食洗機戦争|2020年6月29日の日記

9時に目がさめる。9時……。起きたくないので、起きない。9時25分、しかたなくベッドから這い出る。

家から駅まで走ったが、乗れなかったら遅刻になる9時41分の電車をのがした。困ったものですね。よくないぞ、きみ。奇跡的に乗り換えに成功して遅刻せずにすんだが、朝からつかれるようなことをしないでほしいものである。

きょうはまたあたらしいひとがきて仕事の説明をしたりした。ひとに教えるのは得意ではない。分担上しかたないとはいえ、「後輩」「部下」みたいなものをぜんぶなしにするために全員プレイヤーでありつづける仕事についたので、すこしでも指導的立場に立つ必要があると気がめいる。

ひさしぶり(といっても1週間ぶり)に定時退社した。外が明るい。新宿マルイに寄って用事をすませる。ほんとうは4月半ばにいきたかったメンテナンスにようやくいけた。まあ6月の1週目にいけばいいものをここまで引きのばしたのは自分ですが……


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10万円の使いみちを考えていて食洗機にいきついたものの、数ある種類のなかから自分で選ぶことができないので前の職場の得意そうなひとに相談した。そのうち調べてもらえるようお願いしてみようと思って連絡したら、とんとん拍子に話が進んでいってすぐによさそうなやつをいくつも送ってくれたのでこちらの心の準備ができていなくてうろたえてしまった。これだから仕事のできるやつは……

わたしは大きな買いものをするのがほんとうに苦手で、家電を買うなんてちょっと考えただけで絶望的な気分になってしまう。とても選べない。十年来の念願がかなってひとり暮らしをはじめてすぐのときでさえ、家電量販店でもうどうしようもなくて店員さんのまえで涙があふれそうになってしまったことすらある。面倒な客である。

選べない、買えないということには、できるだけものをもちたくない(かたちあるものはすべていつか捨てられるものだから)という感情や、ものに使えるお金がそれほど多くないこと以外にも、損をしたとぜったいに思いたくないとか、かたちのあるものにお金をだすことがほとんどない(たぶん年に数回レベルでしかない)ためにいわば「買いもの筋」が鍛えられていないとか、いろいろな理由があるのだろうと思う。

1000円以下なら迷わず買え、みたいな助言をみかけたことがあるけど、わたしは生活必需品以外ならたとえ100円のものを買うのでさえ数か月でも考える(たいていはそのうち忘れるので、べつにいらないんだなと思う)。これは思慮深いわけではなく、たぶん損をしていることのほうが多い。

食洗機も暗澹たるきもちで調べてはやめを数度くりかえした。きょう相談させてもらっているあいだにも自分でもおどろくほどテンションがさがりつづけて途中ちょっと泣いてしまった。急に興味をうしなったような返事しかできないようでは相手も困惑するだろう。買うかどうか、条件は、サイズは、機能は、しくみは、置く場所は、買うかどうか、どれを買うか、どうやって買うか。とても決められない。選べない。

それでも、洗いものが面倒すぎること、洗いものをしたくないのにしなければいけないと考えている時間、料理はきらいではないのに洗いもののことを思うとたのしく感じなくなってしまうこと、洗いものがしたくないあまりにごはんを食べないこと、洗いものを後まわしにしつづけてずっと夜更かしをしてけっきょく寝て起きたときの自己嫌悪、そういうものぜんぶから解放されうる魔法みたいな手段をえるためには、買いものの壁を乗り越えなければいけない。

書いていて自分でもなんでこんなにおおげさなんだろうと思う。人生がへたか。最終的に2択にまで絞ってもらって、これならなんとか決められるかもしれないとすこし前むきになる。


自分の「あたりまえ」とひとのそれはちがうのだということを、いつも意識していないとかんたんに忘れてしまう。夜寝て朝よゆうをもって起きることができないとか、たいていの予定に遅刻するとか、買いものができないとか、自分のできないことを考えてみればそれぞれそれなりに切実な思いやうまくいかないことへの歯がゆさがあることがわかるのに、ひとにたいしては「そんなのたいしたことじゃない」と断じてしまいそうになる。それがたいへんなことかどうかはそのひとが決めることだ。たいへんなときこそいつも忘れないようにしていないといけない。

情けは人の為ならず、わたしはわたしの生きやすさのために生きる。


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長くするつもりはなかったのにあんまり眉根を寄せて書いていたのでつかれた。また夜更かしするから朝がつらいのよ。あほちゃんね。


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メモ

食事
https://scrapbox.io/marimo-alt/2020年6月29日にたべたもの

日課
・首、肩甲骨のストレッチ
・湯船につかる

ラジオと動画
・オモコロチャンネル
・イマラジオ(〜#15)
・匿名ラジオ

読みもの
・ジェラルド・ダレル『虫とけものと家族たち』

・『日本国語大辞典』をよむ(今野 真二) | 三省堂 ことばのコラム
──第26回 いろいろな学問

耳の痛い話。でもおもしろいな。学問も意思のちからに頼らず、習慣化してしまうのがいいのだろうと思う。平日の火木のどちらか1時間くらいとってなにかやろうかなあ。

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