おさんぽの心得。
「お休みの日に1日30分、歩いてみましょう。」
きっかけは最近、私が少し体調を崩したことだった。いつもお世話になっている漢方薬の先生に相談したら、そんな答えが返ってきた。
「食事も睡眠もとれているし、問題があるとすれば運動面。最近歩いてないでしょう?まずは家の周りを散歩してみてください。」
図星だった。確かに仕事は車通勤だし、休みの日はもっぱら家でゴロゴロしているか、車で近くの本屋やカフェに行くような毎日を送っていた。
おさんぽかぁ。
家の近くを歩くのだったらできそうかな。そう思ってちょうど休みが重なった4日間、私は近所を散歩をすることにした。
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1日目。
さっそく気が重くなっていた私を、母が誘ってくれて2人で近くを歩いた。この日は午後から雪がちらついて、最近では久しぶりに寒かった。
傘を差しながら近所を歩いたけれど、なんだか知っている人に会いそうで、傘を深くかぶりながらうつむきがちで歩いた。
そのせいか、なんだか後ろ向きな気持ちになってしまって、母が話を振ってくれても暗い返答ばかり。申し訳なかったけれど、どんよりした空気になってしまった。
心得1:おさんぽは、楽しい気持ちで歩く。
2日目。
この日は晴れていたので、もう少し遠くまで歩いてみることにした。目的地があった方がいいかなと思って、近くの図書館とアウトレットを目指すことに。この日からは一人で歩いた。
学生の頃に自転車で通った幹線道路沿いをてくてくと歩く。青空を見上げながら、いろんな空想や考えが頭の中を駆け巡る。歩いていると、考えも前向きになるから不思議だ。
ひんやりとした澄んだ空気の中、一人で黙々と歩いていると、なんだか頭がすっきりしてくるような気がした。なんだか瞑想しているみたいだ。歩くのって、心のデトックスになるんだなぁ。
久しぶりの道を歩くと、新しいお店ができていたり、大きな建物が建設中だったり、色んな発見があった。20分以上歩いたけれど、全然飽きなかった。
そのうちに図書館に到着。久々に静かな空間で、好きな本を好きなだけ読んで、ここでもデトックス。さすがに歩き疲れたので、アウトレットを少しだけ覗いて、家に帰った。
心得2:おさんぽは、心のデトックス。
3日目。
今日は昨日よりは短く、近くのコンビニまで歩くことにした。近くといっても徒歩15分。近くて便利とはいかない最寄りのコンビニ。
普段なかなか行かない方向なので、歩く道も新鮮だった。朝早くだったからか、犬を連れた人やジョギングしている人と結構すれ違った。さすがに若い人はいないなぁ。
家に帰ると、あったかいほうじ茶オレを飲みながら、昨日図書館で借りた本を読んだ。運動すると、少しぐらい甘いものを飲んでも許してもらえる気がするから、なんだかお得な気分だ。お昼ごはんもいつにも増しておいしく食べた。
心得3:おさんぽすると、食べ物もおいしい。
4日目。
この日は、とりあえずアウトレットを目的地に設定。気分が変わったらそれでもいいや。天気もいいので写真も撮りたくなって、スマホも手に持つ。
今までより歩きやすそうな靴を見つけて履いてみる。耳が冷えるので帽子をかぶっていざ出発。あ、時計を忘れた。
この日は昔通っていた小中学校の近くを歩いた。楽しかったことも嫌だったことも懐かしく思い浮かぶ。改めて歩くと、歩道も広くて素敵な道。
途中でなんとなく公園に入って、写真を撮る。昔来たことがあるはずだけど、大人になって来るとまた新鮮で面白かった。
人混みに行きたくなくて、そのまま近くの丘へ。中学校の時、持久走大会のコースだったっけ。
多分、中学生以来のその道を歩く。誰もいない道。知らない場所に来たみたいだ。風が木々を揺らす。さわさわ。誰かの目を気にすることもない、自分だけがいるような世界。
頂上に着くと、まちのシンボルの水道塔がみえた。近くでみると大きい。少し歩いただけなのに、まるで別世界だった。どこか遠い場所を旅したような気分。歩くってこんなに楽しいんだ。
家に帰るとちょうど1時間経っていた。時間を気にしないで歩くのってすごく気持ちいい。時計、忘れてよかった。今日は、全然疲れてない。
心得4:おさんぽは、小さな冒険。
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4日間歩いてみて、色んな発見があった。体が健康になるのはもちろん、心まで元気になった気がした。心と体が繋がってるって本当なんだなぁ。
飽きやすい私なので、いつまで続くか分からないけれど、お休みの日はなるべくお散歩してみようと思う。行きたくなくなったら、これを読んで歩く楽しさを思い出そう。
さぁ、今度はどこへおさんぽに行こうかな?