしい内容はおぼえていないがテーブルで一緒になったひとたちと「いいよなぁ」を言いあったりなどした。そんな時間、いいよなぁ。目のまえでポールダンスを見られたのはかなり感激したな(完全に想定外だったし)。お金をたくさん受け取ってほしい……。お姉さんの別のステージも見に行ってみようか。


4月5日 火曜日

ひと仕事終えてえらかったのでメルヘンでサンドイッチを買ってお昼ごはんにした。気になっていたので食べられてうれしい。とてもおいしかった。コンビニのサンドイッチをよく食べるけど、別物すぎて笑ってしまった。これを持ってピクニックに行きたいなあ。春だ。


4月8日 金曜日

ジンが好きな子のおすすめを聞いて、一本買ってみた。飲みやすくておいしい。びんもかわいいので家に置いておきたくなるお酒。



4月9日 土曜日

本を買うぞ、という気持ちで大きい本屋さんに行き、ぽんぽんと手にとったものを買った。前から気になっていたものと、先日紹介されていたもの。いまは村上龍『半島を出よ』を読んでいて、どれも雑ぜたくない作品なのですこし積んでおくことになるが、遠からず読みたい。



4月10日 日曜日

かなりひさしぶりに土日とも練習をした週だった。練習後に担々麺を食べた。これはヴィーガン向けのもので、乳製品もふくめ動物性のものは一切使っていないとのこと。手前にのっているのは大豆ミートで、これがかなり「肉」でびっくりした。全体としてとてもおいしかったし、ボリュームは十分だったけど食べ終わったあとにからだ(おなか?)が重い感じがあまりしなくて、こういうのを食べたいタイミングはあるな、と思った。



4月12日 火曜日

ARuFaがCMに起用されたサントリーの新商品「クラフトボス ミルキープレッソ」の発売日。お昼休みにコンビニで買い、さらに24本入りの箱を2つ注文した。おいしいし、量がすくなめ(300ml)なのもちょうどいい。


写真は翌朝撮影(日の光のほうがきれいだから)

ミルキープレッソの件でテンションが上がっていたのもあり、ずっと検討していたラグを店舗に見に行って、そのいきおいで購入した。数万単位の買いものは延々と悩んでしまって何か月も経つことがめずらしくないが、今回は1か月くらいで決められてよかった。ふわふわのラグにあこがれはあるものの、結局は生活者として掃除のしやすいものを選んだ。きっと愛していけるだろう。

お店まで歩いて向かっているときに不思議な光景に出くわした。住宅街で、黒猫がたたたっと走っていったと思うと民家の玄関前でマーオマーオと鳴いた。すると玄関が中から開き、その住人が猫を家に招き入れたのだ。外を散歩して自力で帰ってきたってこと? そんなことできるの?


4月13日 水曜日

あまりにいい天気だったのでお昼ごはんを職場近くの公園で食べた。それなりの広さがありそうでまだ全貌がつかめていないが、きょう腰を落ち着けたところは大きな木の下で、強い日差しがさえぎられて風が涼しく感じられ、居心地がよかった。

ケバブサンドを食べ終わって立ちあがった瞬間に、どこからともなく20羽くらいの鳩が一瞬にして集まってきて、せっせと地面をついばみはじめた。手をすこし伸ばせば届くところにこんなに多くの鳥がいて、せわしなく動きまわり、たまにすこし飛ぶ。ゆっくり移動するとついてくる。ちょっと現実感をうしないそうなくらいの出来事だった。


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序盤によしもとばななのことを書いたこともあり、きょうの日記はラジオや動画を流さずに集中して書いた。時間はかかったけど徒労感はないな。

ほんとうはやらなきゃいけないことが山積みで、逃げるようにこれを書いていたような気もするが、あしたからまたがんばれるだけがんばろう。がんばれないときはちゃんと休もう。


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